1番打者の活躍がチームの勝敗を占う!?
プロ野球ペナントレースも後半戦が開幕。いよいよ佳境に迫ってきました。優勝争いが白熱する中で負けられない試合ばかりになっていきますが、中でも注目したいのが各チームの1番打者。野球は点取りゲームで先取点を挙げたチームが断然有利なスポーツですが、そのためには1番打者の活躍が必要不可欠です。
そこで各チームの前半戦を振り返り、1番打者の打率をチェック。チーム順位と密接に関係しているかを調べてみました。
後半戦伸びる可能性が!? 注目のチームは……
検証したのは今季前半戦(7月10日まで)までの各チームのスターティングメンバーとしての出場した1番打者の打率。まずはセ・リーグの6球団から見ていきましょう。
順位 | 球団 | 打率(打数-安打数) | 本塁打 | 打点 |
---|---|---|---|---|
1位 | 中日 | .316(326-103) | 5 | 35 |
2位 | 巨人 | .283(307-87) | 10 | 30 |
3位 | DeNA | .273(341-93) | 6 | 24 |
4位 | 阪神 | .234(351-82) | 5 | 20 |
5位 | ヤクルト | .225(316-71) | 9 | 23 |
6位 | 広島 | .196(341-67) | 1 | 15 |
現在首位をひた走る巨人、そして2位に付けているDeNAがそれぞれチームの平均打率(巨人.264、DeNA.246)よりも高い打率を記録する1番打者がいることがわかりますが、その2球団を大きく上回ったのはなんと現在5位の中日です。
前半戦80試合中、約半数に当たる41試合で1番打者を務めた平田良介は打率.341と言うハイアベレージを記録しただけでなく、井領雅貴も10試合のみながら打率.366をマークするなど高い適性を見せました。
4番を務める主砲のビシエドをはじめ、中軸には好打者が揃う中日打線。それだけに1番打者の活躍次第では、ペナントレース後半戦では台風の目となる可能性は高そうです。
リーグV3チーム、広島がまさかのリーグワースト!?
反対に意外なまでに停滞したのが現在、セ・リーグ3連覇中の広島。巨人を抜いて一時は首位に立つなど意地を見せましたが、交流戦に突入すると再び失速。リーグ再開後もその悪い流れを止められずに11連敗で前半戦を終えました。
その敗因となっているのが1番打者の成績。打率.196は5位ヤクルトよりも約3分も低いブッチギリのリーグワーストと、とにかく貧打に喘いでいます。昨年不動の1番打者を務めた田中広輔がシーズンを通じて打率.195と低迷。1番打者として起用された際も打率は.167と散々なものでした。
この悪い流れを何とか変えようと、新たに1番打者として起用した野間峻祥も5月こそ期待に応えましたが、それ以降は失速。1番打者としては打率.213と低迷してしまいました。6月以降は長野久義やルーキーの小園海斗など様々な選手を起用している点に緒方孝市監督も頭を悩ませていることが伺えますし、6月以降、亀井善行でほぼ1番打者を固定した巨人が首位を奪還して突き放したのとは対照的です。
リーグワーストでも勝てる、ソフトバンクの底力
セ・リーグでは1番打者の成績が如実に成績に現れていましたが、では、パ・リーグ各球団はどうでしょうか?
順位 | 球団 | 打率(打数-安打数) | 本塁打 | 打点 |
---|---|---|---|---|
1位 | 西武 | .298(349-104) | 7 | 28 |
2位 | 日本ハム | .289(332-96) | 2 | 25 |
3位 | ロッテ | .287(331-95) | 6 | 30 |
4位 | 楽天 | .282(333-94) | 7 | 35 |
5位 | オリックス | .231(329-76) | 2 | 22 |
6位 | ソフトバンク | .229(336-77) | 9 | 20 |
まず、一目でわかるのがパ・リーグ各球団の1番打者の打率の高さ。6球団中4球団が打率.280を超えているのがセ・リーグ各チームとの大きな違いです。秋山翔吾(西武)や荻野貴司(ロッテ)など、不動の1番打者を据えられるチームはペナントレースでも上位を争い、反対に1番打者の打率が.231にとどまったオリックスが最下位に低迷しているのも必然と言えるでしょう。
これを覆したのが現在パ・リーグ首位のソフトバンク。今季は故障者が続出したためベストメンバーで戦えていないことも影響してか、1番打者の打率はなんとリーグワーストの.229。牧原大成や福田秀平が主に起用されていますが、どちらも1番時の打率は.230位以下ととてもリードオフマンとして機能しているとは言えません。
しかし、選手の層が厚いのがソフトバンク最大の武器。前半戦はこの2人を含めて11人もの選手を1番打者に起用。トータルした打率は低いものの、試合ごとに調子のいい選手を優先して起用してカバーしていたことが伺えます。同じように1番打者が不振でも固定し続けた広島との違いが如実に表れたと言えるでしょう。
下位に低迷したチームの後半戦の巻き返しはあるのか!?
いかがでしたか? データから野球を見てみると意外な発見があり、興味深い結果が出ることがわかったでしょう。果たして12球団ベストの1番打者打率を誇る中日の逆襲、そして12球団ワーストだった広島の巻き返しはあるのか…後半戦の各チームの1番打者の起用法から目が離せません。