過去10年のリーグMVPの傾向は?
ペナントレースも終盤に差し掛かった今季のプロ野球。今年は9月の段階で両リーグとも上位チームが5ゲーム差以内の中にあるため、どのチームも優勝の可能性は十分あります。それと同時にリーグMVP争いも白熱してきました。
MVPは通常のタイトルとは異なり、記者の投票によって決まるのが最大の特徴。それだけに優勝チームの主力となった選手やシーズンでインパクトを残した成績を残した選手が獲得し、今年のプロ野球界の顔ともいうべき選手が決まるタイトルといっても過言ではありません。過去10年の受賞者を見てみると以下の選手たちが受賞しています。
年 | 選手 | 球団 | シーズン成績 | 優勝チーム在籍 | 他タイトル獲得 |
---|---|---|---|---|---|
2009 | ラミレス | 巨人 | 打率.322 31本塁打103打点 | ○ | ○ |
2010 | 和田一浩 | 中日 | 打率.339 37本塁打93打点 | ○ | × |
2011 | 浅尾拓也 | 中日 | 7勝2敗10S45H 防御率0.41 | ○ | ○ |
2012 | 阿部慎之助 | 巨人 | 打率.340 27本塁打104打点 | ○ | ○ |
2013 | バレンティン | ヤクルト | 打率.330 60本塁打131打点 | × | ○ |
2014 | 菅野智之 | 巨人 | 12勝5敗 防御率2.33 | ○ | ○ |
2015 | 山田哲人 | ヤクルト | 打率.329 38本塁打100打点 | ○ | ○ |
2016 | 新井貴浩 | 広島 | 打率.300 19本塁打101打点 | ○ | × |
2017 | 丸佳浩 | 広島 | 打率.308 23本塁打92打点 | ○ | × |
2018 | 丸佳浩 | 広島 | 打率.306 39本塁打97打点 | ○ | × |
▲過去10年セ・リーグMVP
年 | 選手 | 球団 | シーズン成績 | 優勝チーム在籍 | 他タイトル獲得 |
---|---|---|---|---|---|
2009 | ダルビッシュ有 | 日本ハム | 15勝5敗 防御率1.73 | ○ | ○ |
2010 | 和田毅 | ソフトバンク | 17勝8敗 防御率3.14 | ○ | ○ |
2011 | 内川聖一 | ソフトバンク | 打率.338 12本塁打74打点 | ○ | ○ |
2012 | 吉川光夫 | 日本ハム | 14勝5敗 防御率1.71 | ○ | ○ |
2013 | 田中将大 | 楽天 | 24勝0敗1S 防御率1.27 | ○ | ○ |
2014 | 金子千尋 | オリックス | 16勝5敗 防御率1.98 | × | ○ |
2015 | 柳田悠岐 | ソフトバンク | 打率.363 34本塁打99打点 | ○ | ○ |
2016 | 大谷翔平 | 日本ハム | 10勝4敗1H 防御率1.09 打率.322 22本塁打67打点 |
○ | × |
2017 | サファテ | ソフトバンク | 2勝2敗54S3H 防御率1.09 | ○ | ○ |
2018 | 山川穂高 | 西武 | 打率.281 47本塁打124打点 | ○ | ○ |
▲表2 過去10年パ・リーグMVP
セ・パともにペナントレースで優勝したチームの主力選手が受賞することがほとんどで、他の個人タイトルを獲得していると有利に働く傾向にあります。ちなみに優勝していないチームからリーグMVPに選出されたのは2人です。
バレンティンは2013年所属するヤクルトがセ・リーグ最下位だったものの、シーズン本塁打新記録となる60本塁打を記録して獲得。ペナントレースも混戦だった2014年のパ・リーグでは沢村賞など投手タイトルを総ナメにしたオリックス(シーズン2位)のエース・金子千尋がもぎ取りました。これらの傾向を踏まえて、今季のリーグMVP候補をチェックしてみましょう。
巨人勢は個人タイトル獲得がカギに!?
選手名 | 球団 | 今季成績 |
---|---|---|
坂本勇人 | 巨人 | 打率.311 36本塁打89打点 |
丸佳浩 | 巨人 | 打率.302 27本塁打89打点 |
山口俊 | 巨人 | 14勝4敗 防御率2.88 |
筒香嘉智 | DeNA | 打率.273 29本塁打79打点 |
今永昇太 | DeNA | 13勝6敗 防御率2.39 |
ソト | DeNA | 打率.264 36本塁打100打点 |
鈴木誠也 | 広島 | 打率.336 27本塁打86打点 |
▲表3 セ・リーグMVP候補
※成績は9/16終了時点
まずはセ・リーグのMVP候補をみてみましょう。優勝チームから選出されることが多いだけに、現時点でチームが3位の鈴木誠也はやや分が悪い印象ですが、その他6名は誰が受賞してもおかしくないほどの混戦ぶりです。
現時点でリーグ1位の巨人では、今季坂本勇人が本塁打を量産して現時点でリーグ2位。このままタイトル獲得となれば最有力となりそうですが、一方でソトに逃げ切られるようだと難しくなります。それを考えれば沢村賞がある分、リーグMVPには選ばれにくい傾向のある投手の山口俊が現在リーグ1位タイとなる最多勝のタイトルを獲得するようなら俄然チャンスがあります。
シーズン2位のDeNA勢は逆転優勝が絶対の条件。本塁打王争いでリードしているソトはもちろんですが、こちらも最多勝を山口俊と争っている今永昇太もタイトル獲得となれば当然有力候補に躍り出ます。
ちなみに丸佳浩は今年もリーグMVPを獲得すれば山田久志、イチローに続き史上3人目となる3年連続のリーグMVP受賞の大記録を達成します。現時点ではかなり不利な状況ですが、ここから逆転はあるのでしょうか?
西武の主軸打者4人が候補に!
選手名 | 球団 | 今季成績 |
---|---|---|
千賀滉大 | ソフトバンク | 13勝7敗 防御率2.83 |
森友哉 | 西武 | 打率.339 22本塁打101打点 |
秋山翔吾 | 西武 | 打率.307 20本塁打56打点 |
中村剛也 | 西武 | 打率.296 29本塁打120打点 |
山川穂高 | 西武 | 打率.254 42本塁打115打点 |
▲表4 パ・リーグMVP候補
※成績は9/16終了時点
続いてパ・リーグの候補の選手です。1位ソフトバンクと2位の西武の差はほとんどなく、3位のロッテは7ゲーム差が離れているため、ここでは上位2チームの争いになることが考えられます。しかし、現在の首位のソフトバンクは今季、ケガ人が続出したため、シーズンを通じて活躍した選手が少なめ。そのため数字的に目立った選手がおらずMVP候補はエースの千賀滉大のみだと言えるでしょう。その千賀もタイトル争いではかなり不利な状況でもあります。
一方、強力打線を武器にした2位の西武からはMVP候補が続出。中でも注目は現在首位打者を独走している森友哉でしょう。ただでさえ守備の負担も大きい捕手をメインに守っている選手だけにその価値は高いもの。ちなみに捕手の首位打者は過去に3人いますが、うち2人はリーグMVPを受賞しているだけにかなり大きなアドバンテージとなりそうです。
これに続くのが現時点で本塁打王の山川穂高、打点王の中村剛也、そして最多安打の秋山翔吾とそれぞれもタイトル獲得の可能性の高い選手たち。打撃タイトル総ナメとなる強力打線を誇るチームですが、逆転優勝があるようなら森友哉が優位に立つでしょう。
今年のリーグMVPは誰の手に!?
いかがでしたか? リーグ優勝チームとともに最後まで目が離せないリーグMVP候補の選手たち。シーズン終盤の追い上げが注目される中で、誰が今年のMVPを受賞するか注目が集まります。それだけに最後まで見逃せませんよ!