「別居婚」に騙された?ロボットみたいに“きっちり”月イチで現れる妻の狙いは…

一時期ブームとなった「別居婚」。当時別居婚を選択していた夫婦は、今、どうなっているのでしょうか。別居婚を選択していた女性にお聞きしました。

一時期ブームとなった「別居婚」。結婚してからも仕事、友情、趣味を謳歌することを忘れずに生きていきたい男女の「賢い選択」と称賛され、マスコミに大きく取り上げられたこともありましたが、その後、あまり聞かれることがなくなりました。当時別居婚を選択していた夫婦は、今、どうなっているのでしょうか。別居婚を選択していた女性にお聞きしました。

こんなに楽な関係はない、そう思っていた。

大阪府在住の香奈枝さん(仮名・39歳)は、5年前に結婚。ご主人からプロポーズを受けた際に自身から別居婚を提案したといいます。

「当時は私の仕事がノリにノッていた時期。結婚して、家事も仕事もすべてをこなすのは無理があると感じていました。そこで別居婚を提案。夫は会社の家族寮で一人暮らし。私は実家でそのまま暮らし、仕事の後に夕飯を一緒に食べたり、休みが合えば大型連休に旅行に行ったりしていました」

最初の数年間は、とても楽しかったという香奈枝さん。夫婦という完成した愛の形はそのままに、独身時代のように自由に振舞える別居婚は、香奈枝さんにとって最高の環境だったといいます。しかし、コロナ禍で幻想は現実に置き換わりました。

「夫は医療関係の仕事に就いているので、昨春から、外食が一切できなくなってしまったんです。自然と、夫と会う回数が減ったんですよ。それまでは週に3日は一緒に食事をしていたのですが……」

コロナ禍になってからは月に1度会えばいいほうだったという香奈枝さん。ご実家に呼ぶ、またはご主人の寮に行って会うという選択は無かったのか?と訊ねたところ「互いのプライベート空間に入るのは気が引けたし、入ってほしくなかった」のだとか。

「そうこうするうちに、お互いに気付いてしまったんですよね。あ、これ、単純に『夜、一緒に食事をしてくれる人が欲しかっただけなんだ』って。愛情を抱いていたというよりも、互いの『自分はひとりじゃない! 寂しい人間なんかじゃない!』というプライドを満足させるだけの関係っていうんですかね。愛情があればコロナ禍という障害があっても一緒に乗り越えることができたし、寄り添うことができたんでしょうけど。私と夫は、ただたんに『ひとりじゃない自分』に酔いたかったんだなぁって気付いてしまったんです」

その後、どちらからともなく離婚を言い出し、今年の春に届けを出し、他人同士へ。

ここまで来ても感じるのは「離別の悲しさ」ではなく、「これから、飲みに行くときは誰と行けばいいの?」という情けなさだったと香奈枝さん。

「愛情があって別居婚をされている人も世の中にはいるんでしょうけど……やはり夫婦は一緒にいてナンボって感じがしました。コロナ禍の中、家族仲良く食卓を囲んでいる友人たちが羨ましくて仕方ありません。でも、これもすべて自分でラクな道を選んでしまった結果なんですよね……」
 

別居婚という響きに騙された!? とある男性の苦悩

数年前にお見合いを経て、5歳年下の女性と結婚した埼玉県在住の智之さん(仮名・38歳)は、今、結婚したことを深く悔やんでいると言います。理由は「別居婚」であったこと。お見合い時に妻側両親との同居か別居婚のいずれかを希望され「あれこれ煩わしいことを言われなくて済むだろう」と、別居婚なら……と提案を受け入れました。

妻側両親に金銭援助をうけて某テーマパークで派手な式を挙げ、高級ホテルでの二次会を終えた智之さん。この後どうするんだろう?と思っていると、新婦は義理の両親とともに、さっさと実家に帰っていきました。

「その時点で『あれ?』って思ったんですけど、まぁ、別居婚だしそんなものかな?と思い、僕はそのまま友人たちと三次会・四次会に流れました。その後は、妻と会うのは月に1度程度。ふらりと僕の家(一人暮らし中)に現れては1~2晩ほど泊まり、夫婦生活をして帰っていく。そんな暮らしが数年間続いたんです」

仕事に趣味にと精を出していた智之さん。1か月に1度のペースにも慣れてきたある日、2~3週間の中期出張を会社から打診されました。断る理由もなかったため快諾。次に来るときは出張が終わった後にしてほしい旨をLINEで送ると、奥様から帰ってきたのは罵詈雑言の嵐でした。

「なんで勝手に決めるのか? 次の排卵日はどうしてくれる? 子どもが欲しいからアンタと結婚したのに、これじゃ意味がない……まぁ、そんな感じの言葉を悪意たっぷりに書き連ねて送りつけてきたんですよ。あ、これ、種付けの馬扱いされてたんだ。そう思って、サーッと愛情が冷めていきました」

その後離婚を申し入れましたが、奥様と義両親は聞く耳をまったく持たない状態。ロボットのように月に1度訪れる奥様と、義務的な関係だけを続けているといいます。

「別居婚、気楽!なんて思っていたあの頃の自分を殴りたいです。理由を伝えて離婚したい旨を両親に告げたら、めちゃくちゃ泣かれてしまいました。今はただ義務的に関係を持ち、妻が妊娠してくれることを祈るばかりなんですが、最近では妻に対してその気が起きなくなってしまいました。こんな状態なら離婚したほうがマシだということに、早く妻が気付いてくれるといいのですが……」

「何事も我慢せず、自由に生きていたいから別居婚をする」ということはどんなきれいごとで飾り立てようとも「伴侶との生活よりも、自分自身の生活を優先した」結果。だからこそ、相手に対する愛情をしっかり持っていなければ成立しないのが別居婚です。

別居しているとはいえ、できる限り時間を作って会うようにし、話し合いを欠かさないことが必要となるもの。「ラクだから」「子どもが欲しいから」「面倒くさいから」という理由で安易に別居婚を選択してしまうと――自分だけではなく、周囲も不幸になる可能性が高いようです。

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