歴代の強打者たちにも匹敵!? 巨人・山下航汰の可能性とは

「球界の盟主」と称される巨人。毎年のように背景に他球団の主力選手を獲得するなど、チーム強化に余念がないことで知られていますが、その巨人に今季、大物候補がなんと育成枠の選手から現れました。そんな未来のスター候補をデータとともに紹介します。

育成枠からあっという間に支配下へ!

2019年4月二軍の試合にて(筆者撮影)



8月に入り、プロ野球のペナントレースも佳境に。白熱する優勝争いも気になるところですが、若手選手たちが奮闘する二軍のリーグ戦も終盤に差し掛かってきました。未来のスター候補生たちが多数いる中でこの夏、注目を集めているのが巨人のルーキー、山下航汰です。

山下は高校時代、群馬県の名門校である健大高崎に在籍し、高校2年生の春にはセンバツ大会に出場。1回戦の対札幌第一高戦、2回戦の対福井工大福井戦の2試合連続で満塁本塁打を放など、高校通算では75本塁打を記録しました。

本塁打数からもわかるように山下の長打力には目を見張るものがありましたが、守備、走塁面で物足りなさがあったためか、昨秋のドラフト会議時には意外なまでの低評価。そのため山下は支配下登録選手としてドラフト指名されることがなく、育成ドラフトの指名でプロ入りすることになりました。甲子園の舞台でも活躍した選手だけに高校野球ファンからは「なぜ?」と一部で話題になったほどです。

しかし、この低評価を覆すかのように山下は二軍のイースタンリーグが開幕すると選手層の厚い巨人にいながら、二軍のレギュラーに定着して活躍。その好成績を見たチームは7月5日に支配下選手契約を結ぶことになりました。その名の通り、育成選手とは試合に出場するよりも体力づくりを中心に進めることが主で、高卒ルーキーの育成選手が1年目から支配下契約を勝ち取るのは史上初の快挙。

山下は二軍で素晴らしい成績を収めていたからこそ、支配下契約を勝ち取りましたが、その二軍成績は歴代の選手たちと比べるとどんなものだったのでしょうか…?
 

長打率4割台はスラッガーの証

比較のために用意したのは、侍ジャパンに選出された経験のある主な高卒選手たちの1年目の二軍成績。それでは山下航汰との成績の違いを見てみましょう。

選手名  球団  打率  本塁打  打点  長打率  出塁率  OPS  規定打席到達
坂本勇人 巨人 .268 5 28 .377 .325 .702
中田翔 日本ハム .255 11 31 .464 .339 .803 ×
浅村栄斗 西武 .219 3 27 .300 .280 .580
筒香嘉智 湘南 .289 26 88 .502 .333 .835
山田哲人 ヤクルト .259 5 39 .342 .320 .662
近藤健介 日本ハム .279 1 17 .355 .367 .722 ×
鈴木誠也 広島 .281 2 38 .367 .326 .693
森友哉 西武 .341 5 41 .504 .397 .901 ×
岡本和真 巨人 .258 1 16 .354 .307 .661 ×
村上宗隆 ヤクルト .288 17 70 .490 .389 .879
山下航汰 巨人 .322 4 24 .479 .371 .850

▲主な高卒ルーキーの1年目二軍成績
※山下航汰は2019年8月9日現在

1年目から一軍で活躍した森友哉が別格の打率を残していますが、規定打席に到達していながら、打率3割を超えているのはなんと山下航汰のみ。これだけでも十分すごいのですが、特筆すべきは長打力(塁打÷打数)の高さです。

一軍の投手と比べると能力が低い投手が投げているため、一軍ではさほど長打が出ない打者でも二軍の試合では長打率が高くなる傾向がありますが、歴代の選手たちを見ると、4割を超えればスラッガーの仲間入りをする可能性が高いと言えます。この傾向に当てはめると山下航汰も将来、シーズン30本塁打を打つ可能性があるでしょう。

未来のスラッガーに要注目!

いかがでしたか? ドラフト会議時の注目度はかなり低かった山下航汰ですが、フタを開けてみれば今季の高卒ルーキーの中で断トツの二軍成績を残し、一軍でのデビューも秒読み段階にまで差し掛かっています。

実際、山下も8月2日に一軍昇格を果たし、出場機会がないまま再び二軍に降格しましたが、近いうちにその雄姿を一軍の舞台で見られることでしょう。大成必至の未来のスラッガーだけに山下航汰の今後に注目しましょう。
 

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