動物(主にオス)が、自分以外の相手に馬乗りになって優位性を表す生物学用語「マウンティング」。人間関係においてはなぜか“言葉”で行われることが多いもの。今回は、実際にマウンティングをされた経験を持つ女性の話を元に、何をどうすればいいのか考察してみました。
30代女性がリアルに受けたマウンティングとは?
「生理不順に悩んでいたので、結婚してすぐに婦人科で診察を受けました。その結果、右側の卵巣が機能しておらず、残った左側も排卵機能が弱いため、長期に渡ってがんばって(お金をかけて)不妊治療をしないと子どもを望むのは難しい。そう、医師から言われました」
そう語るのは30代後半の片桐恵美さん(仮名)。幸いにもご主人に理解があり、「治療なんかしなくていい。ふたりの人生を築いていこう」と言われたことで、これまで仲の良い夫婦生活を送ってきました。しかし、その事情を知る学生時代の友人から、なぜかマウンティングを受けはじめたというのです。
「同窓の友人Aが結婚し、出産。おめでたい話なので、お祝いを持ってかけつけました。その時はそれで済んだのですが、そこから『子どもって可愛いよ~♪ あ、いないから分からないか~』『ほんと、子育てって大変なんだからね!って、子どもがいない人に言ってもしょうがないかぁ~』って、会うたびに言われるようになりました。
最初のうちは、子どもがいると本当に大変なんだろうなぁと思い『そうか~、そうだよね~、がんばれ! ママ、エライ!』って、素直に応援していたんです。でもそのうち『いいよねぇ、子どもがいない人は好き勝手に遊べて』『え? あなた、また旅行に行ったの? 気楽でいいね、子どもがいない人は』って、何かにつけて『子どもがいない人は』って枕詞のように言われるようになったんです。そこで、ようやく気付きました。ああ、彼女は、子どもが産めない私に対して、マウンティングしているんだ!って」
それまでは月に1~2度は会ってお茶する仲だったそうですが、マウンティングに気づいてからは、年に1度、他の友人を交えて会う程度に距離を置いたという恵美さん。
「私が不妊であることを知っているのに、そこをマウンティングの武器にしてくるなんて、考えてみたら最低の人間ですよね。なんでこんな人と仲良かったんだろう?って。思わず自分自身のこれまでについて反省しちゃいました(笑)」
マウンティング。それは、自身の不満の表れ
マウンティングをする人は、他人を見下すことで自分自身のアイデンティティーを保とうとする、非常に厄介な性格をしています。
しかしその裏側には、自分に対する不満が根強くあり「誰かから認められる自分、誰かの上に立つ自分じゃないと、生きていられない!」という、人間として非常に可哀想な一面を持っているのです。つまり、総合的には“残念な人”なので、ある程度は親切にしてあげないとダメかな……と思ってしまうものですが、マウンティングされるほうにとってはストレスの元にしかならず、ただ単にウザイだけ。
では、一体全体、マウンティングをしてくる相手に、どのように対処すればいいのでしょうか? その答えはとても簡単。
やり返したり言い返したりすると、マウンティングをしたがる人はさらに意固地になるだけなので、『ああ、この人、こうやって生きていかないと自分自身を保てない、残念な人なんだ。可哀想になぁ……』と思いながら、にっこり笑顔でスルーを決め込むのが最善策なのです。
もちろん、恵美さんの例のように物理的に距離を置くことができるのであれば「相手と会わない」という選択がいちばんクレバーですが、一度、マウンティングのターゲットにされると、なかなか立ち去ってくれないのがマウンティング女の特徴です。
「以前のように頻繁に会わないようにしているためか、最近、Aさんが、私のSNSにやたらと『いいね』を押してくるようになったんですよ。ウザ~としか思えないのですが、ここでブロックをしたら余計にひどくなりそうなので、徹してスルーしています。おかげで、スルースキルがレベルアップしました(笑)」
と恵美さん。いわゆる「大人の対応」に磨きをかけること。これこそが、マウンティング相手への効果的な返し方かもしれません。