品薄問題……一人一人が冷静に行動を

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、マスクの品薄状態が続いていますが、風評被害によりトイレットペーパー、ティッシュペーパーまで品薄状態になる始末。学校の休校要請が出てからは、インスタント食品やお米まで品薄となるなど、大きな自然災害後のような買い溜めが起こっています。
 

新型コロナウイルスの感染拡大は自然災害と異なり、社会インフラがマヒして工場などが稼働できないわけではないため、一人一人が冷静に行動したいものです。
 

新型コロナウイルス、家計にも影響はある?

新型コロナウイルスの感染拡大が、これから景気に多大なる影響を与えるのは確実ですが、一足早く私たちの家計に物価の上昇という形で影響が出るかもしれません。
 

世界的に景気の低迷が予測されていることから、原油価格は下落しているのですが、中国をはじめとする新興国からの生鮮食品などの輸入が急減する可能性があるからです。
 

輸入に頼っている「食材」や「外食」

ご存じのように、日本の食物自給率は約4割。残りの約6割は輸入に頼っているのです。いくつか例をあげると、たとえば冷凍食品。近年では野菜が冷凍食品になっていることも珍しくありません。野菜の冷凍食品の原産地は、そのほとんどが中国などの新興国。あるいは、ファストフードなどで提供されている野菜類も同様です。
 

国内産を使用したいのはやまやまですが、価格を安く抑えるためには、中国などの新興国産を使用せざるを得ないのです。
 

お肉の中で安く価格が安定しているのは鳥肉。鳥肉はファストフードのメニューに多いのですが、鳥肉はブラジルからの輸入が多いのです。そのブラジルでも感染者が出たと報告されています。野菜や鳥肉、これらの輸入が減れば国内産で代用することになりますが、国内産は輸入品と比較して価格が高いうえ、輸入品がなければ争奪戦となるはずです。
 

争奪戦となれば、需給により価格が決まることになるため、国内産の需要が増えれば当然価格は上昇となるでしょう。結果、店頭価格の上昇、ファストフードなどをはじめとする外食の値上げが、家計を襲うことになる可能性が高くなるのです。


新型肺炎の影響がどこまで反映されているかわかりませんが、1月の消費者物価指数の品目のうち、外食は前年同月比で3.2%も上昇しているのです。反対に生鮮野菜は同-3.8%の下落ですが、これは暖冬のおかげで野菜の生育がよかったことが背景にあります。
 

「原油由来のモノ」も今後の動きに注意

輸入減による価格の上昇と共に気になるのが、円安に伴う物価の上昇です。これまでリスク回避の状況=安全資産といわれる円が買われるという図式が成り立っていましたが、2月に1米ドル=112円まで円安が進んだのは記憶に新しいところ。一過性の円安と思われますが、日本のリスクを考慮した円安であれば、注意が必要になります。
 

日本は、食料は約6割を海外に頼っていますが、原油をはじめとするエネルギーはほぼ100%海外に頼っています。幸いにして景気の後退が予測されることから、原油の需要減少を見込んだ原油安が進んでいますが、原油は米ドル決済が基本になります。つまり、原油価格が動かなくても米ドル高/円安になれば、国内の原油由来のモノの価格は上昇することになるわけです。
 

収入増は期待できず、景気も悪化傾向にあるのですから、不景気の株高ならぬ、不景気の物価上昇、教科書的にいえば「スタグフレーション」の恐れが、新型肺炎拡散により台頭してきたことになるのです。消費者物価指数という統計にどこまで反映されるかわかりませんが、生活実感はモノの価格が上がったな?と感じることが多くなりそうです。