2001年度末には6133万件だった固定電話の加入者数も2018年度末には3分の1以下の1996万件にまで縮小、個人レベルでは携帯電話のメールやメッセンジャー機能が連絡手段の中心ではありますが職場となると話は別。実際、電話トラブルを体験した女性たちの声をお届けします。
自己弁護ばかりの無能な上司の餌食に……!?
「私も、電話なんて大嫌いです!」と声を上げるのは、都内の中企業に勤める愛佳さん(仮名・28歳)。2年前に部署異動があり、総務から営業担当へ。覚えることがたくさんある中、必死になって仕事にくらいついてきました。しかし営業成績はなかなか上がらず、家に戻るや泣きだしてしまうことも。その一端には、上司からの「電話」があったといいます。
「私の上司は40代の男性課長。コイツが本当に無能で、言っていることがコロコロ変わるんですよ。前日電話で『明日、A社に行くから15時でアポ取っといて』と言われてアポを取ったのですが、30分以上遅刻した挙句『俺は15時30分でって念を押したのに、部下が無能で勝手に15時にした』と……。そういうことが頻発したので、上司に『メールで時間を送ってください』と伝えたのですが『電話で言ってるんだからメールなんか要らないだろう』と聞く耳を持ってくれません。このままでは消耗するばかりなので、部長に直談判している最中です」
「3コール以内がマナー」なんて、誰が決めた!?
愛佳さん同様に、電話をトラウマレベルで嫌っているのは京都府在住の美瑠さん(仮名・23歳)。新卒入社した会社はマナーにうるさく、10日間に及ぶ新入社員研修のほとんどがマナーの授業に費やされました。
「覚えさせられたマナーの中に、電話は必ず3コール以内で取れっていうのがあったんです。私は営業のサポートをしているのですが、このコロナ禍で同僚の半数がテレワークになり、オフィスの人数が少ないまま仕事を回すことになってしまったんです。そうなると電話対応に手が回らず遅くなってしまうことがあるのですが、お局状態の上長から『なんで3コール以内に取らないんだ!』って毎回毎回怒られて……。電話対応中に、別の電話を受けることなんてできません。そう伝えても『3コール以内で電話に出るのがマナーだ!』と繰り返し喚かれるばかり。どうしてもと言うのであれば、上長が電話に出てくれればいいのに……と思うと、イライラがつのる日々です」
実際には、「使い方が悪い人」に限った問題
ひろゆきさんの言うように、なるほど「無能」な上司ほど電話に対して無駄に愛着があり、電話に関するパワハラに発展するケースもあるようです。でも、だからといって電話を敬遠してしまうのはいかがなものでしょうか。「電話は嫌いだけど、LINE電話はします(笑)」と、今回お話を聞かせていただいた美瑠さん。要は「上司から」の電話が苦手なだけで、電話で話をすること自体が嫌いなわけではないようです。
1970年にイギリスで行われた実験によると、対面で説得するよりも電話を通して説得したほうがより有利な効果が得られることが分かっています。相手の表情や身振り手振りといった情報過多な状態と比較して、声のトーンのみで相手の心情を推し量ることで本心に近づくことができるという利点があるのでしょう。
「彼氏に相談したら、スマホに、会話の内容を録音できる通話レコーダーというアプリを入れてくれました。今後は、上司の言っていることに齟齬があるのだと自信を持って反論できるようにします」
と、愛佳さん。対処法ができたようで、こちらもホッとひと安心でした。
どんな道具も、使い方次第で利便性は変わります。電話もひとつの「道具」であり、便利か否かはすべて使い手次第ということ。電話なんか要らない!と言い切るのではなく、相手によって使い分ける工夫を行っていくことが大切なのです。