昨年、「王子様」というキラキラネームを授けられた男性が、自らの意思で改名したことがニュースになっていました。昨今は更なる国際化の波で、自分の名前が海外で違う意味合いを持っていることに気づき、愕然とする人も増えているのではないでしょうか。
これから名付けをするうえで、少し知っておいても良さそうな名前と外国語での意味合いを一部紹介したいと思います。
1. 海外で性別を間違えられる名前
実をいうと、私の名前(まき)もヨーロッパの人からは性別不明らしく、郵便物やメール、病院で名前を呼ばれるときなどに、よく男性と間違われます。仕方ないとわかってはいても、少々複雑な気分になります。
- ~子など“O”で終わる名前:欧米では大抵男性名
- まお:Mao(毛沢東)を連想
- まいこ:Michael(マイコー)
- えりこ:スペイン語のEricoを筆頭に、英語のEricなど、欧米で男性名
- みか・アキ:フィンランド語で男性名
- るい:フランス語のlouisをはじめ、ラテン・ゲルマン語圏で男性名
- あんり:フランス語でHenriと男性名
- けいと:Kateは英語でキャサリンの愛称
- はんな:ヨーロッパ系の女性名
2. 海外で変わった意味になる名前
英語圏の有名どころでは、ゆみ(You me=あなた 私)、こうま(Coma=昏睡)、まみ(Mummy=ミイラ)、ひろ(Hero=ヒーロー)、さおり(I am saoriがI am sorryに聞こえる)などがあります。その他のヨーロッパ言語では、
- ちな:主にラテン・ゲルマン語圏でChina(中国)
- まりえ:フランス語でMarier(結婚する)
- りえ:スペイン語でRie(笑う)
- しょうこ:ドイツ語 でSchoko(チョコレート)
- りか:スペイン語でRica(美味しい)
- さとこ:ドイツ語のSudoku(スウドク)の発音と酷似
- れい:ドイツ語でReh(牝鹿)、スペイン語でRei(王様)
- あい:ドイツ語でEi(卵)
等が挙げられます。ちょっと変わった意味合いになりますが、このカテゴリーは、「可愛い名前だね」と反応されたり、笑って済むことも多い名前です。
3. 海外で注意した方がいい名前
このカテゴリーに含まれる名前は、滞在国によってはニックネームを付けたり、永住する場合には改名した方が過ごしやすいかもしれません。
- まりこ:スペイン語で同性愛者の蔑称Maricón(マリコン)を連想。マリー、メアリーなどと名乗るのが無難
- うりん:ドイツ語とフィンランド以外の北欧言語で「尿」。その他のヨーロッパ言語でも尿関連用語の語幹。ドイツ語の女性名Urlike(ウルリケ)の愛称Ulli(ウリ)と名乗るのもあり
- ゆりあ:英語でUrea(尿素)。Lの発音にすれば、ドイツ語のJulia(女性名)に変更可能
- がく:ドイツ語で「う●ちをしなさい」に聞こえる
- だい:英語でDie(死ぬ)。“ゆうだい”の場合は、You die(あなたは死ぬ)
- ももこ・ともこ:スペイン語で「私の鼻クソ」、「君の鼻クソ」に聞こえる
- るる:Lで発音すると、ドイツ語で「おしっこ」
- さえこ・さいこ:英語でPhycho(精神病者)
ちなみに私の母は“じゅんこ”という名前なのですが、英語圏で育ったため、スペルのJunkoがJunk(ジャンクフードのジャンク)を連想させることに加え、O(オー)で終わる名前がもっぱら男性名として認識されて、苦い思いをしていたようです。
その経験を踏まえ、私にはO(オー)で終わらず、英語で奇妙な意味合いを持たない名前を探して付けたそうなのですが、実際ドイツ語圏に移住してみれば、“まき”(Maki)は巻き寿司のこと。見事に「変わった名前」の範疇に入っていました。私が命名された当時は、海外でヘルシーブームに乗じたSushiが流行る前でしたし、英語はともかく、ドイツ語での意味を気にする人などほぼ皆無だったのではと推測しますが、時代とところ変われば……といった感じでしょうか。
子供への最初の贈り物となるはずの名前が、逆に子供を生涯にわたって苦しめる罰となるのだけは、何としても避けたいところ。親側の思い入れだけで命名するのではなく、なるべく色々な国の言葉で候補名の意味を調べて、子供が生きていく上でのマイナス要素をできるだけ排除してあげるのは、国際化が進む中での、親から子供への新たなマナーなのかもしれません。