離婚して地元に戻ったけれど、女友だちと距離感に迷う

他人との距離のとり方というのは、案外むずかしい。気にしなければいいのだが気にし始めるとキリがない。自分も人も心地よいと感じられる距離をとりたくても、なかなかそれが見つからないと悩む人は多いようだ。

40代、旧友と再会しても……

他人との距離のとり方というのは、案外むずかしい。気にしなければいいのだが気にし始めるとキリがない。自分も人も心地よいと感じられる距離をとりたくても、なかなかそれが見つからないと悩む人は多いようだ。
 

離婚して子連れで故郷に戻ったけれど

夫の浮気が許せず、結婚して12年で離婚。2年前に故郷に戻ったアユミさん(46歳)。現在、13歳と9歳の息子とともに、実家で母と4人で暮らしている。

「母は75歳になりますが元気なので、子どもたちのめんどうも見てくれています。私は戻ってきてから仕事を探しました。一応、資格があるのでそれを活かして働いていますが、夜勤などもあるのでけっこう大変」

ずっと連絡をとりあっていた仲良しの小中学校時代の友だちとは旧交を温め合った。一方で、やはり「離婚して戻ってきた」ことは、一部の知り合いの間では噂になったようだ。

「小さな街ですからね。こんな時代でも離婚は噂になるんですよね。かつての同級生に会ったとき、『離婚したんだって? かわいそうに。大変だったね』と言われてびっくりしました。離婚ってかわいそうなことだと思われるんだって。『別にかわいそうじゃないよ、離婚したくてしたんだから』と言ったら、『そんな無理しなくていいよ、同級生でしょ』だって。どう思われてもかまわないと図太く生きていかないといけないと思いましたね」

仲良しだった人たちはわかってくれる。だが、顔見知り程度のかつての同級生は、妙にお節介だったり同情を寄せたりする。それがうっとうしい。

 

地域密着の人間関係

「お節介の友人は、『そういえば〇〇さんも離婚して実家にいるのよ。私はあなたのことわかってあげられないから、〇〇さんに会ってみたらいいよ』ってわざわざ連絡先を教えてくれて。個人情報どうなってるのという感じですが(笑)。離婚という共通点があれば話が合うわけでもないし、そもそも私は仕事と家庭で忙しいので、頻繁に誰かと会いたいわけでもないんですよね」

ずかずかとプライバシーに踏み込んで来られても不快だし、かといって「離婚した人とは話が合わない」と思い込まれても癪だ。ごく普通につきあってくれればいいだけなのに、なぜ過剰反応するのだろうとアユミさんは不思議に思っている。

「多くの人が結婚してごく普通の家庭生活を営んでいる。それと違う境遇の人がコミュニティにぽんと入ってくるとうろたえるんじゃないかと、私は彼女たちを見ながら密かに思っているんです。あちらが私とどうつきあっていいかわからないんですよ、きっと。私は私で生きていくだけなので、あまり周りを気にしてはいないんだけど。母に言わせれば、『あんたが淡々としているから、周りはどうしたらいいかわからないんじゃない?』って。意味がわかりません。子どもふたり抱えて離婚して、泣いている場合でもないし。誰かが私の人生を助けてくれるわけでもないのに」

同じ地域に住むかつての同級生となると、境遇の違いが距離感のむずかしさにつながる。だが似たような境遇であっても、詳細がわかるまではなかなか近寄りづらい。40代女性の生き方が多岐にわたるだけに、どういう立場であれ「仲間」を見つけるのはむずかしいのかもしれない。

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