ドラフトなんて関係なし!?下位指名から大化けした投手リスト

投手と言えばドラフト上位指名の選手が順当に活躍する傾向があり、下位指名になればなるほどそのチャンスはなくなると言われてきました。近年のプロ野球ではむしろ下位指名の投手の方に逸材が集まる傾向が。そんな選手たちをチェックしていきましょう!

下位指名からの成り上がりが近年の投手のトレンド!?

ここ数年のプロ野球でトレンドになっているのが下位指名の投手たち。かつては投手というとドラフト上位で指名されなければエースクラスに育たないというのが定説でしたが、近年ではむしろ下位指名から思わぬ掘り出し物となる選手が現れるケースが増えてきました。

そこで、現役選手たちの中でもドラフト時は評価が低かった下位指名の投手たちをピックアップしてみました。
 

その1:千賀滉大(2010年ソフトバンク育成4位指名)

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

近年のトレンドとなったドラフト下位指名の投手の代表格とも言えるのが千賀滉大。支配下のドラフト指名どころか育成契約でやっとプロに入った形だった選手が今や球界を代表する選手へと成長を遂げたのだから驚かざるを得ません。

千賀が進学した蒲郡高校は決して強豪ではなく、高校から投手に転向したばかりだった千賀がすぐ登板する状態。当然、強豪ひしめく愛知県大会を勝ち進むことはなく、最高成績は3回戦止まり。これではプロのスカウトがやってくるはずもなく、地元球団の中日ですらスルーしてしまいましたが、千賀の「肘の使い方がいい」と注目したのはなんと地元のスポーツ店の店主。

店主の推薦を聞きつけたソフトバンクのスカウト部長・小川一夫(当時)がその“一芸”を見出して、千賀を育成ドラフト4巡目で指名。その後は「お化けフォーク」を武器にスターダムにのし上がっていきました。
 

その2:山本由伸(2016年オリックス4位指名)

昨季、最優秀防御率のタイトルを獲得した山本由伸も実はドラフト下位指名の投手。都城高校時代から最速151キロの直球を武器にする本格派投手としてスカウトの注目を集めていたましたが、当時から打線の援護に恵まれず、3年夏の宮崎県大会は3回戦で敗れ、甲子園には最後まで縁がありませんでした。

ドラフト会議時に注目される高校生と言えば、甲子園大会をはじめとした全国大会での実績がある選手がほとんど。ましてや山本が指名された2016年は大学生に逸材が多く集まった年。それだけに高校生が上位指名をされるケースは少なく、ましてや無名の存在だった山本は完全に埋もれてしまう形で4巡目に入るまで指名されませんでした。

しかしこれが結果的には掘り出し物という形に。山本は1年目から一軍のマウンドを経験すると、2年目には中継ぎ投手として54試合に登板して経験を積み、そしてプロ3年目となった昨季先発ローテーション入りしてブレイクを果たしました。
 

その3:種市篤暉(2016年ロッテ6位指名)

山本由伸と同じドラフトで指名された高校生投手が種市篤暉。山本は全国大会未出場とは言え、野球が強い九州の高校の選手だったのでまだ指名される見込みはありましたが、種市の場合は一般的に高校野球があまり強くないとされている青森県の出身。青森県内では名の知れた投手でしたが、全国経験のなさがネックとなり、ドラフト指名は6位。投手としてはかなり低い順位でした。

しかし、プロ入り後にはハードトレーニングの成果が出たのか直球のスピードがアップした上に、もともと武器となっていたフォークボールの精度も向上。プロ入り3年目となった昨季は先発ローテーション入りを果たしてチーム最多の8勝をマーク。奪三振の獲れる本格派投手で第二の千賀滉大ともいわれる逸材です。
 

その4:青柳晃洋(2015年阪神5位指名)

高校野球の強い県の県立高校の選手は全国大会まではなかなか出場できない傾向がありますが、青柳晃洋の高校時代はまさにその典型例。川崎工科高校時代はエース投手として活躍していましたが、最高でも5回戦進出が精一杯。大学も首都大学リーグに所属する帝京大学へ進学しベストナインを獲得する活躍を見せましたが、サイドスローから投げられる球はインパクトがなかったのか、阪神が5巡目で指名するにとどまりました。

しかし、プロではなかなか見られない低い位置から投げる球は打者にとっては打ちづらいとても実践的なボールに。1年目からコンスタントに一軍に出場して、4年目となる昨季は初の規定投球回入りを果たして9勝をマーク。阪神の新エース候補として期待される存在となりました。
 

その5:戸郷翔征(2018年巨人6位指名)

巨人と言えば、豊富な資金力を背景に他球団の主力選手をFAなどで獲得するケースがしばしば見られるチーム。それだけに若手、それもドラフト下位指名の投手はチャンスがないと思われていましたが……。その機会を見事に勝ちとったのが今季プロ2年目となる戸郷翔征です。

甲子園大会などの全国大会の出場経験がなかったことがネックとなってドラフト会議時こそ低い評価でしたが、プロ入り1年目の昨季は二軍ですぐに頭角を現して、9月21日には一軍昇格。同日に開催されたDeNA戦は勝てばチームのリーグ優勝が決まるという大事な試合でしたが、戸郷はここで初登板・初先発という派手なデビューを飾ります。

結果こそ4回2/3を投げて2失点で勝ち負けこそつきませんでしたが、しっかりとゲームを作った上でチームは勝利して見事にリーグ優勝を達成。2年目となる今季はさらに飛躍が期待されています。
 

今年もドラフト下位指名組に注目!

いかがでしたか? 今回紹介した選手たちのほかにも平井克典(2016年西武ドラフト6位)や二木康太(2013年ロッテ6位)、大竹耕太郎(2017年ソフトバンク育成4位)など注目選手が目白押し。どちらかというとパ・リーグにそうした逸材が多いので試合を見る時はぜひ注目してみましょう!

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