メジャーへの移籍叶わず。菊池涼介の今季は…
近年のプロ野球界で毎年定番となっているのが、球界を代表する選手たちのメジャーリーグ挑戦。2019年オフもDeNAの主砲、筒香嘉智と巨人のエース投手の山口俊がともにポスティングシステムを利用してメジャー移籍を宣言。前者はタンパベイ・レイズ、後者はトロント・ブルージェイズと契約し、晴れてメジャーリーガーへの仲間入りを果たしました。
広島の守備の要である菊池涼介も同様にメジャー移籍を目指しましたが、残念ながら獲得する球団は現れず。広島と4年契約を結び、来年以降も広島でプレーすることが決まりました。本来ならチームにとっても侍ジャパンにとっても欠かせないセカンドの名手の国内残留は喜ばしいことですが、長年メジャーへの夢を公言していた菊池の願いが叶わなかったのは残念の一言に尽きます。
菊池は今季、気持ちを切り替えてプレーに臨むこととなりますが、過去にメジャー移籍を図らずとも断念した選手たちはその翌年、どんな成績を残しているのでしょうか?
レギュラークラスの選手でさえも低迷傾向に!?
検証したのはポスティングシステムが導入されて以降、残念ながら選手契約が結ばれなかった選手たちのポスティング移籍宣言年と翌年の成績。調べてみたところ、今回の菊池涼介を含めて9選手が該当しました。
年度 | 選手名(球団) | 落札球団 | 翌年在籍球団 | ポスティング宣言年の成績 | 翌年の成績 |
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1998年 | ペレス(広島) | なし | 広島 | 98試合 打率.296 5本塁打 35打点 | 12試合 打率.174 0本塁打 2打点 |
2002年 | 大塚晶文(近鉄) | なし | 中日 | 41試合登板 2勝1敗22S 防御率1.28 | 51試合登板 1勝3敗17S 防御率2.09 |
2005年 | 入来祐作(日本ハム) | なし | メッツ(3A) | 28試合登板 6勝7敗 防御率3.35 | メジャー登板なし |
2008年 | 三井浩二(西武) | なし | 西武 | 23試合登板 1勝1敗3H 防御率7.50 | 19試合登板 0勝1敗5H 防御率6.23 |
2010年 | 岩隈久志(楽天) | アスレチックス | 楽天 | 28試合登板 10勝9敗 防御率2.82 | 17試合登板 6勝7敗 防御率2.42 |
2011年 | 真田裕貴(DeNA) | なし | 巨人 | 53試合登板 2勝0敗3H 防御率4.22 | 1試合登板 0勝0敗 防御率- |
〃 | 中島裕之(西武) | ヤンキース | 西武 | 144試合 打率.297 16本塁打 100打点 | 136試合 打率.311 13本塁打 74打点 |
2015年 | バーネット(ヤクルト) | なし | レンジャース | 59試合登板 3勝1敗41S6H 防御率1.29 | 53試合登板 7勝3敗15H 防御率2.09 |
2019年 | 菊池涼介(広島) | なし | 広島 | 138試合 打率.261 13本塁打 48打点 | ― |
▲ポスティングシステムで選手契約に至らなかった選手たちの成績一覧
ポスティングシステムの宣言をした翌年は国内リーグで再度奮起する選手がほとんどですが、その成績はというとほとんどの選手が低迷気味。断念した直後の年は気持ちが切れてしまったのか小休止といわんばかりの結果でした。中でも岩隈久志や真田裕貴といったポスティングシステムを宣言した年はチームの主力を担った選手が、翌年は故障に見舞われて思うように力を発揮できなかったというケースも。さらに、真田はこの年限りで巨人を自由契約になる憂き目に遭いました。
ただ、菊池を除く8選手中、翌年オフに海外FA権を行使してメジャーリーガーへの仲間入りを果たした岩隈を含め、ポスティングシステムでの移籍を断念した後にメジャーリーガーになったのは6選手。
この前例を見ると、菊池の2020年シーズンは前途多難と言えそうですが、メジャーへの望みが消えたわけではありません。まずはこの悪しきデータを断ち切ることができるのでしょうか?