2022年度「正社員の賃金改善」を企業の54.6%が見込む
新型コロナウイルスの感染拡大や、燃料、原材料価格の高騰による影響が多くの企業で継続するなか、政府は賃上げ目標3%の達成に向けて、賃上げ促進税制など、企業をバックアップする姿勢を打ち出していますそのような状況下で実施した今回の調査では、2022年度の企業の賃金動向について、正社員のベースアップや賞与、一時金の引き上げなどの賃金改善が「ある」と見込む企業は54.6%。2年ぶりに半数を上回りました。
賃金改善の具体的な内容としては、「ベースアップ」と「賞与(一時金)」がそれぞれ前年度調査から増加し、特に「ベースアップ」は調査開始以降で最高の水準となりました。
賃金改善の理由は「労働力の定着」
賃金改善の状況について、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の3規模全てで、前回調査の2021年度見込みから賃金改善見込みの割合が上昇。業界別では、「製造」(59.7%)が最も高く、次いで、「建設」(57.2%)、「サービス」(54.0%)が続きました。
2022年度に賃金改善が「ある」と回答した企業にその理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が76.6%(複数回答)と最も多く、「建設労働者不足を解消するためにも賃金アップは必要不可欠(土木工事/神奈川県)」「事業環境的には厳しいものがあるが、社員の定着のためには賃上げは必要と考えている(一般管工事/北海道)」「新型コロナウイルス対策で仕事が減少し売り上げも悪いが、一旦雇用をカットすると再雇用は難しい。今頑張っている人をギリギリまで大切にしたいため、賃金アップは仕方なく、世の中の物価上昇にもあわせるべきと考える(喫茶店/東京)」などの声が寄せられました。
賃金改善が「ない」と回答した理由には、原材料の不足や価格高騰も
一方、賃金改善が「ない」と回答した企業の理由としては、2021年度見込み同様に「自社の業績低迷」が64.7%(複数回答)が最も多く挙げられました。
賃金改善が「ある」「ない」ともに、2021年度見込みと比べて「物価動向」を理由に挙げる企業が上昇しています。原材料価格の高騰に対して、少なからず価格転嫁ができている企業は4割程度にとどまり、価格転嫁が進んでいない企業では、進んでいる企業と比べて賃金改善が「ある」割合が低い傾向が見られます。
企業からは、「仕入価格が急上昇しているなかで利益が圧迫されている状況。売り上げも下降気味であり、賃金に振り分ける余裕もない(一般貨物自動車運送/茨城県)」「賃金は上げていきたい。しかし、仕入価格の上昇、販売価格反映の拒否があり、困難な状況(金型・同部分品・付属品製造/埼玉県)」など、原材料価格の高騰が影響し、賃上げを厳しくみている企業も多いことがうかがえます。
※回答者のコメントは原文ママです
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