誰よりも優れた私でなければ…病的なマウンティングを繰り返す比較女

誰しも一度は、自分以外の誰かと自分とを比較したことがあることでしょう。それが行き過ぎてしまうと困ったことになってしまうことも……?

誰しも一度は、自分以外の誰かと自分とを比較したことがあることでしょう。様々な面を他人と比較することで、自分が現在、どういった立場にいて、どれくらいの実力を持っているのか判断すること。これは「社会的比較」といい、自分自身を客観的に見るために必要な行動であると肯定する人もいます。しかし、それが行き過ぎてしまうと困ったことになってしまうことも……!

誰かと比較することが大好きな幼馴染

埼玉県在住の淳子さん(仮名・28歳)には、幼稚園時代からつきあいがある幼馴染の女性がいます。幼馴染はとても女の子っぽくて可愛らしいタイプで、10代の頃にはヘアサロンのモデルも経験。服装などにも気を遣い、ずば抜けてお洒落だったので、淳子さんにとって彼女と一緒にいることは、ある意味ステイタスになっていたといいます。
 

ともに私立大学の付属中学に進学し、高校、大学とずっと同じ道を歩んできたおふたり。別々の企業に就職しましたが、家が近いこともあり、親友的な関係が続いてきました。幼馴染と一緒にいることでメリットもありましたが、同時に彼女は気になる一面を持っていました。
 

「幼馴染は、誰かと自分を比べるクセがあるんです。それが、なんとも斜め上な比べ方をするんです。例えば、ピアノがすごく上手な同級生がいたんですが、彼女のことを『ピアノは上手いけど、小指の関節が曲がってる』と言ったり、『同じ部活の○○ちゃんのほうが私より先にレギュラーに選ばれたけど、ユニフォームは私のほうが似合ってるよね』と言ったり。何ソレ?って感じの比べ方をするんですよ」
 

なんでそんな比較をするの?と幼馴染に訊ねたところ「私、誰かと比べて自分が劣るって思うとイライラしちゃうの。だから、どこか自分が優れているところを探さずにはいられないんだ。そもそも、比較しちゃダメって法律はないし!」と返され、返事に困った淳子さん。それでも20代前半くらいまでは、『まぁそういう時ってあるよね。若気の至りってやつだよね』と思い、また“斜め上具合”が面白くもあったため、幼馴染の比較談を聞いては楽しんでいたといいます。
 

それが20代後半に入った頃、幼馴染の発言が過激になり、淳子さんは不安を覚えるようになりました。
 

比べようもない存在が現れた時が縁の切れ目に!?

「あの子、顔は(私より)かわいいけど、(私よりも)足が短くてザンネン。あんなスタイルじゃ、私だったら生きていけないかも」
 

「ウチの会社の○○さん、学生時代にTOEIC受けたらしんだけど、私より10点以上低いんだって! それなのに私より上の立場にいるとか、笑っちゃうよね」
 

「習い事で会った○○さんなんだけど、ご主人の実家がお金持ちらしいんだよね。でもまぁ、髪のツヤは私のほうが断然上だと思わない? あんな汚い髪で金持ち自慢とかありえないんだけど!」
 

……相手との比較のみならず相手を貶めるような言い方が増えてきたことから、淳子さんは幼馴染と会話をすることが億劫になっていきました。距離を置きたいものの、家が近く家族ぐるみで仲が良いことから離れることができず、淳子さんはひとりでやきもき。そこに、とある事件が起こりました。
 

「幼馴染の前に、いわゆる“カンペキな人”が現れたんです。幼馴染の会社に中途採用された女性で、学生時代は有名雑誌のモデルをしていたらしく、顔もスタイルも髪型も幼馴染より圧倒的に優れていて、しかも実家がお金持ち。お付き合いしているという彼は一流企業に勤めていて、性格は優しく、仕事も完璧。さすがの幼馴染も文句の付けどころがまるでなかったらしく、イライラがピークに達したようでした」
 

その翌日から幼馴染がとった行動は、「相手がいないものとして振る舞う」というものでした。無視をする、といったレベルではなく、まるっきりそこに“存在しない人”として振る舞うため、仕事が滞ることもしばしば。幼馴染はあっという間に会社で問題児と化し、同じ会社に勤めている共通の知人から「あの子の親友でしょ? なんとかしてよ!」と連絡が入ったことで、淳子さんの知るところとなりました。
 

「その話を聞いて、子ども時代の同じような出来事を思い出したんです。確か小学校4年生のときの転校生だったと思うんですが、その子も幼馴染より何もかもが秀でていたんです。そしたら彼女は相手を無視しまくって、まさしくその場にいないかのように振舞ったんですよ。彼女にとって自分より優れている相手は『見たくも話したくも、声を聞きたくもない相手』なのでしょうね。ちなみに、幼馴染が私と友人になったのは、彼女より私のほうが『お年玉が少なかったから』らしいです」
 

わざわざ縁を切るほどではないものの、「今後、彼女とは少しずつ距離を置いていこうと思っています。もっと早い段階で、私が諭していたら違ったのかな?」と淳子さん。
 

幼馴染の闇は深みを増している模様ですが、出会ったときからそういう性格だったのであれば、淳子さんが諭したところで改善するものではないでしょう。であれば、確かに距離を置くのが賢い選択なのかもしれません。他人と比較することで得られる幸せなど、しょせんはちっぽけなものであるということを、幼馴染が悟る日が来ることを祈るばかりです。

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