初めて尽くしの6月

6月上旬から下旬にかけての3週間強で、久保建英はたくさんの「初めて」を経験した。
 

海外クラブ所属選手が多い日本代表に初めて合流し、6月9日のエルサルバドル戦で国際試合にデビューした。後半途中からの出場で、決定的なシュートも放った。
 

FC東京からスペインの超名門レアル・マドリードへの移籍が決まった久保建英(写真:新井賢一/アフロ)

同11日からはコパ・アメリカに出場する日本代表の一員として、開催国ブラジルへ旅立つ。東京五輪世代が中心となる若いチームで、久保はチリとの開幕戦で代表初スタメンを飾った。ウルグアイとの第2戦に途中出場し、エクアドルとの第3戦では再び先発に名を連ねた。
 

背番号21を着けたチーム最年少のMFは、実に堂々とプレーしていた。173センチの身体はまだ成長過程にあり、身体能力で劣るのはしかたがない。それでも、「相手にコンタクトされるたびに倒れて痛がっていたらカッコ悪いので、ある程度は痛いながらも頑張れたかなと」と話したように、天性のサッカーセンスと高い技術で各国のDFと互角以上に渡り合った。
 

「前を向いてからのドリブルとか、早いテンポでのパスとかは、外から試合を見ているときからそれはできるだろうなと思っていました。実際にやってみて、自分の思惑どおりじゃないですけど、やれることはやれたので。そこは自信を持ったほうがいいのかなと思います」
 

自己分析は冷静である。表情にはあどけなさを残すものの、言葉には浮ついたところがまったくないのだ。
 

「自分が持っているものを出せなかったら、けっこう絶望しちゃうと思うので、そんなのは全然なかったですね。出せなかったものもあるかもしれないですけど、出せたものがいまできるものだと思うので。もうやり切った、と」
 

新天地では激しい競争が待つ

ブラジルから帰国した久保は、7月上旬にも新天地のレアル・マドリードへ合流する見込みだ。“白い巨人”の愛称を持つスペインの超名門は、スタメンだけでなくもベンチにも各国のエース級がズラリと揃う。保有戦力は世界で1、2を争うと言っていい。
 

元フランス代表でクラブOBのジネディーヌ・ジダンが率いるチームは、7月中旬にアメリカへ遠征する。久保はこの遠征に帯同すると報じられているが、日本からやってきた18歳を待ち受けるのは厳しい競争だ。
 

昨シーズンのレアル・マドリードでは、コロンビア代表で背番号10を背負うハメス・ロドリゲス、クロアチア代表のマテオ・コバチッチ、ノルウェー代表の俊英マルティン・ウーデゴールらが、スペイン国外のクラブへレンタル移籍していた。ワールドカップに出場したことのあるビッグネームでも、ポジションを確約されないのがレアル・マドリードというチームなのだ。
 

来るアメリカ遠征でトップチーム定着を狙う選手は、久保ひとりではない。すでに実績のある選手も、新シーズンへ向けて改めてアピールをする。日頃の練習から「できる」との印象を植え付け、試合では短い時間でアピールをしなければならない。
 

現実的な選択肢としては、レアル・マドリードのセカンドチームに相当する『レアル・マドリード・カスティージャ』所属になるだろうか。ここでアピールをしながら、トップチームから声がかかるのを待つことになりそうだ。あるいは、スペインの他クラブや、スペイン以外の国のクラブへレンタル移籍する可能性も否定できない。
 

どのような環境が与えられるにせよ、伸び盛りの18歳には刺激的な環境である。9月開幕の22年カタールW杯アジア予選で日本代表の戦力となるためにも、新たなチャレンジを成長につなげてほしいところだ。