開幕から途中出場が続く久保建英、その理由は

写真:ムツ・カワモリ/アフロ

久保建英が加入したスペイン1部のビジャレアルは、過去5シーズンでリーグ5位以内が4度の強豪だ。現所属メンバーにはスペイン代表に選ばれているディフェンダー(DF)のパウ・トーレス、フォワード(FW)のジェラール・モレノがいて、スペイン代表経験を持つゴールキーパー(GK)セルヒオ・アセンホ、DFラウール・アルビオル、マリオ・ガスパール、ミッドフィールダー(MF)ダニエル・パレホ、FWパコ・アルカセルらが揃う。

さらに、外国籍選手として元アルゼンチン代表DFフネス・モリ、エクアドル代表DFペルビス・エストゥピニャン、ナイジェリア代表FWサムエル・チュクウェゼ、元コロンビア代表FWカルロス・バッカらが在籍している。

久保がスペイン移籍1シーズン目を過ごしたマジョルカに比べると、国際的な実績を持った選手がケタ違いに多い。国内でも有数の保有戦力を誇るチームと言っていいだろう。

9月第2週に開幕した20-21シーズンのスペイン1部リーグで、久保は10月18日の第6節まで一度も先発出場していない。全試合で後半途中からの出場となっている。

スタメンで出られない理由はわかりやすい。久保がポジションを争うジェラール・モレノ、チュクウェゼ、モイ・ゴメスは、昨シーズンもビジャレアルでプレーしており、コンビネーションが構築されている。一方の久保は新加入選手として、試合を重ねながらコンビネーションを深めている立場だ。

ビジャレアルはリーグ戦で上位を目ざすチームだけに、ウナイ・エメリ監督の選手起用も手堅くなる。経験のある選手を重用しながらすでにある連携を重視して勝利を目ざしつつ、久保については試合を通してチームに馴染ませていく、というのが指揮官の方針と考えられる。
 

過密日程で出場のチャンスが拡大

定位置確保には至っていない久保だが、ここまで全試合に途中出場しているのはポジティブにとらえていい。

サッカーの選手交代には戦術的な理由と逃げ切り狙い(時間稼ぎ)の2種類に分けられるが、久保の投入は戦術的な意図が込められたものだ。

現地時間10月18日に行なわれたリーグ第6節のバレンシア戦は、1対1の時間帯に投入された。この試合ひとり目の交代選手として、勝利につながるプレー期待されて送り出された。

果たして久保は、エメリ監督の起用に応えた。意外性に富んだヒールパスが、チームの決勝点につながったのだ。アシストはつかなかったものの、目に見える結果を残した。

スペイン1部リーグ初挑戦となった昨シーズンは、出場3試合目で初アシストを記録した。初得点は移籍後12試合目、出場10試合目だった。アシスト相当のプレーは昨シーズンより遅れたものの、初得点は昨シーズンを上回る可能性を残している。

ビジャレアルはヨーロッパ各国の上位チームが集うヨーロッパリーグ(EL)に出場する。チームは10月下旬からリーグ戦とELを並行して戦っていく。

スケジュールが過密になれば、控えの立場の選手にも出場のチャンスが巡ってくる。試合ごとにスタメンを入れ替える「ターンオーバー」と呼ばれる選手起用法を、エメリ監督が採用するかもしれない。

さらに付け加えると、ビジャレアルの攻撃陣で中核を担うジェラール・モレノが、10月中旬にケガを負ってしまった。同18日のリーグ戦から戦列を離れており、およそ1か月は試合に出場できないと見られている。

ヨーロッパでプレーする日本人選手にとって、日本代表に招集されることは時に負担になるものだ。日本国内での試合に出場するには長距離移動を強いられ、所属先に戻った身体は疲労と時差を感じる。リーグ戦で結果を残すのは難しい状況に立たされる。

本人は「問題なし」をアピールしても、監督は起用を控えたりするものだ。マジョルカに在籍した昨シーズンの久保も、9月から11月まで3か月連続で日本代表に招集され、監督からコンディションを不安視された。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、日本代表のスケジュールは大幅に変更された。10月の活動はオランダで行なわれ、11月もスイスで合宿をする予定だ。日本代表に招集されても、コンディションを落とすことはないだろう。

10月後半から11月にかけての試合は、ビジャレアルでの今シーズンを左右するものになるだろう。ここでアピールに成功すれば、定位置奪取が近づいてくるはずだ。久保の今後に要注目である。