愛情も関心も特にない…だけど「離婚もしたくない」夫の呆れた本音

離婚に際して夫婦の話し合いや第三者を入れた協議だけでは終わらず、裁判(離婚調停)に持ち込む例が、ここ数年でじわじわ増加。離婚を突き付けられている事実に目を向けられず、「離婚しようとしない」男性が増えていることも理由になっているようです。

平成16年には10.3%だった数値が4年後の平成20年には12.1%と、離婚に際して夫婦の話し合いや第三者を入れた協議だけでは終わらず裁判(離婚調停)に持ち込む例が、ここ数年でじわじわ増加しています。離婚調停の際に顕著になってきているのは「女性からの申し立てが圧倒的に多い」ということ。そして、妻側から離婚を突き付けられている事実に目を向けることができず、「離婚しようとしない」男性が増えていることも、裁判が増加する理由になっているようです。

冷え切った生活が20年以上続いていたのに……

宮城県在住の関口杳子さん(仮名・52歳)は、コロナ禍に入った春、ご主人に離婚したい旨を申し入れました。結婚生活はおよそ30年。父方親戚からの紹介でお見合い結婚したご主人とは、「結婚当初から、愛情は感じられなかった」といいます。

「結婚した以上は、せめて夫婦としての愛情を持ちたいと思い、私なりに努力してきました。でも、子どもが生まれても夫は無関心。私と子どもの生活費も、子どもの教育費も、すべて私が働いて得たお金でやりくりをしました。結婚する際、私の実家が所有していた土地に、私の父母に援助してもらったお金で戸建てを建てました。夫はローンの半額はもってくれましたが、ただそれだけ。生活費を入れる、という概念は夫にはなかったようです」

ご主人の無関心ぶりは、お子さんが小学校に上がる頃には「他人レベル」になりました。土日は朝から趣味の釣りやパチンコへ。平日は早く帰ってきたと思えば居間を占領してテレビ鑑賞。長期休暇に家族そろって出掛けることはほとんどなく、杳子さんはお子さんを連れて、義実家を訪ねたり旅行に行ったり。まるで母子家庭のようだったと、お子さんが産まれてからの時間を振り返ります。
 

「今年ようやく子どもが独り立ちしたんです。長かったけど、これでようやく“母”として、“妻”として、荷を下ろせると思いました。なので夫に『離婚したい』と告げたんです」
 

あれだけ無関心だったのだから、離婚にもホイホイと応じるだろう。そう思っていた杳子さんでしたが、ご主人からの反応は思いもしないものでした。
 

「『離婚なんてするわけないだろう。俺の面倒は誰が見るんだ』って。夫はそう言いました。この人は、いったいぜんたい、何言ってるんだろう? 私がこれまで考えていたことを、ひとつひとつ説明しました。家にお金も入れず、週末は趣味三昧。子供の進学にも就職にも無関心。共に出掛けたこともない。これまで夫婦らしいことなど数えるほどしかしていない。それでどうして、私があなたの未来まで面倒を見ると思ったの?って」
 

ご主人は無言のまま自室に引きこもり、その日から、杳子さんとご主人は顔を合わせることなく暮らし始めました。ご主人の分の食事をつくるのをやめ、洗濯や掃除もご主人の分を放棄。トイレやお風呂など共有部分だけは気になるので掃除をしているといいますが、それ以外の面では「赤の他人」を貫いているのだとか。
 

「私も夫も緊急事態宣言により在宅になっていたんですが、ひとことも口をきかずに2ヶ月ほどを過ごしました。思い余って私の分を記入した離婚届を夫に渡したのですが、夫は無言で破り捨てるだけ。それでいて『なぁ、もういい加減、拗ねるのやめろよ』ですって(笑)。拗ねてる? 私が? 何に? って、部屋に戻って爆笑しちゃいました。ほんと、何を考えているんでしょうね。夫にしたって、離婚したほうが、好きに釣りに行って好きにテレビ見ても文句も言われない生活が待っているのに。これまでエサもやらずにいた魚が自分に懐いているとでも思ってるんでしょうか。無言を貫いたら、以前のように面倒を見てくれるとでも思ってるんでしょうか。『濡れ落ち葉』って、よく言ったものですよね。今の夫、ブザマったらないですよ。ほんと」
 

理解不能な論理を振りかざす、“離婚したくない”夫

石川県在住の平田敬子さん(仮名・42歳)もまた、離婚してくれない夫に苦悩しています。離婚したい理由はご主人の金遣いの荒さと女性関係。浮気というほどではないものの、キャバクラやスナックに入り浸り、どんどんお金を使ってしまうことが敬子さんの悩みの種でした。
 

「何度も何度も夫に文句を言ってきました。ひどいときには一晩に何軒ものキャバクラをはしごして、10万円近いお金を使ってしまうんです。夫の仕事は建設関係で、付き合いでそういう店に行くことがあるとは聞いていましたが、まさかこんなにひどかったとは……」
 

お子さんの教育費用として貯めていた貯金を使い込んでいたことが決定打となり、敬子さんはご主人に離婚を申し入れました。しかしご主人は鼻で笑うばかり。
 

「俺は何も悪くない。お前が勝手に離婚したいと言うんだから、俺に対して慰謝料を払え。500万円、耳を揃えてもってきたら離婚してやってもいい」
 

……そうご主人に言われ、敬子さんは驚いたといいます。
 

「あなたの浪費が原因で離婚するのだから、私から慰謝料を払う義務はないと言ったら『離婚した後、お前が俺の妻としての仕事を放棄する分のお金をもらわなきゃ割に合わない!』って言われて。ああ、この人は、私のことを家政婦としてしか見てなかったんだって思って、愕然としました」
 

「尽くす妻」の構図が、男を増長させている!?

男性が離婚を拒否する理由の最たるものとして挙げられる理由に、離婚後の「不便さ」があるといわれています。また、男性は女性以上に環境の「変化」に弱く、先に登場したご主人たちの例を見ると分かりやすいのですが、“自分の世話を焼いてくれる快適な場所(=家庭)”が失われることを極端に恐れる傾向にあります。
 

自分のこれまでを棚に上げるどころの話でなく、本人たちにとっては完全に「ノーカウント」になっているのですから、我慢を強いられてきた妻からみたらたまったものではありませんよね。
 

おふたりがなるべく早く離婚できることを祈りつつ……、「家事は女性がやるべき」「居心地の良い家庭を女が作るべき」「男は金さえ稼いでくればいい」といった昭和初期レベルの男尊女卑社会が少しでも早く改善されることを願うばかりです。

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