オンライン会議は「謎マナー」の宝庫
ヘンテコマナーがまかり通る職場に辟易しているというのは、東京都にお住まいの恵里さん(仮名・32歳)。昨年のコロナ禍から仕事がテレワークとなり、始業時と終業時の1日2回、オンラインによる課内会議に参加することが義務化されたのですが……。【オンライン会議は課長が出席する5分前には必ず参加せよ】
「別にオンライン会議自体はいいんです。課長が出席する5分前集合って何?って話なんですよ。そもそも課長がいつ参加してくるかなんて、一緒に暮らしてなきゃわからない。なのに、ちょっとでも遅れると先輩がうるさいことうるさいこと。それこそ『うっせぇわ!』って叫びたくなります。10時だったら10時にルーム入りすればいいじゃないですか。何でわざわざ課長基準にするのか、まったく意味が分かりませんし時間の無駄だと思います」
【目を見て話せ!】
同様にオンライン会議の意味不明なマナーに困っているのは、神奈川県在住の仁雄さん(仮名・29歳)。パソコンのモニター上に表示した資料を見ながら会議を進めていたところ、60代上司から「俺の目を見ないで話すなんて失礼な奴だな」と嫌味を言われ、脳内が「?」マークで埋め尽くされたといいます。
「俺の目を見ろって……ずっとモニターのカメラを見ながら話せってこと⁉ 資料見ながらプレゼンしてるの、分からない?と、あらためて上司の無能っぷりに頭を抱えてしまいました。しかも課長のほうは僕の目を見ないどころか顔の半分が見切れていて(笑)。あれって、カメラがどこにあるか理解していないんでしょうね」
出されたお茶は、飲んじゃダメ⁉
営業部の先輩からそんな謎マナーを押し付けられた結果、クライアントの機嫌を損ねてしまった経験を話してくださったのは、大阪府にお住まいの佳弥子さん(仮名・31歳)。幼い頃に両親から「人様のところに行って出されたものは、ありがたくいただきなさい」と言われて育てられたため、先輩のこの“教え”には戸惑いを隠せなかったといいます。【出されたお茶に手を付けるのは卑しい】
「まだ私が新入社員だった頃、先輩と一緒に伺った先でとてもおいしそうなコーヒーが出されたんです。私が手を伸ばそうとすると先輩に思いっきり手を叩かれ、卑しいからやめろと言われてしまいました。それを見たクライアントはなぜかムッとした表情になり、商談はお流れに。その後、別の方から聞いた話によれば、そのクライアントはコーヒーを淹れるのが趣味で、お客様が来るたびに時間をかけて淹れてくれているらしくて。先輩が信じ込んでいるバカバカしいマナーのせいで、大切なクライアントを失ってしまうことになってしまいました」
【飲んでいいのは透明な飲み物だけ!】
昨年入社したばかりの会社に、あまりにも不可思議なルールがあり鼻で笑ってしまったというのは茨城県在住の大智さん(仮名・24歳)。女性向けの商品を扱うこともあり社員の9割が女性、そのため年功序列や女性優遇を感じさせるルールやマナーが多く、入社した瞬間から後悔の念が押し寄せてきたのだとか。
「入社してみると『おやつが食べたいときは課内の全員に配らなければ食べてはならない』とか、『休みを取るときは、上司ではなくお局女史にお伺いを立てなければならない』など、くだらないローカルルールが蔓延しているんですよ。笑っちゃいますよね。なかでもびっくりしたのが、社内で飲んでいいのは『透明な飲み物だけ』という謎ルールでした。あまりにくだらないので普通にお茶やコーヒーを持って行ってるんですが、数人の女性社員から毎日のように注意を受けています。そもそも会社内の自販機でお茶売ってるし?と思ってスルーしてますけど」
“化石マナー”に遭遇したらスルー? それとも……
今となっては“化石化した役所”でのみ遭遇できると噂の「お辞儀ハンコ」をはじめ、「リモートワークでもスーツ着用」「遠出をするときは上司に許可取り」「オンライン会議を退席するときはお辞儀をしながら」等等等……出るわ出るわ、謎マナーの数々。こんなくだらないことに留意するヒマがあったら、仕事に全力を傾ければいいのに……と思ってしまうのですが、こうしたマイルール・マイマナーを押しつけたがる人が多いことも日本が抱える不可思議な“現実”なのでしょう。不条理だな、意味不明だな、と思ったマナーはスルーに限りますが、「この人、生きた化石かも!」と生暖かい目で見守ってあげるのも……逆に楽しいかもしれませんね。