2020年3月1日、東京マラソン2020が開催されました。
新型コロナウィルスの感染拡大を防止するため一般ランナーの出走が取りやめになる中、エリート選手は男子が127人、女子52人、車いすの部のエリート選手は男子が11人、女子が3人が出走。新宿・都庁前から丸の内・行幸通りのフィニッシュ地点までの42.195kmの道のりを駆け抜けました(完走率は85.5%でした)。
この大会では、男子マラソンで4位となった大迫傑選手(NIKE)が2時間5分29秒と、日本新記録をマーク。自身の日本記録(2時間5分50秒)を2年ぶりに更新しました。
各部門の優勝者は以下のとおりです。
- マラソン男子優勝……ビバルヌ・レゲセ選手
- マラソン女子優勝……ロナー・チェムタイ サルピーター選手
- 車いすマラソン男子優勝……鈴木朋樹選手
- 車いすマラソン女子優勝……喜納翼選手
東京マラソン2020のレースを振り返り!
前年とは違い、天候に恵まれ、暖かいコンディションの下、競技が行われました。沿道は、日本陸上競技連盟より、応援自粛要請がありましたが、それでも応援に繰り出す観客が見られました。
車いすマラソンは、有力選手の欠場があったものの、男女とも日本人選手が大会新記録で優勝。鈴木選手はパラ五輪マラソン代表内定の実力を遺憾なく発揮。喜納選手も、後続に13分差をつける圧勝で、今後は4月にロンドンで行われるワールドカップを目指すそうです。
女子マラソンではチェムタイ サルピーター選手と2位のベルハネ・ディババ選手の2名が大会記録を出すなど、高速化したレースでした。なお日本人1位は山口遥選手(AC・KITA)でした。
東京五輪マラソン代表選考であるMGCファイナルチャレンジも兼ねている男子マラソン。五輪派遣タイムである「2時間5分49秒」を破るのは誰か?という点に、レースが始まる前から注目が集まりました。
レースは2種類のペースメーカーが用意され、それぞれ「大会記録(2時間3分58秒)」、「日本記録」を目標としたペースが設定されました。国内有力選手の多くは「日本記録」のペースメーカーにつきましたが、「大会記録」のペースに大迫傑選手、井上大仁選手(MHPS)が果敢にチャレンジしました。
20km過ぎに大迫選手が一度は集団から遅れ、一時は日本人大集団に吸収されるのではと思われましたが、30km過ぎに井上選手のいる集団に再合流。このときの心境を、大迫選手は「ダメかなと思ったけど、自分のペースを信じて走った」とインタビューで振り返っていました。
その後、集団のペースが落ちているとみるや、他選手の顔色を伺い、そこからペースアップ。終盤は脇腹を抑えるしぐさがあったものの、落ち込みを最小限に抑え、4位でゴール。2時間5分29秒と、日本記録を更新しました。
インタビューでは珍しく感極まる姿も。MGCでは本命といわれながらも3位に終わり、そこから立て直すまでの苦悩が伝わってきました。
井上選手は、結果的に失速してしまいましたが(26位/2時間9分34秒)、記録を狙うにはこれしかなく、やむなしの印象。自己記録を大きく上回る大会記録ペースについていった勇気は称賛に値します。今後のレースでも攻めのスタイルに注目です。
好記録続出。世界に追いつくためにMGCシリーズの継続を
大迫選手以外にも日本人選手に好記録が続出しました。高久龍選手(ヤクルト・8位/2時間6分45秒)、上門大祐選手(大塚製薬・9位/2時間6分54秒)をはじめ、2時間7分台が7人、2時間8分台が5人、2時間9分台が4人。計19人がサブテン(2時間10分切り)を達成。世界との差はあるものの、確実に近づいているという印象を受けたレースでした。
また、初めての試みであったMGCシリーズについても、来週のびわ湖毎日マラソン、名古屋ウィメンズマラソンを残すのみ。東京五輪本番の結果も重要ではあるものの、この期間内に男子に至っては日本記録が3回も更新されています。一時期の停滞していた日本マラソン界が確実に動き出したという結果を残し、個人的には成功だと思っています。