試運転と言っても……勝てないと不安になる?
コロナウイルスの影響で未だに開幕していませんが、4月24日以降に開幕する予定の今季のプロ野球。それに先立ち、選手たちの調整の場となるオープン戦も開催。今季は無観客開催だったためやや盛り上がりに欠けましたが、大事なシーズンへ向けての最終調整ということで選手たちの健闘が目立ちました。
そんなオープン戦ですが、今季は強いチームと弱いチームの差が顕著に。V4を目指すソフトバンクが勝率.727を記録したのをはじめ、3チームが勝率7割台を誇りましたが、反対に勝率3割に届かなったのもロッテ、オリックスそして巨人と同じく3チーム。中でも昨季のセ・リーグ覇者、巨人は12球団最多の16試合を行い、2勝10敗4分。勝率はたったの.167という有様でした。
昨季最多勝の山口俊がメジャーへ移籍し、後半戦のキーマンとなった阿部慎之助が引退するなど主要選手がいなくなったことが響いている形ですが、あまりに勝てないとファンも気になってしまうもの。そこで、オープン戦での勝率が3割に満たなかったチームのシーズン成績をチェックしてみました。
Aクラス入りしたチームに共通するポイントは?
検証したのは過去10年(2010年~2019年)のオープン戦で勝率3割未満だったチームのシーズン成績。調べたところ、延べ9チームが当てはまりました。
▼オープン戦で勝率3割未満だったチームのシーズン成績(過去10年)
年度 | チーム | オープン戦成績 | シーズン順位 | 前年順位 |
---|---|---|---|---|
2011年 | 横浜 | 2勝7敗(勝率.222) | 6位 | 6位 |
2013年 | 中日 | 4勝14敗2分(勝率.222) | 4位 | 2位 |
2014年 | 中日 | 4勝10敗2分(勝率.286) | 4位 | 4位 |
阪神 | 3勝10敗3分(勝率.231) | 2位 | 2位 | |
ヤクルト | 1勝11敗1分(勝率.083) | 6位 | 6位 | |
2017年 | 広島 | 4勝11敗2分(勝率.267) | 1位 | 1位 |
巨人 | 5勝14敗(勝率.263) | 4位 | 2位 | |
2018年 | 広島 | 3勝9敗2分(勝率.250) | 1位 | 1位 |
阪神 | 2勝12敗2分(勝率.143) | 6位 | 2位 |
すべてセ・リーグのチームなのが近年のパ・リーグ各球団の強さが如実に表れていますが、この中でシーズンAクラスに入ったのは3チームだけ。これを見ると勝率3割未満だったチームはかなり厳しい戦いを強いられることになりそうですが、このAクラス入りしたチームはいずれも前年2位以上の順位に付けていました。
しかも、2014年の阪神は主力選手だった鳥谷敬はオープン戦打率.083と低調でしたが、シーズン開幕後は打率.313。同じくオープン戦打率.204と低迷していたマートンはシーズン打率.338で見事に首位打者に輝くなど、主力選手たちが「オープン戦は調整期間」と割り切っていたことがわかります。
さらにWBCが開催された2017年は代表入りしていた鈴木誠也と菊池涼介を欠いた広島がオープン戦では最下位でしたが、シーズンでは巻き返して見事に2連覇達成。翌年もエースの大瀬良大地がオープン戦3試合に登板して9失点、防御率6.23と低調なままシーズンに入りましたが、シーズンでは見事に巻き返して最多勝となる15勝を記録し、チームのリーグ3連覇に大きく貢献しました。
つまり、前年Bクラスだったチームはシーズンでも低迷必至ですが、前年2位以上&主力選手がオープン戦欠場or不振だったというチームはシーズンに向けて伸びしろがあると言えるでしょう。
この結果を鑑みると、昨季MVPの坂本勇人がオープン戦打率.226とイマイチだった巨人はAクラス入りの可能性を残していますが、ロッテ&オリックスは今季も苦戦必至ということになりそうですが…果たして各チームはどんな成績を残すのでしょうか?