誰かが発信するSNSは、共感を呼ぶこともあれば、心を不安にさせ、嫉妬心を呼び起こすこともあるようです。今回のコロナ禍で、思うように外で過ごせず時間を持て余し、他人のSNSをのぞいては嫉妬にかられてしまう「ロックダウンジェラシー」という症状に陥る人が急増しているようです。いったい、何がそこまで人を追い詰めてしまったのでしょうか。

「私のほうが格上だったはずなのに!」闇が止まらずボッチになった20代OL

東京都在住の莉奈さん(仮名・26歳)は、この夏、自分の中に芽生えたドス黒い感情に驚きが隠せませんでした。
 

「会社の同じ部署に、私を含めて同期の女性が3人いるんです。3人とも独身だったため、これまでずっと仲良くやってきていました。海外旅行に行ったこともありますし、ほんの半年前までは会社の近くにあるイタリアンに集まっては会社の愚痴を言い合ったり、いい男が欲しいねーなんて他愛もない話をしたりしていました」
 

しかしコロナ禍で、その関係にヒビが入る出来事が起こったのです。
 

「私たちは医療関係の仕事に就いています。感染などもってのほかということで、緊急事態宣言よりも前にテレワークになりました。もちろん、旅行や飲みなんて言語道断。同期たちとたまにLINEで話すことはありましたが、それまでのように密な付き合いはできなくなってしまったんです」
 

GWに入ってすぐの頃。何気なくのぞいた同期のTwitterに、莉奈さんは違和感を感じました。これまでは気まぐれに、その日に食べた料理等についてちらほらとアップしているだけだったのが、急に、「部屋の中をきれいにした」「部屋に花を飾った」「料理がんばる」そんな“アピール”がアップされるようになったのです。
 

「あー、これは男できたな。そう思ったんです。同期3人のグループLINEでそれとなく聞いてみると、私の勘は当たっていました。しかも相手は社内でも人気営業マンで、私もひそかに狙っていた男性だったんですよ。同期より私のほうが絶対に可愛いし仕事もできる。それなのになぜ? なんであの子が?って、そう思ったらもう、嫉妬心が止まらなくなってしまいました」
 

このことがきっかけとなり、莉奈さんはわずかでも時間が空くとスマホをいじり、同期のTwitterを確認する日々を続けるようになったといいます。
 

「7月に入って会社が通常業務になると、同期は恋人とともに堂々とデートに出掛けるようになり、それをいかにも幸せです~って感じでアップし始めました。それが悔しくて……『まだまだ自粛が必要な時期なのに何やってんの? 彼氏ができたからって調子に乗ってるんじゃないでしょうね?』。そんな言葉をLINEで送ってしまったんです……」
 

いくらなんでもひどいんじゃないか?と同期ふたりから責められ、LINEをブロックされ、友情も壊してしまった莉奈さん。それでも嫉妬心のほうが勝り、彼女たちに謝罪することはできず……今、彼女は会社でひとりぼっちでランチを食べる生活を続けているといいます。
 

「隣の芝生が青過ぎた」嫉妬心を抑えられない30代主婦

「自分だけが人生の底辺にいるようで、辛くて辛くてたまらないんです」
 

そう語るのは、千葉県在住の裕奈さん(37歳)。10年前に結婚し、8歳になるお子さんと、都内の企業で働くご主人、3人で千葉市郊外の戸建に住み、何不自由ない生活をしてきました。
 

「優しい夫。かわいい子ども。私って幸せだなぁーって思いこそすれ、生活に不満を感じたことはこれまでなかったんです。でも、隣に住むママ友のSNSで、3人目のお子さんを妊娠したことを知ってしまって。ジェラシーが止まらなくなってしまいました……」
 

もうひとりくらいは子どもを……と、裕奈さん夫妻は昨年から2人目不妊の治療を始めました。しかしそうこうするうちに、世界はコロナ禍に。医師から「今妊娠するのはリスクが高いから、やめたほうがいい」と説得され、不妊治療を中断せざるを得なくなってしまいました。しかし、そこに来ての、お隣さんの妊娠。裕奈さんは情けないやら悔しいやらで、SNSを読んだ後、部屋にこもって泣きじゃくってしまったといいます。
 

以来、お隣さんの何もかもが許せなくなってしまったという裕奈さん。挨拶をされても無視。子どもを遊ばせることもやめ、自粛生活から引きこもり生活へ。私だって子どもが欲しいのに、どうして彼女だけ?ずるい、ひどい、私の気持ちも知らないで……そんな想いが、彼女を支配していったのです。
 

「夫は、はじめのうちは私のことを慰めてくれました。でも、1週間もたつとだんだんイライラするようになりました。『おまえは自分だけが不幸だって思ってるかもしれないけど、コロナ禍で大変な人はたくさんいる。自分だけが不幸だなんて考えるな』と言われて、私は激怒してしまったんです。夫なら、妻の味方をするのが当たり前では? なんでそんな酷いことを言うの? そう夫を責めてしまって……」
 

この日以後、ご主人とは最低限の会話はするものの、それまでのように仲の良い夫婦に戻れなくなってしまったという裕奈さん。お子さんもそのことに感付いているのか、裕奈さんの前ではあまり笑わなくなってしまったといいます。
 

「隣のママが妊娠さえしなければ、コロナにさえならなければ、あのとき、彼女のSNSを見なければ……毎日そればかりを考えてしまいます。どうして私だけがこんな目に? 私は誰よりも幸せだったはずなのに? なんでこんなことになってしまったんでしょうか……」
 

コロナ禍により外との関わりが減り、視界が狭まる中、「ロックダウンジェラシー」に囚われないためには、他人のSNSを見て一喜一憂するのではなく、自分の生活をきちんと見つめ、他人と比べないことを意識して行っていく必要があります。友情も家庭も壊したくないのであれば――「他人のSNSは見ないに限る」のが正解かもしれません。そうして心を落ち着けて……莉奈さん、そして裕奈さんのおふたりが、穏やかな日々を取り戻すことを願ってやみません。