達成すれば大物必至!?な高卒ルーキー本塁打
いよいよプロ野球も開幕間近。各選手たちの調整も最終段階に突入していますが、その中でも気になるのが今年プロ1年目を迎えるルーキーたちです。
プロ野球界では大学や社会人野球を経由して即戦力として入団した選手たちは1年目から結果が求められるケースがあり、高卒ルーキーたちはどちらかというとじっくりと育てようと言う傾向がありますが…中には高校を卒業したばかりの18歳がいきなりプロで大活躍することもあります。
自身よりもはるかに年上の選手たちを相手にして一軍の試合へ出場するチャンスをつかみ取るだけでも大変なのに、さらに本塁打を放つとなるとかなり至難の業。それだけに達成した選手たちはチームの看板選手として活躍が約束されます。
では各球団で最後に達成した選手たちはどんな選手なのでしょう?
在京と在阪でチーム作りに差が出る!?
調べてみたのは12球団+近鉄バファローズの13チームで高校を卒業したばかりのルーキーが1年目から一軍で本塁打を放った最後の事例です。
※球団名は達成した当時のものを採用
▼球団別、高卒ルーキーの本塁打最新記録一覧
年 | 選手名 | 球団 | ドラフト順位 | 出身高校 | 甲子園出場経験 |
---|---|---|---|---|---|
2019年 | 小園海斗 | 広島 | 1巡目 | 報徳学園 | ○ |
2018年 | 安田尚憲 | ロッテ | 1巡目 | 履正社 | ○ |
村上宗隆 | ヤクルト | 1巡目 | 九州学院 | ○ | |
清宮幸太郎 | 日本ハム | 1巡目 | 早稲田実業 | ○ | |
2016年 | オコエ瑠偉 | 楽天 | 1巡目 | 関東第一 | ○ |
2015年 | 岡本和真 | 巨人 | 1巡目 | 智辯学園 | ○ |
2014年 | 森友哉 | 西武 | 1巡目 | 大阪桐蔭 | ○ |
2012年 | 高橋周平 | 中日 | 1巡目 | 東海大甲府 | × |
2010年 | 筒香嘉智 | 横浜 | 1巡目 | 横浜 | ○ |
1992年 | 中村紀洋 | 近鉄 | 4位 | 渋谷 | ○ |
1985年 | 湯上谷宏 | 南海 | 2位 | 星稜 | ○ |
1974年 | 掛布雅之 | 阪神 | 6位 | 習志野 | ○ |
現時点で最新の記録となっているのが広島の小園海斗。ドラフト指名当時から即戦力の呼び声が高く、一部ではこの年の目玉だった根尾昂(大阪桐蔭→中日)よりも高評価していたスカウトもいたほど。その期待通りに春季キャンプから一軍に帯同して、オープン戦でも2本塁打をマークしました。
開幕一軍こそ逃した小園ですが、6月に一軍へ昇格すると7月26日の対ヤクルト戦でプロ初アーチ。後半戦は不振の田中広輔に替わり、ショートのレギュラーに定着しました。
そして2018年は前年のドラフト会議で7球団が競合した清宮幸太郎(日本ハム)、安田尚憲(ロッテ)、村上宗隆(ヤクルト)の3人が一挙に達成。プロ2年目となった昨季は村上が36本塁打を放って一気にブレイクを果たし、今やチームの主軸を担っています。
他にも岡本和真(巨人)、森友哉(西武)、筒香嘉智(当時横浜)はチームの主軸として活躍するだけでなく、後に侍ジャパンのユニフォームを着て国際舞台でも活躍するなど日本球界の中心選手として大成。やはり1年目から本塁打を放てる高卒選手は後に大物になる可能性が高いと言えるでしょう。
その一方で、記録が古いのは近鉄、南海(現ソフトバンク)、阪神の3チーム。達成した選手は3選手とも後にレギュラーを張るチームの中心選手に成長しましたが、それ以降は達成者が表れていません。そしてオリックスに至っては阪急時代を含めても達成者がひとりもいないという結果が出ました。
この4球団に共通しているのは本拠地が関西地方にあるチームということ。高校生の選手たちは「高校を卒業したら上京したい」という在京志向が強い選手が多い傾向があるためか、ドラフト指名の時点で在阪のチームは得てして高校生を上位で指名しない傾向があります。
中でもオリックスは阪急時代から即戦力になりうる大卒、社会人卒の選手を上位指名する傾向が目立ち、高校生の野手をドラフト1位指名したのは平成以降の31年間でたったの4選手。2004年からドラフト会議に加入した楽天を除くと最少タイでした。
達成者の多くがドラフト1位指名選手だったことを考えると、オリックスには「高卒選手の1年目は一軍で使うのではなく、二軍でじっくりと育てたい」というチーム全体の方針があるのかもしれません。
今年の達成候補は阪神のあのスラッガー!?
いかがでしたか? 達成者には後の大物選手が多いこと、チームのドラフト戦略や編成のプランも透けて見えるかのような意外なデータでした。
ちなみに今年の高卒ルーキーでこの大記録を達成するのではないかと期待されているのが、昨年、東邦高校をセンバツ優勝へと導いた石川昂弥(中日)、そして夏の甲子園を制した履正社の4番打者、井上広大(阪神)など。
阪神は昨年のドラフト会議では指名した6選手中5人が高校生、達成者がひとりもいないオリックスは指名した5選手中3人が高校生というこれまでの傾向とは異なるドラフト指名を展開しました。
果たして2020年の高卒ルーキーたちはどんな成績を残すのでしょうか?