1930年代は「お見合い結婚」が69%を占めていた日本の婚姻事情。自由な恋愛などもってのほか!という空気がそこにはありました。1960年後半に入り「恋愛結婚」に追い越され、2015年にはわずか5.5%まで減ってしまったお見合い結婚ではありますが、恋愛結婚全盛の時代にあっても無くならないということは、お見合い結婚ならではの「メリット」もあるのでしょう。しかしそのメリットには、なにやら危うい真実も隠されているようで……
お見合い結婚で、まさかの出来事が……
神保町の裏路地にある喫茶店で待ち合わせ、お話を伺ったのは、東京都にお住まいの川田康平さん(仮名・45歳)。理系の大学を卒業し、氷河期の中、どうにかこうにか中堅企業に入社。彼女もつくらずがむしゃらに働いて30歳になったとき、親戚筋を通してお見合いの話をもらったといいます。
「すごく遠い親戚からの話で、最初は断ろうと思ったんです。でも、見合い写真を見て『会うだけ会ってみようかな』と思いました。すごく愛らしい方だったんですよ。小柄でおくゆかしい感じが、写真ににじみ出ていました。こんな人なら、俺が仕事で忙しくても、家を守ってくれるんじゃないか? 明るい家庭が作れるんじゃないか? って。夢を見ることができたんです」
その後、話はスピーディーに進み、翌年に盛大な結婚式を挙げた康平さん。花嫁側の参列者がとても多く、市議会議員など地元の有力者も名を連ねていたといいます。
「私の家も武家の家系で、そこそこ親族が多いのですが、妻側のほうにはとても及ばない状態でした。でも、当時はこれっぽっちも気にしていませんでした。家柄がよく育ちもいい、すばらしい妻を手に入れることができた、くらいにしか考えてなかったんですよ。でも……まさかの出来事があって」
結婚式を挙げた数週間後、ふたりは新婚旅行へ。行先は欧州の有名観光地で、チケットやホテルの手配は、忙しい康平さんに代わり、奥様がすべてやってくれたといいます。
「日本を出発して、向こうの空港に着いて、さて、タクシーでも拾うかな、って思っていたら、妻がやたらとスマホをいじってキョロキョロ。いぶかしんでいると、そこに義父が現れたんです」
行き過ぎたファザコン妻の謎すぎる日常
「噂では聞いたことがありましたが、まさか、自分の新婚旅行に、義父がついてくるなんて……と、30秒くらい思考がついていなくて固まっていたんじゃないでしょうか。義父に話しかけられるまで、ぼーっとしていたように思います。
その後は、すべて義父のペース。ホテルはすべてコネクティングルーム。朝昼夜と食事もすべて一緒。でも俺、それまで女性と付き合った経験がなかったんで……こういうこともあるかもしれないなって。そう思ってしまったんですよ。義父はすごく話し上手でムード作りもうまく、一緒にいて楽しいには楽しい人ですしね。あ、ちなみに義母は、海外旅行が苦手らしくて、日本で羽を伸ばしているって、そう義父から説明されました」
旅行は思っていた形とは違ったけれど、新居(会社のファミリー寮)での生活が始まり、翌年には子どもも生まれ、幸せな毎日が待っている――ハズだった!という康平さん。
「妻の希望で専業主婦ですが、家事も上手く、メシもうまい。子どもも俺に似てるところなんてひとつもないくらい愛らしい顔だちで、年賀状を送った友人からうらやましがられるほど。でもね……」
康平さんは、奥様のある“生活態度”に、疑問を抱き続けているといいます。それは――
「妻が、義父と仲が良すぎるんですよ!」
週に2~3度の頻度で、奥様は義父とふたりでディナーへ。月に1度は温泉旅行に出かけ、冬になれば1週間のスキー旅行へ(康平さんはスキーをやらないそう)。年に1~2度は、義父と海外旅行に出かけてしまうといいます。
そうして義父と仲良く出掛けるものの、康平さんとお子さん、奥様の3人で行く家族旅行は年に1度程度。この旅行も、康平さんからしつこく提案し、面倒臭いからと嫌がる奥様をその気にさせるためにひどく苦労をするといいます。
「『義父とはホイホイ遊びに行くのに、なぜ? おかしくないか?』と、妻に聞いたことがあるのですが『娘が父親と仲良くして何が悪いの?』と言い返されました。家族旅行についても『家ではいつも、アナタや子どもと一緒にいる。旅行に行くときぐらい、自由にさせてもらいたい』と言われてしまいました。
飲みの席で口が滑り、会社の同僚に相談したら『はぁ? おまえの奥さん、義父さんとデキてるんじゃないの? 本当におまえの子どもかどうか、確認したほうがいいんじゃないか?』って言われて……。でもそれこそ、義父の子どもであれば、子どもだけは一緒に旅行に連れていくんじゃないか?とも思ってしまうんですよ。子どもだけは俺のものであってほしいという、現実逃避かもしれないですが(笑)」
消えない疑惑、歪み始めた夫婦関係…
まさかの近親相姦疑惑に、戸惑いを隠せなかったという康平さん。信じたくない。でも、ほかに説明がつかない。そんな疑心暗鬼の中での生活は「暗闇の中をさまよっているよう」だといいます。
今はただ、歪みはじめてしまった夫婦関係が子どもに影響しないよう、家では平静を装うことを留意し続ける日々なのだとか。
「もしも義父と妻が関係していたとしても、そんなことはどうでもいいんです。恋愛は自由ですから。たまたま妻が本気で好きになった人が義父だったっていうだけでしょ? 俺から見ても、義父は“いい男”ですからね。ただね。そうした関係を続けていくためだけに俺が選ばれて、金とか生活の安定だけのために見合い結婚にこぎつけたんだとしたら、ずいぶんとバカにされたものですよ」
子どものために今の生活を続け、成人したら離婚したいと奥様に告げる予定だという康平さん。今は、奥様と義父が出掛けるたびにすべてメモを取り、その異常さを証明できる記録を集め続けているといいます。
「興信所を使えば?って同僚から言われましたが、俺の中ですでに離婚は決定事項なので、そんなくだらないことに何百万円も使うことはしません。そもそも、本当に関係をもっていたら? 義父と妻のラブシーンなんか、わざわざ大金払ってまで見たくないですよ」
約9割の男女が恋愛結婚を選択する現代にあって、わざわざ「お見合い結婚」を選択している場合、今回の康平さんほどではないにしても、「何かしらの理由」が存在することを……さりげなく、頭に入れておいたほうがいいかもしれません。