占いは生活の一部!? 韓国の占い事情

日本以上に占いが生活に浸透している韓国。引っ越しや結婚の日取り、婚約者との相性、ビジネス運など、気になる未来は四柱推命で占います。韓国で「占い」とはどんな存在か、解説します。

星占い、タロット、手相、風水、おみくじ、姓名判断など、占いは私たちにとって身近なもの。

それは韓国も同じで、雑誌には必ず今月の運勢が掲載され、書店には占い書籍のコーナーも。海外では一般的でないといわれる血液型占いも人気があります。

しかも、占いが生活に与える影響は日本以上。ちょっとした遊びの感覚で楽しむだけでなく、何か大事なことを決定する際、占い師を訪ねていくことは珍しいことではなく、その結果を自分の人生になんらかの形で反映させる人が少なくないからです。
 

本格的に占うなら……

韓国で専門の占い師に運勢を見てもらう場合、体系化された理論が書かれた易学関連書をもとに占うものと、神霊の託宣をもとに判断するものがあります。

前者の代表的なものに四柱推命があり、これは中国の陰陽五行説を元に、生年月日と出生時間から運勢を推察するもの。

後者は韓国のシャーマンであるムーダン(巫女)によるもので、踊るように跳びはねながらトランス状態に入り、信託を告げるものです。

シャーマニズムに基づいた占いは、特別な事情がある悩み、託宣を必要とするとき、悪霊払い、宗教儀礼の際に依頼するもので、誰もが気軽に相談に行くタイプの占いではありません。

一方、四柱推命は多くの人が気軽に利用する身近な占いといえます。
 

韓国で占いといえば四柱推命

韓国で占いというと、多くの人がまず頭に思い浮かべるのが四柱推命。

大学街付近や繁華街などには、お茶を飲みながら気軽に占ってもらえるサジュカフェ(사주/サジュ:四柱推命)が人気です。数千ウォン(数百円)という比較的安い料金設定のため、 学生たちが恋人との相性や就職運などを聞きに訪れます。

明洞(ミョンドン)、梨大(イデ)など外国人観光客がよく訪れるエリアでは、日本語で説明を聞けるサジュカフェもあり、ガイドブックにも必ず掲載されるほど観光客の間でも人気があります。
 

大人が本気で相談に行く哲学館

一方、大人が悩みを解決するために占いを利用する場合は、より本格的に占ってもらえる哲学館に相談に行きます。四柱推命だけでなく、手相や人相、その他複数の方法で複合的に鑑定することも。

住宅街の中の一軒家である場合が多く、よく当たると評判のカリスマ占い師がいる哲学館の中には、予約がなかなかとれないほど人気があります。

サジュカフェと比べると料金は上がりますが、落ち着いた雰囲気の中、詳しい解説とアドバイスがもらえるため、本気で運勢を知り、なんとか開運したいと願う人々に人気です。
 

占いで破談に!?

四柱推命で占う内容はさまざまですが、韓国で多いのは、男女の相性を調べるというもの。

子どもが婚約する段取りになると、両親が2人の相性を占いに行くことは珍しいことではなく、占われた当事者たちも、さほど驚くことはありません。

たとえ相性が悪いという結果であっても、あくまで結婚生活の参考にする程度に考える人が多数ですが、中には相性の悪さを理由に親が結婚を反対し、破談になるケースもあります。

他にも、結婚式や引っ越しの日取りを決めるために吉日を調べてもらったり、就職、転職、妊娠出産に関する運勢を尋ねたりする人もいます。苦手な人やパートナーとの関係を理解するために、自分と相手の両方の運勢を調べることもよくあること。

新生児の名づけや改名などを、哲学館の占い師や姓名学者に依頼することもあります。韓国の産婦人科や産後処理院には、必ず命名専門店のパンフレットが置いてあるように、子どもの名づけに占いを取り入れる人たちが少なくないのです。

いずれの場合も、人生の岐路に立ったとき、自分がもつ命運を確認したり、それを参考に進路を考えたりする目的で占いを取り入れており、韓国で暮らしていると「四柱推命では○○という結果だった」という話題をよく耳にします。
 

韓国語表現にも運命が!

韓国の人は、あまりよくないことが起きたときに「내 팔자야!(ネ パルチャヤ/私の運命ってやつは!)」という表現で自分の状況を惜しみます。この팔자(パルチャ/八字)という言葉は四柱推命の理論では、運命を意味しており、実際の占いでも何度も使われる言葉です。

四柱推命の命式は何度占っても同じ、つまり基本となる人生の傾向があるという点からも、自分の不運を悲しむときにぴったりの表現といえます。ドラマや映画などにもよく登場するセリフなので、ぜひチェックを!
 

新年に欠かせない運勢書とは

韓国に占いを広めたのは朝鮮時代中期の学者、李之函(イ・ジハム)という人物だといわれています。

彼が書いたと伝えられる『土亭秘訣』は、人生を144種に分類し、生年月日をもとに1年の運勢を占うもので、現在も新年になると書店にずらりと並ぶ人気の運勢書です。わかりやすい解説やイラストを挿入したりと、工夫を盛り込んだものが多くの版元から出版されています。

有料のオンライン占いサービスの分野でも、年初は『土亭秘訣』関連のものが圧倒的な人気。

また、新年の身近な占いとしては夢占いがありますが、韓国でも日本と同じように、豚はお金が貯まる、幸運が訪れるといわれており、特に金色の豚は縁起がいいことの象徴です。

そのため、年末には「よいお年を!」以外にも、「(初夢に)豚の夢を見てくださいね~」と挨拶することがあります。

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