小学校では、ひとつの学級を一人の先生が担当する学級担任制が一般的です。対して中学・高校では教科担任制ですが、今、小学校でも教科担任制を取り入れようとする動きがあるのをご存じでしょうか。元塾講師の視点で、教科担任制のメリット・デメリットについて考えてみました。

教科担任制のメリットってなに?

教科担任制には多くのメリットがあります。主には以下のような4点が、挙げられます。

1. クオリティの高い指導が受けられる
小学校の先生は全教科を一手に引き受けますが、当然ながら先生にも得意不得意はあります。

教科担任制を採用することで、そうした教科ごとのムラを防ぎ、授業の質の向上が期待できます。一般的に塾は教科担任制のところが多いですが、これは生徒を満足させるべく専門性の高い講師を採用する必要があるからです。

2. クラスを見守る目が複数になる
また、子供の様子や変化を多角的に観察できるのもメリットのひとつ。ひとりの先生にクラス運営を任せていると、「その先生の価値観=子供を評価するものさし」になりがちですから、子供と接する先生は多いほうがよいです。塾でも講師たちは子供の様子を常時共有し、指導に反映させています

3. 相性がイマイチな先生でも“多少”気楽
子供と教師にも相性はあります。個別指導塾や家庭教師なら、合わない先生に当たった場合、交代してもらうことも可能ですが、学校はそうもいきません。

私が小学3・4年生の頃の担任は、生徒がささやかなミスをするたびに「自分で自分を数十回殴るように」と指示出しする先生でした。直立して黙々と自らの頭を殴る(!)集団はカルトじみていましたし、上から本気のゲンコツをぶつけて回っていた先生は、体罰に問われても仕方ない横暴さでした……。

教師に限った話ではありませんが、時折「うーん?」と首をかしげたくなる困った人はいるものですよね。教科担任制であれば、相性の悪いクラス担任に当たった場合でも、少しは気が楽でしょう。

4. 先生のブラックな労働環境も軽減
結果的に、先生たちの負担が軽減され、子供を見守る余裕につながるのもメリットといえます。

小学校教師といえば子供にとって親しみやすい職業ですし、「将来、先生になる!」と早くも心に決めている子供もたくさんいるはずです。たしかに教育に携わる仕事はやりがいがありますが、残念ながら教育系の仕事は「ブラック」率が高いのもまた事実(私のいた塾業界も例外ではありません)。

なかでも小学校教師の大変さはよく知られるところです。残業代は特給法によって月額給与の4%を上乗せされるのみで、多くの先生が限界ギリギリで踏ん張っている状態なのですから……。
 

メリットの一方で、デメリットも……

教科担任制のデメリットとしては、「(低学年は特に)一貫して一人の先生に見ていてほしい」というニーズに応えられない点が挙げられます。塾でも、個別指導で一人の先生とじっくり向き合い、勉強面での効果に加え精神面でも安定する生徒はいるものです。
 

議論を重ねて納得のいく導入を

教科担任制は高学年を対象に、一部の小学校ですでに導入されています。中学校への進学準備という観点でも、教科担任制は意味があるものです。

元塾講師としては、学校での学びの質の向上により、塾の学習との相乗効果が一層高まる展開を望んでいます。制度について議論を重ね、先生・生徒・保護者みんなにとって納得のいくスタイルでの導入が実現するとよいですね。