聖なる獣、麒麟はやってくるのだろうか
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信長の妻・帰蝶についての資料は少ないという。しかし、過去の作品を見てみると帰蝶はいつも強さを持った主張できる女性。凛とした佇まいが印象的だ。今回、そんな帰蝶を演じているのが25歳の川口春奈。

映画『にがくてあまい』やAmazonプライムビデオの『しろときいろ~ハワイと私のパンケーキ物語~』での川口春奈がいい。長所も短所も生き生きと見せる演技が、見ていて気持ちいいのだ。サントリーブルーやシンポテト(カルビー)のCMで見せるコメディエンヌの一面もキュートな彼女が帰蝶に決まったとき、小袖も打ち掛けも似合う顔立ちに、そう来たかと納得した。放送開始から4か月を経た今、彼女の帰蝶に引き込まれている。


 

天真爛漫、したり顔にしかめ面、春奈の帰蝶に魅せられる

人気急上昇の帰蝶から目が離せない
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好奇心旺盛な少女時代を経て、今や駆け引きして策士へと成長し、回を重ねるごとに存在感を増す帰蝶を演じている川口春奈に、若い世代にはもちろん往年の大河ファンも唸っている。

たしかに可愛いだけじゃない。『教場』では、女の子のドロっと濁った面倒な部分に未熟な計算高さを見せ、のちに改心する複雑な心理をサラッとしなやかに演じ切る不思議な魅力の持ち主だ。

屈託のない笑顔が天真爛漫な少女に見えることもあれば、菩薩のような慈悲深き大人の女性に見えることもある。一方、いやらしさをにじませることもあって、これが実に巧い。その表情豊かをさらに深化させ『麒麟がくる』で存分に操っているようだ。

さらに注目しているのは「!」「?」の表情である。マンガでよく登場する「なにっ!」の表情と言うべきだろうか。声に出さずとも帰蝶の「!」と「?」が伝わってくるのが、実に興味深い。しかも大河とうまくマッチしている。十兵衛への淡い恋心を断ち切る覚悟は切なくも清々しく、時代を支えた一人の女性の凛も力強く見せている。


 

『麒麟がくる』の新しさに大河のおもしろさが広がる

新しい解釈で描かれる『麒麟がくる』
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『麒麟がくる』は2020年1月19日にスタート、躍動感あふれる音楽、壮大なセット、綿密な小道具や伝統美とオリジナリティから生まれる衣装など、そのスケールはまさに大河ドラマであるが、HPでのキャストビジュアルからは、大河ドラマの新しさが伝わってくる。クールな勇者に曲者風、勇ましい武将たちがにぎやかで「私は〇〇オシ!」と言いたくなる楽しさだ。

作品の新しい世界観をけん引しているのは信長と帰蝶だろう。いつだったか武将の人気投票でダントツの信長の理由が「小顔だから」「イケメンだから」「羽振りがよさそう」とあり、できあがったイメージに笑ったものだが、それらを壊して挑む染谷将太の信長が支持されていることも興味深い。

土岐頼純を演じた矢野聖人や、織田信勝を演じた木村了もしっかり爪痕を残した。ユースケ・サンタマリア演じる朝倉義景、風間俊介演じる徳川家康はもちろん、今後登場する人物からも目が離せない。

まだまだ続く激動の時代を帰蝶がどう生きるのか、個性豊かな俳優陣のなか川口春奈はどう見せるのか、期待が膨らむばかりだ。