2021年のヒット商品といえば、何を思い浮かべますか? All About編集部では、年末企画「2021年に売れた人気商品」と題して、編集部が選んだ注目商品を紹介していきます。今回は、スターバックス コーヒー ジャパン(以下、スターバックス)が47都道府県それぞれの味で期間限定販売した「47 JIMOTO フラペチーノ(R)」です。
「47 JIMOTO フラペチーノ(R)」とは
「47 JIMOTO フラペチーノ(R)」は、スターバックス日本上陸25周年の第2弾として、2021年6月30日~8月3日の期間限定で販売されました。47都道府県それぞれのストーリーが詰まった47種類のフラペチーノ(R)は、発表直後から各種SNSやメディアでも話題沸騰。コロナ禍で、人々に明るい話題を届けてくれました。
そんな47 JIMOTO フラペチーノ(R)は、どのようにして生まれたのでしょうか? スターバックス コーヒー ジャパン 商品本部ビバレッジ開発チームの東治輝さん、西日本店舗営業本部の福岡県博多地区担当ディストリクトマネージャーの佐々木誠さん、天神地区担当ディストリクトマネージャーの壁村みどりさんにお話を伺いました。
「地域、コミュニティとつながる」がコンセプト
――「47 JIMOTO フラペチーノ(R)」は、どんなキッカケで生まれたのでしょうか?
東さん:スターバックス日本上陸25周年の全体コンセプトは「The Power of Coffee. The Power of Connection.(コーヒーの力はつながりの力)」です。「ルーツとつながろう」「地域、コミュニティとつながろう」「ミライへつなげよう」という3段階のフェーズのうち、47 JIMOTO フラペチーノ(R)は2つ目の取り組みにあたります。
スターバックスでは以前から、「JIMOTO made シリーズ」「JIMOTO Table プロジェクト」「リージョナルランドマークストア」という地域で大切にされている文化、産業に注目した取り組みを行っています。また、ビバレッジとしては2018~2019年に大阪や兵庫、京都で、各地域の周年記念をキッカケに、パートナー(従業員)発案で地域のお客さまに向けた商品を限定販売してきました。それらの経験や知見が47 JIMOTO フラペチーノ(R)につながっています。
――「47 JIMOTO フラペチーノ(R)」のこだわりポイントを教えてください。
東さん:日本上陸25周年のスターバックス にしかできないことをしようというのが、大きなポイントでした。47 JIMOTO フラペチーノ(R)は地元のパートナーが「スターバックスと地域の未来へ」と、想いを込めて考案した、47都道府県のストーリーが詰まったフラペチーノ(R)です。
目指すところはご当地フラペチーノ(R)ではないので、特産品を必ず使わなきゃいけないわけでもない。地元のパートナーが地元のお客さまを想い考案した、ストーリーが詰まったフラペチーノ(R)というのが最大の特徴でした。
全国のパートナーからアイデアを募集
――商品開発はどのように進められたのですか?
東さん:各都道府県にリーダーを立てて都道府県ごとのテーマを決め、全国のパートナーからアイデアを募集しました。その地域の出身者ばかりではないので、都道府県の理解をしていくところにもかなり時間をかけましたね。
東さん:パートナーによる手書きの応募シートで、全国から約1300件のアイデアが寄せられました。都道府県によって店舗数に違いはありますが、込められた想いはどこの店舗も変わらない。47種類を全部飲んでみたいと思ってもらえるような選定の仕方をしました。コロナ禍で全国に飛び回れる状況ではありませんでしたが、オンライン会議をしつつ、東京で試作を重ね、少しずつ決めていった形です。
――個性あふれるアイデアの数々から、どんな想いで商品決定したのでしょうか?
壁村さん:福岡県を例にとると、テーマは「ちかっぱ語り、ばりつながって、ともに広げるばい、福岡やけん!」。人情味、エネルギッシュ、お祭り騒ぎが好き、地元愛あふれる活力ある地域というのを、“ちかっぱ”や“ばり”という、“とても”という意味の方言にのせて、勢いをつけて企画が進められるように想いを込めました。
壁村さん:県内半数くらいの店舗から32件の応募があったのですが、1つも重複せず個性あふれるアイデアが寄せられました。結果決まったのが「福岡 八女茶やけん フラペチーノ(R)」。八女茶は地域の方々に愛され、日本に誇る素材です。福岡のスターバックスも、八女茶と同じように誇りを持って運営していきたい、という想いで決めました。お茶は親しみがあるフレーバーですし、そのままでも、ご自身の味にアレンジしても楽しんでいただきやすいですよね。
スターバックスの歴史に残るようなプロジェクトへ
――「地域、コミュニティとつながろう」というコンセプトは実現できましたか?
壁村さん:我々から店長に、店長からパートナーに共有をしていくのですが、最初から最後まで盛り上がっていけるように工夫をしました。自分の地元にフォーカスした商品が発売されるため、店舗のパートナーも喜んでくれて、地域とつながるという自主的な行動もたくさん見られました。
特に八女市に近い店舗では、八女茶の茶畑を訪れて茶摘みの体験をしてくれたり、自分なりに調べたことを、自店舗だけではなく福岡県全体の店舗に共有をしてくれたり。パートナー発案のアイデアが地域の方々に喜んでいただくきっかけにもなったのではないかなと思っています。
壁村さん:地域のことをより知るというプロセスから、県外出身でも同じ1つの目標に向かっていくことで、エリアの中でもつながりが増えました。自分たちが自信を持って作った商品を届けることができたし、地域のお客さまとつながることを楽しく思う店舗の中のつながり、というのも見えたので、すごく楽しい期間だったと実感しています。
佐々木さん:それまでフラペチーノ(R)を楽しむのは若い方たちが多かったのですが、「今、八女茶のやつがあるから」と、孫と一緒におじいちゃんおばあちゃんが来てくださって。色んな世代とつながっているなと感じましたし、広い福岡県の中で横のつながりも感じられました。
東さん:一部の地域では、地元の生産者さんの所に地域のパートナー同士で訪問させていただくなど、さまざまな方法で地域、コミュニティとつながりができたかと思います。どの地域でもお客さまからのうれしかったというお声を聞いたりなど、多くの反響がありました。非常にご好評をいただいて、スターバックスの歴史にも残るようなプロジェクトだったと感じております。
――ありがとうございました。
ご当地商品は数多くあれど、全国で味が異なる47種類のフラペチーノ(R)が一斉に発売され、反響を呼んだ「47 JIMOTO フラペチーノ(R)」。プロモーション時にはプレスリリースにとどまらず、47都道府県ごとにオンラインの商品説明会も開催。地元のメディアからニュースになり、大きな話題となりました。
今後もスターバックスが展開する新たな「つながり」に乞うご期待です。
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