東京五輪世代の再注目は久保

写真:Pablo Morano/アフロ

ヨーロッパ各国のサッカーリーグが、9月に入って続々と開幕している。来年5月まで開催される今シーズンは、東京五輪出場を狙う選手にとって重要な意味を持つ。ここでのアピールはメンバー選考に直結していくからだ。

五輪の男子サッカー競技には年齢制限がある。サッカーW杯との差別化をはかるために、開催時点に23歳以下の選手でチームが編成される。

今回は1年間延期されたため、そのまま条件が繰り越された。1997年1月1日以降生まれで、開催時点で24歳の選手が出場できる(文末の注も参照)。

東京五輪世代と呼ばれる選手たちのなかで、再注目は久保建英だ。19年6月にスペインの超名門レアル・マドリードと契約した彼は、同じスペインのマジョルカへ期限付き移籍した昨シーズンに続いて、今シーズンはビジャレアルでプレーする。

昨シーズン5位のビジャレアルには、新旧のスペイン代表、南米やアフリカ各国の代表選手が揃う。マジョルカよりポジション争いは厳しい。19歳の久保が、どこまで試合に絡めるか注目だ。
 

堂安はオランダからドイツへ

17年夏からオランダでプレーしてきた堂安律(22歳)は、ドイツ・ブンデスリーガのビーレフェルトへ期限付き移籍した。所属元のPSVアイントホーフェンでは十分な出場機会を得られないためで、左利きのアタッカーはドイツからアピールする。

ブンデスリーガでは、遠藤渓太(22歳)もプレーしている。今夏に横浜F・マリノスからウニオン・ベルリンへ期限付き移籍した。ステップの細かいドリブルで、チャンスメイクを担う。

久保や堂安と同じ左利きのアタッカーでは、三好康児(23歳)がベルギーで2シーズン目を迎えている。移籍1年目の昨シーズンはリーグ戦で1点に終わっており、今シーズンはさらなる上積みが望まれる。

というのも、五輪はW杯より5人少ない18人でチームが編成される。同タイプの選手が複数人選ばれるとは考えにくい。同じ左利きの久保、堂安、三好は、互いを上回る数字が欲しいところだ。
 

メンバー入りには数字が必須

三好と同じベルギーでは、シントトロイデンの伊藤達哉(23歳)と中村敬斗(20歳)も東京五輪世代だ。加入2年目の伊藤はもちろんオランダのクラブから移籍してきた中村も、1年目から結果が欲しい。彼らもアタッカーだけに、得点やアシストを残すことがアピールになる。

ポルトガルでプレーする食野亮太郎(22歳)と藤本寛也(21歳)も、分かりやすい結果を示したいところだ。イングランドの強豪マンチェスター・シティからリオ・アヴェに期限付き移籍中の食野は、迷いのない仕掛けで決定的な場面を作り出す特徴を、加入1年目のチームで見せつけたい。J2の東京ヴェルディからジル・ヴィセンテの一員となった藤本は、持ち前の攻撃的センスを見せつけたい。

スペインの名門バルセロナのBチームには、安部裕葵(21歳)が所属している。相手守備陣の急所へもぐりこんでいくような仕掛けが強みだ。

バルセロナのBチームは3部相当のリーグにいるため、安部は誰よりも数字を残すべき立場と言える。8月下旬に新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出たことが明らかになったが、コンディションを早期に回復してアピールの準備を整えたい。
 

守備のリーダーは冨安で当確

東京五輪出場に、すでに当確ランプのつく選手もいる。イタリア1部セリエAのボローニャでプレーする冨安健洋(21歳)だ。

18年1月から19年6月までシントトロイデン(ベルギー)で経験を積み、同7月にボローニャの一員となった冨安は、188センチの高さに加えてコンタクトプレーの強さ、攻撃につながるパスセンスなどを備え、守備の文化が根付くイタリアで評価を上げた。すでに日本代表でも定位置を確保しており、東京五輪でも守備の中心となることが期待される。

その冨安と最終ライン中央でコンビを組むのは、オランダ1部フローニンゲンの板倉滉(23歳)になるだろうか。冨安と同じように対人プレーに強さを発揮し、逞しい体格の選手が多いオランダでも存在感を示している。

東京五輪世代のリーダー格となる中山雄太(23歳)も、オランダで研鑽を積んでいる。センターバックでも、守備的なMFでもプレーできるレフティーは、19年1月からズヴォレでプレーしている。

ひと口にヨーロッパのサッカーと言っても、リーグのレベルはそれぞれで、クラブの目標も様々だ。そのなかではっきりしていることがあるとしたら、試合に出るだけでは評価されないということだろう。ピッチに立つだけでなく、ピッチで何ができるか。自らの存在価値を証明する者に、東京五輪への道が開けていく。

(注)五輪開催時に24歳以下の選手に加えて、年齢制限のない選手(オーバーエイジ)を、各チームは最大3人まで加えることができる。