サッカー日本代表、10月に活動再開!そこにある国際的なルールとは

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、スポーツにも大きな影響を及ぼしている。サッカーは国際試合の延期が相次いでおり、日本代表は活動ができない状態が続いていた。しかし、10月にようやくチームを招集できることになりそうだ。

国際試合は世界共通の日程で

サッカー各国代表チームの活動は、国際サッカー連盟(FIFA/フィファ)によってスケジュールがあらかじめ決められている。国際試合が行なわれるタイミングを全世界的に統一し、その間は各国リーグを中断することで、選手が代表チームの活動に支障なく参加できるようにしているのだ。すでに2024年までのスケジュールが決定済だ。

これにより、たとえばクラブ側が「代表チームに参加すると長時間の移動や時差などで選手が疲労するので、参加させたくない」と主張しても、代表チームは選手を集めることができる。主力選手がヨーロッパのクラブでプレーする南米やアジアの国々にとっては、FIFAによるスケジュールの統一でベストメンバーを組みやすくなる、という言い方もできる。

FIFAの定めたスケジュール以外でも、大会や試合を行なうことはできる。ただ、その場合は各国リーグが中断されていないため、招集できない選手が出てきてしまう可能性がある。

代表チームが活動する期間は、国際的に『インターナショナルウィンドウ』と呼ばれている。2020年の上半期は3月と6月に設定されていたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で中止となった。8月末から9月上旬のインターナショナルウィンドウも、ヨーロッパ地区のみの活動となり、南米、アジア、アフリカなどの他大陸では代表チームが招集されなかった。
 

新型コロナ感染拡大で20年は9月まで活動なしに

新型コロナウイルスの感染拡大以前の予定では、昨年から行なわれている22年カタールW杯アジア2次予選の残り試合が3月と6月に行なわれ、9月からは同最終予選がスタートするはずだった。しかし、アジアサッカー連盟は「すべての参加者の健康と安全を確保する」観点から、2次予選を来年3月以降に延期した。

その間のFIFAのインターナショナルウインドウはどうなっているかと言うと、10月と11月に2試合ずつ消化できることになっている。

日本代表を率いる森保一(もりやす はじめ)監督は、この活動期間を使いたいとの意向を持ってきた。インターナショナルウィンドウにチームが集まったのは、昨年11月が最後となっている。ほぼ1年以上も活動ができていないのだ。

このまま何も活動できずに21年を迎えると、来年3月のW杯アジア2次予選をぶっつけ本番で迎えることになる。キルギスタン、タジキスタン、ミャンマー、モンゴルとの2次予選は、はっきり言って負ける要素の見当たらない格下との戦いだ。それでも、1年半もの空白期間が横たわるとなれば、自信より不安が先に立ってしまうかもしれない。森保監督でなくとも、10月と11月にテストマッチなどを消化して、来年3月のW杯2次予選に望みたいと考えるだろう。
 

10月にオランダでアフリカ2か国と連戦

朗報が届いたのは9月中旬だった。10月のインターナショナルウィンドウにカメルーン、コートジボワールと対戦することが決まったのだ。会場はいずれもオランダ国内が濃厚となっている。

ヨーロッパ各国は域内の独自大会『ネーションズリーグ』をインターナショナルウィンドウに充てており、スケジュールの余白がない。このため、アジアと同じように公式戦のないアフリカ諸国に対戦を募り、W杯出場経験を持つ強豪2か国とのマッチメイクが成立した。カメルーンもコートジボワールも主力選手がヨーロッパ各国リーグでプレーしており、比較的選手を集めやすい。

オランダでの実施となった理由は、ふたつにまとめられる。日本国内に海外からチームを招くのは難しいことと、海外へ渡航した日本人は帰国後に14日間の自主隔離が必要なためだ。

その流れで推測すると、日本国内でプレーする選手の招集は難しいだろう。

J1リーグは2月末から6月末まで中断された影響で、例年なら中断されるインターナショナルウィンドウ期間中も試合が組まれている。そうなると、日本代表に選手を送り出したチームは、最大で1か月前後もその選手を欠くことになる。

今シーズンはJ1からJ2への降格がないものの、さすがに不公平感を拭えない。ヨーロッパで活動をするならば、Jリーグからは選ばないほうが賢明だ。主将の吉田麻也(サンプドリア/イタリア)をはじめとして、久保建英(ビジャレアル/スペイン)や南野拓実(リバプール/イングランド)らが顔を揃えることになるだろう。

どのような判断に基づいても、何かしらの制約下での活動となるのは避けられない。”ウィズコロナ”でのチーム強化という難題に、日本代表の森保監督はどのように立ち向かっていくのか。日本サッカー協会のサポート体制も含めて、今後の取り組みが注目される。

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