一流選手たちとも渡り合う、成り上がり選手たち

巨人という球界屈指のエリート集団の中で、時間をかけて這い上がり、度重なる故障を乗り換えてきた亀井善行(写真:アフロ)

プロ野球界の盟主とされているのが巨人こと、読売ジャイアンツ。12球団で最も古い歴史を誇り、常勝を宿命づけられた名門として、時代を問わず、常に優勝を争ってきました。

一方で常に強くなければということで、巨人は他球団から主力選手を頻繁に獲得するチームとしてもお馴染み。今季も同じセ・リーグのライバルチームである横浜DeNAベイスターズから梶谷隆幸、井納翔一をFAで獲得するなど、その補強ぶりが話題になってきました。

そうした補強でワリを食うことになったのが、若手の選手たち。特にドラフト下位指名で入団した選手たちはただでさえ少ないチャンスがさらに減るため、活躍することなくチームを去るというケースもしばしばありますが……一方で、そうした補強にも屈せず、巨人で主軸を務めるようになった成り上がりの選手も多く存在します。

そこでFA制度が導入された1993年以降、ドラフト4位以下で巨人に入団して主力の座をつかんだ選手たちを紹介します。
 

巨人の成り上がり選手その1:亀井善行(2004年4巡目指名)

巨人の下位指名で成り上がった選手の代表格と言えば、今季、チーム最年長となった大ベテラン、亀井善行の名前が挙がることでしょう。

1年目から20試合に出場するなどコンスタントに出場機会を得ていた亀井ですが、一気に飛躍したのがプロ入り5年目。前年に96試合に出場してレギュラーの座まであと一歩と迫っていましたが、この年はスーパーサブとして第2回WBCで侍ジャパンのメンバー入りを果たし世界一を経験。その勢いのままシーズンに入ると外野と一塁手の併用ながら134試合に出場して打率.290、25本塁打、71打点とレギュラーに定着します。

その後故障とスランプに見舞われ、再びレギュラーの座を奪われますが、それでも亀井は再起して、2018年には再びレギュラーの座に返り咲き。翌2019年には1番打者としてチーム5年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献しました。チームに欠かせぬいぶし銀としての存在感を放ち、今もなお巨人ファンから絶大な支持を受けています。
 

巨人の成り上がり選手その2:山口鉄也(2005年育成ドラフト1位指名)

今でこそ育成選手を最もうまく活用しているチームはソフトバンクという声がほとんどですが、実はこの制度ができた際にうまく活用していたのが巨人。中でも最大のヒットとなったのがこの山口鉄也です。

入団テストを受け、支配下登録選手よりもはるかにチャンスが少ない育成選手としてスタートした山口でしたが、プロ2年目に支配下登録されると、翌年には67試合に登板して、防御率2.32という好成績をマーク。長年中継ぎ投手が弱点となっていた巨人の頼れる中継ぎエースとして奮闘し、この年からなんと9年連続でシーズン60試合以上に登板。2017年に引退するまでに稼いだホールド数は273。これはプロ野球史上第2位となる偉大な記録となりました。

ちなみに現役時代には最優秀中継ぎ投手のタイトルを3度獲得していますが、これもプロ野球史上最多タイという記録に。現在は巨人の三軍コーチとして第二の山口の育成に励んでいます。
 

巨人の成り上がり選手その3:鈴木尚広(1996年ドラフト4位指名)

FA制度が導入されて以降、積極的に補強をするようになった巨人。清原和博や江藤智などの他球団の4番打者をかき集めたことによって破壊力のある打線になりましたが、同時に機動力のないチームに。そのため代走の重要性が増しましたが、そこで走塁のスペシャリストとして台頭したのが鈴木尚広でした。

鈴木がクローズアップされ始めたのはプロ入りから10年が過ぎた2006年。この年から監督に復帰した原辰徳の方針により、俊足に定評のあった鈴木が重用されるようになります。この年は自己最高となる25盗塁を記録して、成功率も.862というハイアベレージ。これで信頼を得た鈴木は以降も代走の切り札として起用されるようになります。

中でも素晴らしかったのは2014年。この年は通算200盗塁を決めるメモリアルイヤーとなりましたが、規定打席到達経験のない選手では史上初となる快挙に。さらにこの年は本塁への生還率が5割を超えるなど、代走のスペシャリストとしての地位を確立。レギュラーではなかったのにもかかわらずMVP投票でも票が入るなど、大きな存在感を示しました。
 

巨人の成り上がり選手その4:戸郷翔征(2018年ドラフト6位指名)

最後に紹介したいのが今季で3年目を迎える若手、戸郷翔征。ドラフト指名当時はほぼ無名の存在でしたが、最速150キロを超えるストレートと切れ味抜群のスライダーを武器にした本格派の投球で一気に注目を集め、プロ入り1年目から一軍の舞台に。初登板となった試合は優勝マジック1が点灯した状態で、この日勝てば優勝という大一番でのものでした。残念ながらこの試合では勝ち投手になれませんでしたが、いかに期待されているかがよくわかります。

そしてプロ入り2年目となった昨季は開幕から先発ローテーション入りを果たしてシーズンでは菅野智之に次ぐ8勝をマーク。今季も先発の軸としてさらなるブレイクが期待されます。
 

スター軍団・巨人を支える下剋上選手たち

いかがでしたか? 巨人は若手選手が育たないと言われがちですが、こうしてみると新旧さまざまな選手が這い上がってきたことがわかります。今季もドラフト5位指名のルーキー、秋広優人が開幕一軍を目指し奮闘中のように、次代のスターが着々と育ってきています。

スター軍団・巨人で飛躍する下位指名の選手たちに注目して見ると、プロ野球がもっと面白く見られるかもしれませんよ。