ひとり芸日本一を決める「R-1グランプリ」のテーマ曲を、HIPHOPユニット・Creepy Nutsが担当することが発表されました。
漫才日本一を決める「M-1グランプリ2020」に続いての起用で、SNSでは「2冠達成」だと話題になっています。
初の賞レース曲が100万回再生! Creepy Nutsという「魔物」
そもそもお笑いの賞レースに「テーマ曲」ができたのは、去年のM-1グランプリ2020が初めてのこと。
漫才師を描いたドラマ「べしゃり暮らし」のためにCreepy Nutsが書き下ろした2019年の楽曲「板の上の魔物」がテーマ曲として採用されました。
決勝前に公開されたスペシャルムービーでは、コロナ禍で「予選1回戦から無観客開催」という逆境の中で戦う漫才師たちと「客がパンパンでもスカスカでもブチカマスだけ」などの歌詞が見事にシンクロ。
YouTubeで100万回再生を越えるほどの話題となり、大会を大いに盛り上げました。
2冠は必然。Creepy Nutsが賞レース曲に選ばれる理由
元々、HIPHOPと漫才は似たところがあります。それはマイクの前で漫才(ラップ)を披露することだけではなく、表現に「生き様」が乗るということです。
役になりきるコントとは違い、基本的に本人のままで舞台に上がる漫才は、その人のキャラクターや、重ねてきた芸歴などのストーリー、いわば「生き様」がネタに乗ることで大きな笑いを生み出します。
HIPHOPも、自分の出生を背負い「生き様」を乗せることで、それが魂のこもった曲となって私たち観客の心を打つことになるわけです。
そう考えると漫才の大会のテーマ曲をHIPHOPユニットが務めるのは必然。しかもCreepy Nutsは、人気と実力だけでなく賞レースでの結果も残しています。
日本最高峰のMCバトル・UMB三連覇のR-指定さんと、世界最大規模のDJ大会・DMC世界大会優勝のDJ松永さん。
いうなれば、Creepy Nutsは存在そのものがすでに「2冠」なのです。
そんな2人の「生き様」が乗っているからこそ「板の上の魔物」は最高のM-1テーマ曲となったのではないでしょうか。
芸人の悲願? 世の中に「バレる!」ということ
そんなM-1の盛り上がりを観て、筆者を含む芸人やお笑いファンの多くがきっとこう思ったはずです。他の賞レースでも、テーマ曲を作ってほしい!
その思いが届いたのかはわかりませんが、Creepy NutsはR-1グランプリのテーマ曲として新曲「バレる!」を書き下ろしました。
「バレる!」というのは「この俺の才能が世の中にバレてしまう!」ということ。
ひとり芸は、ウケるのもスベるのも、すべて自分ひとりの手柄であり責任でもあります。少し不遜にも思えるこの「バレる!」というフレーズが、ひとり芸を披露するときの期待と不安が混ざった高揚感を見事に表現していると感動しました。
さらに、ラジオでオンエアされた2番の歌詞では「化けの皮が剥がされる」「引き出しが尽きたことがバレる」など、世に出た後の苦悩までも表現。
これはまさに、ブレイクした今のCreepy Nutsの「生き様」が乗っているんです! 聞いていて泣きそうになりました。さすが俺たちのCreepy Nutsや……!
こうなると、コント日本一の大会「キングオブコント」のテーマ曲も期待しちゃいますね。
もしかしたら史上初の「3冠」にいちばん近いのは、芸人ではなく、Creepy Nutsなのかもしれません。