4月7日に発令された緊急事態宣言から2ヶ月。無事に東京アラートも解除され、まだまだコロナ禍は続いていますが、ひとまず日常を取り戻しつつある日本。学校が始まり、外食する人たちの姿も増え、ようやく安穏とした生活を手に入れられる?と思いきや、「自粛生活の方が良かったんじゃ……?」と、現状に嘆いている人も多いようです。
自粛解除。夫の行動にあきれ果てた主婦の本音
「このまま一生、外出自粛も悪くなかったのかなぁ……って。そう思ってしまうんです」
神奈川県在住の片桐美羽さん(仮名・32歳)は、ご主人と、2歳になるお子さんとの3人暮らし。育児のため時短勤務中の美羽さんと、営業職だったご主人は、コロナ禍の中、テレワークを余儀なくされたといいます。
「最初は慣れない生活に四苦八苦で、早くコロナ終われ!って思っていました。でも、慣れてみると、保育園への送り迎えもいらず、子どもの面倒を見ながら家でマイペースに仕事ができる生活が快適で快適で。でも、緊急事態宣言が解除され、まずは夫が出社するようになったんです。そしたら、夫の悪いクセが出るようになって……」
ご主人の悪いクセ。それは、パチンコなのだとか。
「付き合っている頃から、パチンコ好きなのは分かっていました。でも、まさか子どもが生まれてからも続けるとは思っていなかったんです。自粛期間中はパチンコ店が開いていなかったので、パチンコに行くこともなく、出社日もまっすぐ家に帰ってきてくれました。でも、店が再開されてからは、毎晩のようにパチンコ屋に寄ってから帰ってくるようになっちゃって……」
「お小遣いの中から遊んでいるのだから、別に構わないだろう」と、ご主人は言うそうですが、美羽さんが不満なのはただ遊んでくるだけではないといいます。
「夫は気付いてないみたいなんですが、パチンコ屋に寄るせいで、体も服もすっごいタバコ臭いんです! 夫は数年前まで喫煙経験があるので気にならないようですが、喫煙経験私のない私からしたら、もう、拷問に近いほど臭くて。とくにコロナ禍のせいで臭いのない快適な生活を2ヶ月間過ごしてしまったので、もう、耐えられないくらい辛いんです。とりあえずの対策として、夫の洗濯物カゴを私と子どものものとは別にし、洗濯するときも別にして洗っています。玄関の前に消臭スプレーを置き、帰ってきて家に入る前に服にスプレーしてもらい、すぐお風呂に入って髪に付いたタバコ臭を消してもらうよう頼んでいますが、夫は気に入らないようで『めんどくさい』とブツブツ。もうね。自粛生活を心のどこかで懐かしむ自分がいるんです……」
「義実家詣で」がいらないあの頃に帰りたい……!?
広島県在住の川端ななえさん(仮名・41歳)は、コロナ禍によって“平穏な生活”を手に入れた経験があるといいます。
「主人と結婚してから、月に3~4度の頻度で“義実家詣で”をしていたんです。子どもはふたりとも小学生で、週末に用事があることも多いのですが、義父母からの『今週は遊びに来てくれないと寂しい』コールがすごくて。夫も義実家大好きなので、子どもの都合は後回し。私も、ほぼ毎週行くのは面倒臭いなーと思いつつ、波風を立てたくなかったので、夫に従って義実家に行っていました」
ご主人の実家は、隣の岡山県。コロナ禍の中「岡山に来たことを後悔してもらうようになればいい」という岡山県知事の不穏な発言もあり、義父母もご主人も「しばらくは、県をまたぐ移動はやめたほうがいいだろう」ということになったといいます。4月末からの1ヶ月超、義実家詣でをすることなく過ごしたことで、ななえさんの中で大きな変化があったのだとか。
「義実家詣でがどれだけ私にとって負担だったかが、行かなくなってよ~く分かりました。義実家に行くとなると手ぶらというわけにはいかず、かといって夫の安月給ではたびたびお土産を買うことができないので、手製のおかずやスイーツを持参していたんです。義実家には夫の弟家族が同居していて、さらに近居の妹さん家族もよく来ていたので、作るとなると15人分用意しなければならなくて……。
作って、冷めるのを待ってからお重に詰めて……で半日がかり。前日から準備しなければ間に合わない状態でした。それに、必ず土日にかけて義実家を訪れるので、週末にやりたいことがあっても、これまでまったくできなかったんです。晴れたから布団を干したい。家族みんなで掃除をしたい。夫に手伝ってもらわないとならない買い物をしたい。家族水入らずでお出かけしたい。そうした気持ちをこれまでは抑えこんできたのですが……」
都市部の緊急事態宣言が解かれたことで安心したのか、久しぶりに義父母からの「遊びに来い」要請を受け、思わずうんざりしてしまったというななえさん。
「夫には申し訳ないけれど、今後は、夫と子供たちの3人だけで行ってもらおうと思います。もうね、なんか、張り詰めていた糸が切れたというか。これまでは『義実家なんだから行かなきゃ! 寂しがって病気になられても困るし!』なんて思ってたんですけど、行かなくても別になんとかなってるじゃん?寂しくても死なないじゃん?って(笑)。そう思っちゃったんですよ。あと1年くらい外出自粛が続けば、夫もきっと”義実家に行かない生活”に慣れるだろうから、なお良かったんですけどね。自粛生活が早くも懐かしいです」
新型コロナの収録は早いに越したことはありませんが、日々の生活の中、「自粛生活のほうが幸せだった」と感じている人も少なくない模様。喉元過ぎれば、熱さ忘れる……ではないですが、ウイルスがもたらした影響は、緊急事態宣言が解かれた今でも日常のそこかしこに残っているようです。