生活設計をする人は "8割"
2019年に話題になった「老後2000万円問題」。将来、どのような生活をおくっていくのか、生活設計をしている人は8割にも上ります(詳細は後述)。ただし、具体的に、いつからどのくらいの備えをしていけばいいのか、漠然とした不安を持っている人も少なくないはず。
今回は、金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)」をもとに、60歳未満の2人以上の世帯がどのように生活設計をしているのか、その実態を見ていこうと思います。
生活設計をしている人の割合とその期間
まず、「生活設計を立てているか」の有無の推移を時系列で確認します。
「生活設計をしていますか?」という問いに対して、2020年は全体の約8割の世帯が生活設計を立てている、もしくは立てようとする意思があります。また、「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない(19.2%)」は、2016年から3.5%減少しています。
次に、「生活設計を立てている」と答えた世帯(43.4%)は、何年先まで設計しようとしているのでしょうか。
割合の多くを占めているのは、「10年先まで(35.1%)」「3~5年先まで(22.4%)」となり過半数を占めています。
また、「20年先まで」「20年より先まで」を策定期間とする世帯は、2008年以降、増回傾向にあり、2020年は全体の16.4%に上りました。
さらに、資金計画策定の有無を見てみましょう。2020年は「資金計画を立てている」世帯の割合が58.8%となり、2000年以降で最高となっています。
老後の生活に関する意識
次に、老後にかかるお金についてはどのような意識を持っているのでしょうか。
60歳未満の世帯への意識調査では、ひと月あたりの最低生活費は「27万円(2020年)」となっています。また、年金支給時に最低準備しておきたい金融資産残高は「2324万円(2020年)」となっており、97年の調査開始以来、最高となっています。
最後に、過去約20年間の年金平均支給額を見てみましょう。
上のグラフは、厚生労働省が発表している「厚生年金保険・国民年金事業の概況」の中で、厚生年金第1号の方の平均をもとに厚生年金+国民年金の合計額の推移を作成したものです。平均年金受給額は、2000年の20.8万円をピークに支給額平均は年々減少傾向にあることがわかります。
また、「平均年金受給額」と、該当する年の「老後のひと月最低生活費」との差分を求め、該当する年の「年金支給時に最低準備しておく金融資産高」をその差分で割ることにより、準備した金融資産残高が、どの程度の期間もつのか試算しました。
〇計算式
この計算式から試算された金融資産持続可能年数の推移をまとめたものが下のグラフです。
平均年金受給額が減少している関係で、毎月の赤字額も増加しており、最低準備しておきたいと思っている金融資産の継続可能年数も短くなっている傾向であることが分かりました。
以上、今回は、「家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)」から、60歳未満の2人以上世帯の生活設計について紹介しました。