今年の春から続くコロナ禍によって、常にマスクをつけて、どこへ行くにもアルコール消毒や検温が必要になり、密を避けるために旅行や飲み会といったストレス発散の場を自粛する生活を強いられて……、精神的に疲れている人が男女を問わず増加中。そうした心の疲弊が続くことで「コロナうつ」など症状を悪化させてしまう人も増えていると、精神科医やメンタルカウンセラーは警鐘を鳴らしています。

もしかして、同僚がコロナうつ!? 30代女性の例

群馬県在住の潤子さん(38歳)は、このコロナ禍で同僚の扱いに困っているひとりです。
 

「誰が悪いわけでもなく仕方ないこと……と、私はすっかり割り切っているのですが、同僚のひとりが疲れて果ててしまったようで、それこそ朝から晩までずっとイライラしているんです。ヤマアラシちゃん、なんて陰で嫌味を言う人もいて、早くコロナが収まらないかなぁって、ずっと思っていました」
 

ひと月ほど前、潤子さんたちが働いている場所のすぐ近くで発症者が出たという噂が社内に広がると、その同僚の怒りは頂点へ。
 

「爆弾が目の前で爆発した!というのがピッタリなくらいで、仕事中だというのに彼女が急に大声で怒鳴り始めたんです。それも聞くに堪えないような汚らしい言葉だったので、私はもちろん、周囲は茫然。時間にして数分間だったとは思うのですが、その後、彼女は部長に連れて行かれました」
 

同僚はすぐに在宅勤務となり、その後はまだ顔を合わせていないという潤子さん。社内では「あれがコロナうつか~」と話題になっているのだとか。
 

「部長が精神的なケアをするクリニックへの通院を勧めたらしいのですが、本人がそれを拒否しているらしく、通院して診断書をもらうまでは出社NGとなり、テレワークという名の自宅待機になったみたいです。
 

それというのも、あの日、すぐ隣の会議室にクライアントがいたこともあり、社長がかなりお怒りみたいで……。同僚に対し、意地を張らずに病院に行ったほうがラクになるのでは?と、今、社員で説得しているところです」
 

ネガティブ発言が増えた妻……40代男性の例

東京都在住の一哉さん(49歳)は、奥様、大学生の娘さんと3人暮らし。このコロナ禍で奥様に変化がありとまどった経験を持っています。
 

「長く続いた自粛生活で、妻が疲れてきているな、とは感じていました。元々愚痴の多いタイプではあったのですが、それがかなりひどくなり、トゲトゲとした物言いが増えてきていたんです」
 

しかしある日のこと、さすがに看過できない問題が起こりました。
 

「娘は某私立大学に通っているのですが、3月から7月はほぼフルで在宅授業。9月に入ってからも通学での授業は午前中だけのことが多く、午後はオンライン授業ばかりになりました。妻はそれが気に入らなかったらしくて……」

10月初旬のある日のこと。お子さんから「ママを止めて!」という懇願があり、そこでようやく、奥様の状態を知ることになったという一哉さん。
 

「どうやら妻は、大学に対して鬼のように電話をかけては、オンライン授業なんて頭がおかしい、ちゃんとした授業を受けさせろと苦情を言っていたようなんです。あまりにもしつこく電話をかけてくるため、仕事にならずに困った学生課の職員から娘に連絡があったようで……娘は『ママがおかしくなった!』と半泣き状態でした」
 

その話を聞いた日の夜、一哉さんは奥様に対し、なぜそのような電話をするのか、大学側にどうしてほしいと思っているのか、ただ、現状が現状である以上、無理を言うことはできないのではないか?ということを話しました。
 

「妻は、高い授業料を払っているのにオンラインなんて怠惰すぎると、そう言うんですよ。僕はIT企業に勤めているので、オンライン授業に関するシステムを作るにも時間と経費がかかることを理解していますし、妻にも説明してはみたのですが、聞く耳を持ってもらえませんでした。挙句『あなたも娘も私をないがしろにする!』と被害妄想を爆発させるばかり。その言葉を聞いて、ああ、これ、精神的に病んじゃってるんだ、と感じました」
 

近所のメンタル系クリニックに奥様を伴って出掛けたところ、うつ状態にあるとの診断で投薬治療をすることになりました。奥様がなかなか薬を飲もうとしないため、朝は一哉さんが、夜は娘さんが、なんとかなだめて薬を飲ませているといいます。
 

「こんなことになるなんて……と、本当に驚いています。コロナの前までは、繊細ではあっても、モンスターな妻ではありませんでしたから。もちろん離婚は考えていませんし、妻の病に寄り添う予定ですが……これ、いつまで続くんだろう?とは思ってしまいます」
 

続くマスク生活も自粛生活も、すべて新型コロナウイルスのせいであり、大変なのは誰もが同じです。ただ、その大変な状況への耐性は「強い」「弱い」があるもの。周囲より過剰な反応を示しているかも?と感じたら、できるだけ早い段階でカウンセリングを受け、心の疲労を取りのぞくことが、コロナ禍に対抗する手段のひとつでもあります。精神科に通院するというとマイナスの印象を受ける人がまだまだ多いようですが、欧米先進国では、カウンセリングを受けることはごくごく一般的に行われていること。もしも今、辛い思いを抱えている方がいたら――風邪を引いたときに内科にかかるのと同じような感覚で、クリニックを受診してみてはいかがでしょうか。