GEM Partnersが「2020年映画鑑賞者調査」の分析結果を発表。世代やジャンルごとの鑑賞割合が明らかになりました。
「日本映画(アニメ)」に次いで増加したのは「過去の名作映画」
コロナ以前の2019年と比較して、最も割合が高くなったジャンルは「日本映画(アニメ)」でした。
これは2020年10月に公開されて歴代1位の興収を記録した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の影響が色濃く出た結果でしょう。一方で話題作が軒並み公開延期となった「外国映画」は前年から大きく減少しました。
注目は「日本映画(アニメ)」に次ぐ増加となっている「その他過去の名作映画」。配信やDVDでも観られるであろう過去の作品を、映画館へ観に来ていることになります。
鑑賞者に「映画館で映画を観る時に求めるもの」を聞いた調査では、「日常生活からの解放」と「気分転換」の2項目が去年よりも上昇。
この結果から、コロナ禍の自粛生活におけるストレスフルな生活において、非日常的な空間である「映画館での鑑賞そのもの」に価値を感じ、リフレッシュのために訪れていると考えられます。
「過去の名作映画」鑑賞者の約7割は30代以下の若者
また、意外なことに「その他過去の名作映画」を鑑賞する割合が最も高いのは男女ともに20代でした。
これは、2020年6月からスタジオジブリの4作品が全国372館でリバイバル上映されたことも影響していると考えられます。
いちばん新しい『ゲド戦記』ですら公開は15年前。いずれも地上波で幾度となく再放送されているにもかかわらず、初週の興行収入は4作品ともトップ10にランクインする大ヒットに。
「一生に一度は、映画館でジブリを。」という公式スローガンどおり、映画館での鑑賞体験そのものに魅力を感じた若い世代が足を運んだようです。
さらに「その他過去の名作映画」自体の鑑賞者の構成比でもボリュームゾーンは20代。男女ともに大きな割合を記録しました。
公開当時に映画館で観た年配層が懐かしく思って足を運ぶのは少数派であり、実際は30代以下の若者が約7割を占めていることが明らかになりました。
映画館の未来は「過去の名作映画」にかかっている?
2021年も引き続きコロナ禍は続いていますが、二度の緊急事態宣言も乗り越え、客足が戻りつつある映画館。従来からの整った換気環境に加えて、感染対策も徹底されています。
しかし一方で、外国映画は未だに公開再延期が繰り返されている人気作品も多く、国内映画でも話題作である『シン・ウルトラマン』が感染拡大により制作スケジュールに影響が出たために公開延期となるなど、新作映画が減っている状況です。
そんな中で、配信やDVDなどでも観られる過去の名作を映画館で体験したい人が増えていて、しかも若者がその多くを占めているというのは映画業界の希望といえるでしょう。
コロナ禍で苦戦する映画館の未来は、過去の名作映画にかかっているのかもしれません。
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