ドラフトなんて関係なし!?下位指名から大化けした野手リスト

プロ野球のシーズンが開幕すれば、注目を集めるのがルーキー選手たち。華やかな球歴に彩られた選手ばかりですが、そのほとんどは上位指名の選手たち。ですが、下位指名に終わった選手にも大物が潜んでいるのを知っていますか?

野手はむしろ下位指名の方がいい!?

写真:AFP/アフロ

プロ野球選手になるために必要不可欠となるのがドラフト指名。毎年10月半ば~11月にかけて行われるプロ野球の恒例イベントで、指名された選手たちは翌年からプロ野球選手として新たな1歩を踏み出します。

今季はコロナウイルスの影響で開幕が遅れていますが、昨年の高校野球春のセンバツ大会でチームを優勝に導いた石川昂弥(中日1巡目指名)や夏の甲子園大会で優勝した履正社の4番打者、井上広大(阪神2巡目指名)らが新人選手として加入。大きな注目を集めていたのは記憶に新しいことでしょう。

……と、新人選手でも注目されるのは2巡目よりも上の順位で指名された選手であることがほとんど。下位指名の選手となるとさほど注目されないケースがほとんどですが……。実は歴史を紐解くと野手に関しては実は下位指名の方が大成する傾向にあります。

そこで、ドラフト4位(巡目)以下で指名されながら日米通算2000本安打を達成した野手たちを見ていきましょう。
 

その1:イチロー(91年オリックス4位指名)

昨年3月に惜しまれつつ引退したプロ野球が生んだ最大のスター選手の一人、イチローも実はドラフト会議時は全くと言っていいほど人気がない下位指名の選手でした。高校時代は投手として甲子園大会に出場した経験もありますが、2年生の夏の1度だけでそれも2回戦で敗退とさほど目立つものではありませんでした。

しかし、いざプロの世界に飛び込むと新人離れした打撃を二軍戦で見せ、3年目に登録名をイチローに変更すると一気にブレイク。独特の振り子打法から放たれる安打は当時のシーズン最多記録となる210本を数え、「イチロー効果」という言葉は1994年の流行語大賞にも。その後の活躍はみなさんご存じの通りです。
 

その2:金本知憲(91年広島4位指名)

「アニキ」の愛称で阪神ファンから愛され、2003年にはチームを18年ぶりのリーグ優勝に導いた金本知憲もイチローと同じ年のドラフト会議で4位指名を受けて入団した選手。高校通算20本塁打を放ったものの全国的には無名で、一浪して入学した東北福祉大学でようやく大学日本代表に選出されましたが、ひ弱な体型と一浪したためプロ入り時点で23歳とやや高齢だったことがネックになりました。

しかし、広島に入団すると徹底的なウエイトトレーニングで体を鍛えぬき、プロ入り3年目にはレギュラーに定着。2000年にはトリプルスリーを達成して球界を代表する選手になりました。その後2002年オフにFAで阪神へと移籍するとその猛打に磨きがかかり、通算2000本安打、そして1492連続試合フルイニング出場、13686連続イニング出場という2つの世界記録を打ち立てるまでに成長しました。
 

その3:中村紀洋(91年近鉄4位指名)

1991年のドラフト会議で1位指名を受けた選手に名球会入りした選手はいませんが、4位指名でイチロー、金本知憲らがいるという掘り出し物が多かった世代。その中の一人となったのが近鉄から4位指名を受けた中村紀洋です。

アマチュア時代の経歴がさほど目立っていなかった2人とは異なり、中村は府立高の渋谷高校の三塁手兼投手として活躍して、大阪府としては8年ぶりとなる府立高校による夏の甲子園出場に導いたことで関西圏では名の知れた存在でした。

無名校を一躍甲子園出場校に変えたスターはプロに入ってもその強打ですぐに頭角を現し、2000年には自身初タイトルとなる本塁打王を獲得。その後も球団を渡り歩きながらプレーして23年という長きにわたり一線級の活躍を見せました。
 

その4:福浦和也(93年ロッテ7位指名)

幕張の安打製造機と呼ばれた福浦和也もドラフト7位指名の選手。1993年のドラフト会議で福浦は最後に指名されたことでも知られていて、入団当時の背番号も支配下登録選手枠70人の最後という扱いから70番になりました。

もともと投手として指名された福浦ですが、投手としては目が出ずに間もなく打者に転向。4年目となる1997年に初めて一軍に昇格するとあっという間にレギュラーに定着。長打こそないものの、確実なバットコントロールで見る見るうちに安打を量産し、2001年に首位打者を獲得。その後2019年まで現役を続けるという息の長い選手になりました。
 

その5:青木宣親(03年ヤクルト4巡目指名)

最後に登場するのは現役の青木宣親。早稲田大学時代は鳥谷敬、比嘉寿光、由田慎太郎らと同期で同時にドラフト指名を受けるという黄金世代でしたが、プロ入り順位は意外にも低い4巡目指名。ですが、プロ入り当時から背番号は23と若い番号が与えられていたように期待された選手でした。

その期待に応える形で青木はプロ入り1年目から二軍の首位打者となり、2005年にはレギュラーに定着。くしくも同じく下位指名となったイチロー以来ととなるシーズン200本安打を達成する大活躍で首位打者、新人王を獲得しました。その後も安定した成績を残し、2012年にはメジャーリーガーに。2018年にヤクルトへ復帰してからも一線級の活躍を残しています。
 

今季のブレイク候補も下位指名選手!

いかがでしたか? ドラフト順位に関係ない活躍を見せる打者は以前から多くいたころがわかりますね。

ちなみに今季のプロ野球でもDeNAの新キャプテンとなった佐野恵太(16年ドラフト9位)らがブレイク候補として期待されています。シーズン開幕後はドラフト下位指名選手の巻き返しに期待してみるのも楽しいですよ!

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