11月17日、大晦日に放送される「第71回NHK紅白歌合戦」の出場者が発表された。今回出場するのは紅組20組、白組21組、企画1組の計42組で、うち10組が初出場。NHKの発表によるとこれは「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」を軸に、売上げなど諸々のデータを考慮して決められたものだということだが、その裏にはもちろん様々な思惑や意向があるだろう。
ジャニーズ7組出場にはジャニーズ事務所の事情が?
すでに各メディアが今回の顔ぶれについて報道しているが、やはり最も注目されているのはジャニーズ事務所から7組ものグループが出演することだろうか。確かにジャニーズ事務所からこれだけ多くのグループが出演するのは2015年の第66回以来。今年で活動休止となる嵐が出演するのはもちろんだが、筆者が気になっているのはSixTONES、Snow Manらの初出場だ。
ジャニーズ事務所は近年、スター級の所属タレントの流出が続き、早急に若手を売り出す必要に迫られている。今回の7組出場は、そういった事情を抱えるジャニーズ事務所と、ジャニーズファン層を取り込みたいNHKの思惑が合致した結果ではないのかとにらんでいるのだ。
女性アイドルシーンの変遷を物語るAKB48落選
一方、女性アイドル枠ではAKB48の落選も大きな注目を集めている。同じ秋元康プロデュースの櫻坂46、乃木坂46、日向坂46ら坂道シリーズといわれるグループが出演を決めたにもかかわらず、かつて女性アイドルブームの中心的存在だったAKB48がそこに加われなかったのはなぜだろうか。
コロナ禍以降、ライブや握手会ができなくなった影響なのか、シングルリリースは3月の「失恋、ありがとう」1枚きりと例年にくらべて寂しい結果になったが、売上やチャート自体は落ちているわけではない。あえて原因を探るなら、(何年も前からだが)主だったスターの卒業が相次ぎ、AKB48の看板がやや過去のイメージになりつつあることだろうか。盛者必衰は世の理だが少し切ない。
NiziU、LiSA、BABYMETALら海外からも注目される出場者
ほかにも2PMやTWICEと言った人気韓流グループを多数手がけてきた韓国の人気音楽プロデューサーJ.Y.ParkがプロデュースするNiziU、アニメ「鬼滅の刃」の主題歌で大ブレイク中のLiSA、ヘビーメタル音楽とアイドルスタイルの融合で絶大な人気を誇るBABYMETALらも現在発表されている出場者の中では目玉と言えるだろう。
NiziUの出場が韓国のメディアで大々的に取り上げられたというニュースがあったが、この3組にはジャニーズ組や坂系グループと同様に海外の音楽ファンからも大きな注目が集まっているという共通点がある。
紅白歌合戦は海外100以上の国や地域でも衛星放送や動画配信サービスを通じて視聴できる。特に日本の音楽シーンに関心の深い中国、台湾、韓国では一定の視聴層がいるので、嵐のラスト出演に加え、この注目の3組が出場するとなると例年以上に大きな盛り上がりが期待できると思うのだがいかに。
年々、演歌や歌謡曲の大御所枠が少なくなり、中高年の方にとってはいささか寂しい紅白歌合戦だが、個人的には次の時代に繋げてゆくためさまざまな工夫がこらされていると感じている。今年の紅白歌合戦が最終的にどんな形で歴史と視聴者の心に残るのか楽しみにしたい。