「Double Income No Kids」、略して「DINKs」。ふたりでしっかり働き稼いで、独身貴族以上に贅沢な日常を謳歌する夫婦を揶揄した「子なし貴族」という呼び方が広まりつつあります。夫婦ともに正社員で働いていれば、世帯年収は手取り1000万円を超えることはざらで、夫婦仲が良いことから「妬み・嫉み」を買いやすいことも。「子なし貴族」のメリット・デメリットを、DINKs生活中のご夫婦にお聞きしました。

「子なし貴族」のメリットは、1にも2にも“使えるお金”

東京都心のタワーマンション。最寄の駅から歩いて5分。美しい夜景を望む絶好のロケーションに居を構える佐藤さんご夫妻(仮名 / 妻40代前半・夫50代前半)は、行きつけの小料理屋で出会って意気投合。2年の交際期間を経て結婚しました。今年で結婚10年目。子どもを望んだこともありますが、ご主人のほうに問題があり、夫婦ふたりの生活を選んだDINKsです。
 

「子どもを諦めたことで、夫婦仲は驚くほどよくなりました。お互い好きで選んだ相手ですからね。子どもができないからって、離婚する要因にはなりませんでした」
 

ご主人は誰もが知る有名企業の正社員。奥様はフリーランスの仕事で生計を立てていて、収入はふたり合わせて2000万円に少し届かないくらいとのこと。
 

ブランドものや高価なジュエリーを買いあさるような目立った贅沢はせず、無理なく、できる範囲で2人のためにたっぷりお金をかける。それが佐藤さんご夫婦のモットー。
 

「住んでいる部屋は50平方メートル強のこぢんまりとしたもの。中古で購入して自分たちの好きなようにリフォームしたので、とても気に入っています。これくらいの広さだと、夫婦ふたりなら十分な広さですが、やはりファミリー層からは見向きもされないようで、思っていたより手ごろな値段で買うことができました。
 

DINKsのメリットは、やはり“お金”ですね。どちらかに何かあったときのために、生命保険・入院保険はやや高めのものに入って備えていますし、老後に向けてある程度お金を貯めつつ、自分たちの生活にもしっかりお金をかけることができています。夫とは『子どもはできなかったけど、それはそれでよかったかも?』と笑い合うこともあります」
 

コロナ禍に入るまで、週に2~3回は近所のレストランで夕食をとり、GWやお盆休みなど長期休暇の際は大好きな海外旅行へ。大人だけで好きなように暮らす生活は、「快適そのもの」なのだとか。
 

日本で“独身貴族”という言葉が生まれて久しいですが、一人分の料理を作ると材料費が割高になりがちで、レストランで思うようにお酒や料理を頼むことができず、旅先では「ひとり部屋料金」等がかかるし、ひとりの老後に不安を抱えていたり……と、独身ならではのデメリットは少なくありません。
 

その点、夫婦ふたりきりの生活は、確かに優雅でリア充感満載。周囲からは、分を超えた贅沢をしているようにも見えることでしょう。
 

それでも、夫婦になったのに“子どもがいない”ということは、佐藤さん夫妻のように何かしらの理由があるもの。そのことを知らずに攻撃してくる人がいて、「ときどき面倒くさい!」のだと佐藤さんご夫妻は語ります。
 

周囲からのやっかみが無ければ、デメリットなしの人生!?

「ひがみなんでしょうけど、ヘンに絡んでくる人もいるんですよ。『子どもいないといいよねぇ~、自由にお金使えて~』とかって。その言葉自体に間違いはないので『うん、すごい気楽だし、楽しいよ♪』って返したところ、相手は嫌味が通じなくてイライラしたみたいで『女はね、子どもを育ててナンボなんだよ!』と言い返されてしまって(笑)。
 

まぁ……周囲からすると、私たちはすごく余裕があるように見えるんでしょうね。ふたりとも仕事が好きで稼ぎもあるので、余裕があることに間違いはありませんけど。でも、それって自分が選んだ道じゃないですか。子どもを産んで育てることを決めたのも、ご主人の稼ぎだけで暮らす専業主婦になったのも、すべて自分の選択。私たちはたまたま子どもができなくて、夫婦で話し合って、この生き方を選んだだけ。お金があって羨ましいからって嫌みをいわれても……と思わずにはいられません」
 

ちなみに、子どもがいないことをご親族はどう思っているのか聞いてみたところ、
 

「ありがたいことに、どちらの親も『孫はいてもいなくてもいい』という感覚だったんですよ。とくに義母は『結婚できないんじゃないかと思っていた息子が結婚してくれた! それだけで十分にうれしい』と言ってくれて、遊びに行くと、まるで実の娘のように可愛がってくれています。私の親も『別にふたりが幸せならそれでいい。子どもがいることだけが、幸せなわけじゃない』とアッサリ。親族からのストレスがないのは、ありがたいですね」
 

と奥様。なるほど、似た者夫婦の家族もまた、価値観が似ているということなのでしょう。
 

佐藤さんご夫妻は、夫婦にとっての「正解」を選び、今の生活があります。ふたりきりの生活が「幸せ」だと語る佐藤さんご夫妻。当事者にしてみれば、いい表現とはいえないのかもしれませんが、「貴族」という呼び方が最もふさわしいのは――確かに「子なし夫婦」かもしれません。