コロナ禍も2年目を迎えた令和3年夏。緊急事態宣言下ではありましたが、感染対策をして里帰りする人も少なくなかったようです。1年以上という長きにわたるコロナ禍生活は、人々の間に未曾有の“コミュニケーション下手”を生み出しているようで、中には「義実家に対してどう気配りすればいいのかわからなくなっていて、帰省中に焦った!」という人も。コロナ禍がなせる業か、はたまた本人の生まれ持っての性格かは、実のところわかりませんが……義実家でついうっかり“やっちゃった”、クスッと笑えるドジ物語を2本、お届けします。

 

気づいたら24時間が経過…!? コロナ禍の怪

これまで義実家とは付かず離れずの良い関係を築いてきたと自負するのは、埼玉県在住の保子さん(仮名・44歳)。昨年はコロナ禍のため帰省せずに過ごしましたが、今年は夫婦とも職域接種でワクチンをすでに2回済ませていたこともあり、また高齢の義両親を心配するご主人の気持ちを汲み、小中学生の2人のお子さんとともに中部地方にある義実家を訪問することにしました。

「本当に久しぶりの遠出だったので、夫も子どもたちも楽しみにしていました。もちろん私も楽しみで、義実家に行ったら何をしよう? どこを見に行こう? 湖で泳ごうか? そんな話題で移動中も盛り上がっていました」

途中で休憩を挟みながら車を走らせること5時間。義実家に到着する頃には、クタクタだったという保子さん。そんな表情を見てとったのでしょう。義母さんから「夕飯はもう出前を頼んであるし、保子さん、疲れてるでしょう。顔色が悪いから、お夕飯まで少し寝ていらっしゃい」そう言われ、保子さんは素直に客間へ行き、布団を敷いて横になりました。

「保子! おい、保子!」

ふと気づくと、ご主人の悲鳴にも似た声が頭上で響いていて、保子さんは目を開けました。部屋の窓から夕日が差し込んでいたので「あれ? たいして時間経ってないじゃない。もしかして何かあったの? 夕ご飯にはまだ早いんじゃ……?」そう思いながら目をこすっていると、ご主人はあきれ顔。よく見ると隣には泣きそうな顔をしたお姑さんもいて、保子さんはびっくりしてしまったといいます。

そう。察しの良い方ならお気づきのことと思いますが、保子さんが起こされたのは翌日の夕方。まるまる24時間眠り続けた保子さんを義母さんが心配し、ご主人が1時間以上声を掛け続けていたのでした。

「夫いわく“死んだように寝ていた”そうで、ゆすっても大声を出してもまるで起きなかったのだとか。まさか義実家でそこまで寝汚いことをしてしまうなんて……と、恥ずかしさでいっぱいになってしまいました。

慌てて飛び起きて、「こんなこと今までにないので私自身も驚いています。心配かけてすみません」とお姑さんに対して謝罪した保子さん。しかし一部始終を見ていた娘さんと息子さんから、

「何言ってんの? お母さん、いつもやってるじゃん。お昼寝する~って言いながら翌日まで寝てること、よくあるじゃん」

と追い打ちをかけたのです。

「子どもたちの話を聞いて苦笑するお姑さんを前に、穴があったら入りたい心境でいっぱいでした。でもね、確かに家ではよく寝てるんですが、義実家ではしたことなかったんですよ! 絶対、コロナ禍でどうにかなってしまったとしか思えません!」

……と、保子さんは声高に訴えていましたが、真相やいかに。

 

義実家最寄りの駅前で、まさかの勘違い!?


「もう二度と、義実家に顔が出せそうにありません……」そう言いながら頭を抱えているのは、東京在住の利津子さん(仮名・29歳)。2019年の秋にご主人と結婚。昨年、初めて行う予定だった義実家帰省がコロナ禍で中止になり、今年はなんとしてでも帰省を……と、強行した矢先のことでした。

「新幹線から在来線に乗り継いで義実家の最寄り駅まで行ったら、義父さんが車で迎えに来てくれることになっていたんです。コロナ禍でまったく義両親に会えていなかったので、良い嫁であることを見せなくちゃ!とすごい気合を入れていたのですが、その気合がアダになったようで……」

最寄り駅に到着。ご主人から「ごめん、俺ちょっとトイレに行ってくる。親父がもうそろそろ来てると思うから、お前、先に行ってて」と言われた利津子さん。改札を出てふと前を見ると、そこに1台のセダンが止まっていました。

「いたいた! 義父さんの車だ! と思って、ツカツカ~と近寄ってトランクを開けて荷物をしまい、後部座席に乗り込んだんですよ。それから『お久しぶりです、嫁の利津子です! 今、○○くん(夫の名前)はトイレに行っているのですぐ来ると思います。今日からしばらくお世話になります!』と、運転席に座っている義父さんに挨拶したのですが、義父さんは『あ? あれ?』みたいになっていて。一気にしゃべりすぎたかな?と思って、あらためて挨拶し直そうとした次の瞬間、夫に、外に引きずり出されたんです」

乱暴に腕をつかんで車の外に引きずり出された利津子さん。「痛い! 何するの!?」とご主人に声をかけると、「何するのじゃねぇ! おまえこそ、何やってんだ!」と怒鳴られてしまいました。利津子さんは怒鳴られた意味が分からず「え? もしかして私が先に乗ってちゃダメだった? そういう男尊女卑的な感覚が残ってる土地?」と返すとご主人はあきれ顔。

「そうじゃない! なんで他人の車に乗ってたのか?って聞いてるんだ!!」

そう問い返してきたといいます。

「え?って、思考が停止してしまいました。運転席に座っていた男性を見ると、義父とはまったく別の人で……。そこでようやく、まったく違う人の車に乗り込んでいたことに気付きました。慌てて謝罪してその場を去り、改めて義父の車に乗って義実家に行ったんですが……恥ずかしさのあまり、義父の顔をまともに見ることもできませんでした……」

狭い町のため、あっという間に「ドジな嫁」の話題が広まってしまったという利津子さん。3日間の滞在中はずっと針の筵に座らされているようで、居心地が悪かったそう。

「こんなドジ、今までにしたことなかったのですが……久しぶりの帰省で、舞い上がってました。すべて――すべて、コロナ禍のせいです!」

保子さんの場合も利津子さんの場合も、どこまでをコロナ禍のせいにできるかはわかりませんが――言えることはただひとつ。

義実家帰省の際は、ドジもほどほどに……!