テレビ会議でリビング占領?テレワーク夫から公園避難する家族の溜息

新型コロナウイルスの影響で家庭内で仕事をする人が増えていますが、家庭に仕事を持ち込むことは、家庭不和を引き起こす原因になってしまうことも。ご主人のテレワークにより、コロナ離婚へのカウントダウンが始まったという女性を取材しました。

緊急事態宣言が延長され、まだまだ緊張感の続く日本列島。大都市圏を中心に多くの会社がテレワークとなり、家庭内で仕事をする人が増えています。しかし、家庭に仕事を持ち込んでしまうことは、家庭内不和を引き起こす原因になってしまうことも。ご主人のテレワークにより、コロナ離婚へのカウントダウンが始まったという女性を取材しました。

3月末から夫が在宅勤務に。悲劇はここから始まった

東京都にお住まいの関口ともみさん(仮名・39歳)は、GWに入る前くらいから、本気で離婚を考え、現在その準備に追われているといいます。
 

「3月末から夫がテレワークになったんです。それはそれで仕方がないと思うのですが、毎日毎日、朝8時からweb会議をするんですよ。短いときは1時間ほど、長いときは昼頃までずっと画面に張り付きっぱなしで……」
 

大きな溜息をひとつつき、ともみさんは話を続けました。
 

「夫は、朝7時半からリビングを占領して会議の準備をはじめるんです。会議が終わるまでの間、息子や私が少しの物音を立てることすら嫌がるので、リビングとつながる台所に入ることもできません。私は家事もできないし、子どもたちはリビングに置いてあるおもちゃを取りに行くこともできません。テレビを見ることもできず、洗濯をするためにベランダに行くことすらできないので『会議は別の部屋でやってほしい』と何度もお願いしているのですが、夫は『リビングにWi-fiのルーターがあるから、ここでやったほうがスムーズなんだ!』って、意味不明なことを言うばかりで……」
 

これまでは、朝6時45分に起きてゴミ出しや朝食づくりを行い、7時半から家族そろって朝食をとっていたというともみさん。毎朝の会議のせいで、今は朝6時に起き、7時半までにできる範囲の家事を片付けるしかなく、寝不足が続き、イライラが徐々に募っていったといいます。
 

狭小住宅のテレワークは家族にとっての地獄

「たとえば、家族それぞれが部屋を持っているような、3LDK、4LDK以上の広い家なら、テレワークでも別に問題ないと思うんですよ。でも我が家は、夫が会社に近い方がいいからと利便性のみで選んだ狭小の2LDK。ここに、遊びたい盛りの小学生の息子ふたりと4人で住んでいるんです。それなのに、テレワークだからってLDKを朝から占領され、声を出すことも音を立てることもできない生活を余儀なくされるとか……ほんと、ありえないと思いませんか?
 

普通にテレワークしているみなさんは、どれだけ広い家に住んでるんでしょう。ご主人やご自身の仕事場が用意できる家なんて、そこまで多くないでしょうに……」
 

取材当日の朝も、6時に起きて子どもたちに食事をさせ、朝7時20分には子どもを連れて家を出ていたというともみさん。出掛けるといっても容易ではなく、3人分の水筒にお茶を詰め、子どもたちが小腹が空いたときに食べられるよう小さなおにぎりをつくるなど、早朝からてんてこまいで、ようやく出掛けることができるといいます。
 

「家の中でちょっと子どもが騒いだだけで、後から不機嫌そうにブツブツと文句を垂れるので、仕方なく、夫の会議が終わる頃まで、歩いて7~8分ほどのところにある公園に避難しています。でも、毎日となるとさすがに周囲の視線が痛くて……。
 

1週間くらい前のことだったかな。公園の近くに住んでいるらしいオバサマから『毎朝毎朝、長い時間いらっしゃってるみたいだけど、外出を自粛なさるつもりはないの?』なんて言われてしまって……。たぶん、子どもたちの声がうるさいのもあるんでしょうね。私だって好きで公園に来てるわけじゃないのに!って……もう、ほんと、泣き喚きたい気持ちでいっぱいになりました」
 

こうした想いをご主人に告げ、会議を部屋で行うか、会社にかけあって会議の時間をせめて9時からにしてほしいと頼みましたが、ご主人は時間も場所も譲れないと頑な態度のまま。その態度に、愛情が底をついたことを感じたと、ともみさんは言います。
 

「『はぁ? 働いてもいない人間が何言ってるの?』という夫の態度を見て、もうダメだって思いました。『仕事なんだから仕方ないだろ』と夫は言いますが、家は家族みんなが住む共有の場所。譲り合うことができないのであれば、ひとりで暮らせばいいんです。まぁ……夫が若い頃に買ったというお気に入りの絵画がリビングの壁にかけてあるので、それを背景に会議をしてプライドを満たしているのがミエミエで……それも、愛情を枯渇させた原因になっているんですけどね」
 

離婚届も手に入れ、いよいよカウントダウン

区役所に行き、離婚届を手に入れてきたというともみさん。実家のご両親への相談も終え、あとはご主人に対し、離婚したい旨を告げるだけの段階まで来ているといいます。
 

「夫にとっては、まさに青天の霹靂って感じになるんじゃないですかね。幸い、私は薬剤師の資格を持っているので、ひとまず実家に戻って職を見つけようと思っています。毎日毎日、夫のテレワークに振り回されるのはもうたくさんですから。ただ、社会全体に問いたいです。『テレワーク』ってこともなげに言うけれど、家庭に仕事を持ち込んで何がしたいの?家族の犠牲を考えたことはあるの?って。コロナ離婚が増えているっていうけど、そんなの当たり前でしょ?って」
 

ともみさんのご主人の件は、多少偏っている例ではありますが、なるほど、“うさぎ小屋”と世界から揶揄される日本の家事情において、会社で行うべき仕事を持ち込むテレワークに「実害」が無いことなど、ありえないことでしょう。
 

企業も、そして働いている側も、今一度「テレワーク」について、しっかり考え直す必要があるかもしれません。

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