世帯年収1000万円の晩婚夫婦。妻が専業主婦になっても大丈夫?

近年、共働き家庭が増えるのに比例し世帯の収入も増えつつあります。厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査」(平成30年)によると、世帯年収が1000万円を超える世帯は全世帯の12.2%を占めるほどになっています。


一方、国立社会保障・人口問題研究所が行った「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(2015年)によると、第1子を出産した女性の約3人に1人は、出産を機に退職をしています。


今回は、共働きで世帯年収1000万円ではあるものの、できれば仕事を辞め子どもの育児に専念したいと考えている女性からのご相談です。ただ、夫も相談者もすでに40代のため、教育資金や老後資金が不足するのであれば、パートやこのまま正社員で働くことも視野に入れています。


専業主婦になって育児に専念したいというご希望が叶うのか、シミュレーションしながら確認していきたいと思います。

 

相談者プロフィール

相談者:女性(43歳、会社員(現在育休中))
家族構成:夫(45歳、会社員)、子ども(0歳)


▼家計の状況(現時点)

●収入

[夫]

  • 年収600万円(うち、ボーナス100万円)
  • 退職金は1000万円(見込み)
  • 60~65歳までは再雇用(60歳時点の年収の60%になる予定)


[妻]

  • 産前産後休業中の出産手当金・出産育児一時金および育児給付金が総額250万円
  • 出産前の年収は400万円(うち、ボーナス50万円)
  • 育休明けに時短勤務をする場合は、出産前の年収の75%程度となる見込み
  • 年金:夫婦ともに65歳から受給


●支出
日常生活費:月33万円
※子どもが独立した後は、生活費は3割減になる想定

住居費:年144万円
※2019年購入した一戸建ての住宅ローン、固定資産税、火災保険・地震保険を合計した金額

保険:年52万3200円
※内訳

  • 夫:生命保険(月2万3000円)、医療保険(月2000円)、がん保険(月5600円)
  • 妻:医療共済(月2000円)
  • 子ども:学資保険(月1万1000円)


▼将来の支出と希望
<妻の就業について>
専業主婦希望だが、パートをする場合は子どもが小学校3年生になってから扶養内での働き方を希望。パート、正社員のどちらであっても60歳で仕事は辞める。


<子どもの教育プラン>
働き続ける場合は1歳から保育園に、専業主婦もしくは扶養内パートの場合は4歳から幼稚園の予定。その後、中学までは公立、高校は私立、大学は私立文系で一人暮らしをさせる予定。


<その他>

  • コロナが落ち着いたら、子どもの中学入学までは家族3人で、夫のリタイア後から75歳までは夫婦二人で、年1回の旅行を楽しみたい(予算20万円くらい)
  • 車は持たず、必要に応じてシェアカーを借りるなどする(日常生活費の娯楽費の範囲内)
  • 家の維持管理として、51歳、66歳の時に100万円ずつ、78歳の時に300万円をかけてリフォームを計画している。
  • 投資については興味がない。夫が会社で加入している確定拠出年金のみ(月5000円を会社が拠出。現在の価格は30万円)
  • 保険は、家計の負担になっているようなら見直しをしたいが、知り合いの紹介で加入しているため解約等はしづらい。

 

専業主婦になった場合

専業主婦になった場合
専業主婦になった場合(milize Proを使ってシミュレーション)

育休終了と同時に今の職場を退職した場合、世帯の収入はご主人の年収600万円のみとなります。


その年収と現状の支出、ご希望のライフプランを実行した場合、教育資金は確保できるものの、75歳から82歳までの7年間、貯蓄がマイナスになることが分かりました。


原因としては、再雇用や年金生活で収入が減ったタイミングと大きめな支出(子どもの大学進学費用、住宅ローン、家のリフォーム)が重なっていることが挙げられます。

 

扶養内でパートをした場合

扶養内でパートをした場合
扶養内でパートをした場合(milize Proを使ってシミュレーション)

それでは、子どもが9歳になるタイミングでパートを始めた場合はどうでしょうか。


52歳から60歳までの間パートで年100万円の収入を得た場合、老後も含め貯蓄がマイナスになることはなく、安定した生活が送れそうなことが分かりました。


介護が始まったとしても、大きく資産を減らすこともなさそうです。

 

まとめ

シミュレーションの結果、相談者のご希望である「ずっと専業主婦でいること」は叶いませんが、「一番子どもに手がかかる時期は育児に専念し、その後扶養の範囲内でパートをする」ということであれば、資金を大きく減らさなくて済むことが分かりました。


扶養内でのパートとはいえ働き手が二人に増えることで、老後の資産枯渇を防ぐだけでなく、現役時代の病気やリストラなどの不意の減収に対してもある程度備えることも可能になります。


晩婚化によって出産年齢が上がり、子どもの数が少なくなれば、育児に時間も手間もかけたいと考える方もいらっしゃるでしょう。


しかし、育児を優先させるあまり、教育費や老後資金の不足を招いては、子どもにも迷惑がかかり、本末転倒となってしまいます。


将来の資産がどのように推移するのかを確認しながら、働き方を柔軟に変えていけると安心ですね。

 

この記事を執筆したのは……
阿部倉弘子

FPサテライト阿部倉

MILIZE提携FPサテライト株式会社所属。大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。