ラグビーW杯日本大会が開幕
ラグビーW杯日本大会が開幕した。史上初めてアジアの国を舞台とする今大会は、20チームが5チームずつ4つのグループに分かれ、総当たりで順位を争う。各グループの上位2チームが準々決勝に進出し、そこからは一発勝負のノックアウト方式で世界の頂点を争う。決勝戦は11月2日だ。
ラグビーW杯は1987年に第1回大会が行われ、日本は2015年まで8大会連続で出場してきた。1991年の第2回大会で初勝利をあげたが、W杯2勝目は4年前の2015年大会まで待たなければならなかった。
その2015年大会では、2度の優勝を誇る南アフリカを撃破した。世界のスポーツ史に刻まれる番狂わせとも呼ばれた一戦だ。さらにサモアとアメリカも退け、史上初の1大会3勝をマークする。日本のラグビーは、世界に躍進を印象づけた。
ロシア戦勝利は予定どおり
ホスト国として出場する今回は、ベスト8進出が目標だ。
9月20日の開幕戦に登場した日本は、ロシアに30対10で快勝した。ここまでは予定どおりである。ロシアはワールドランキング20位で、日本のグループではもっとも格下と見なされているからだ。
ライバルはワールドランキング2位のアイルランド、同8位のスコットランドだ。ベスト8の常連である2チームのどちらかを倒し、ランキング16位のサモア相手にきっちり勝利するのだ。
日本がベスト8に進出するためには「ボーナスポイント」がカギに
ラグビーW杯の観戦では、勝点に注意したい。
勝利に勝点4、引分けに勝点2が与えられ、さらにボーナスポイントがあるのだ。1試合に4トライ以上あげると、勝敗に関係なく勝点1が加算される。また、負けても7点差以内なら勝点1を得る。
4年前の日本は南アフリカ、スコットランドと同じ3勝1敗で並んだが、ボーナスポイントの差で準々決勝進出を逃している。ペナルティゴール(3点)によって小刻みに得点を重ねていくのもいいが、ボーナスポイントのためにトライを取り切る戦い方も求められる。
日本はロシアとの開幕戦で、4トライを奪ってボーナスポイントを獲得した。22日に行われたアイルランド対スコットランド戦では、アイルランドが4トライを記録して27対3で勝利した。勝点「5」を取れるかどうかは、今回もベスト8進出のポイントになっていくだろう。
試合間隔が長い日本は有利?
日本の今大会を語るうえでは、日程にも触れるべきだ。前述したように、ラグビーW杯は5チームずつ4つのグループに分かれてリーグ戦を争う。全チームが同日に試合を行なえないため、日程にバラつきが生じる。
ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が率いる日本は、9月28日の第2戦を中7日で迎える。一方、対戦相手のアイルランドは中5日だ。サモアとの第3戦、スコットランドとの第4戦も、日本は相手より試合間隔が長い。疲労回復では間違いなく有利だ。
日本の注目選手は?
日本の注目選手を3人あげたい。
1人目は松島幸太朗だ。前回大会にも出場したこの26歳は、ロシア戦で日本人史上初のW杯1試合3トライを達成した。アイルランドやスコットランドを相手にしても、トライを奪いきる決定力を見せつけたい。
ロシア戦では、姫野和樹も存在感を示した。タテへの突進力は世界のトップクラスにも通用するもので、ロシア戦では両チームを通じて最多のボールキャリー(ボールを持って前へ進む)を記録した。W杯初出場の25歳が攻守に幅広くボールに絡むことで、チームに勢いがもたらされる。
3人目は福岡堅樹だ。国内屈指のスピードを誇るトライゲッターは、W杯直前のテストマッチで右足を負傷し、ロシア戦を欠場した。しかし回復は順調で、早ければアイルランド戦でメンバー入りするだろう。
福岡が定位置の左ウイングに入ることで、右ウイングの松島へのマークが分散される。また、スタメンはもちろん途中出場のカードとしても、チーム一の俊足は力を発揮する。福岡がリザーブに控えているだけでも、相手にプレッシャーをかけられるのだ。
日本の今後のスケジュールは?
日本のスケジュールをもう一度確認しておくと、9月28日にアイルランド戦、10月5日にサモア戦、13日にスコットランド戦となっている。
史上初のベスト8入りを目ざす“ブレイブ・ブロッサムズ”の戦いは、ここから本格化していく。