結婚が「選択肢」と気づいたから
「結婚」は人生の目的ではなく、あくまでも選択肢のひとつ。そう気づいた女性たちから、「結婚やめた」の声が続々と聞こえてくる。自身の恋愛観や結婚観が変わった女性もいる。
同棲から結婚へ、といくはずだったけれど
7年におよぶ同棲を経て、いざ結婚となったとき、「やっぱりやめた」と結婚をとりやめた女性がいる。サヨさん(42歳)だ。30歳のころから2歳年上の彼と同棲、彼はフリーランスで「便利屋」をしながら小説家を目指していた。
「彼の夢を支えてあげたいと思っていました。便利屋としての彼の月収は10万円いくかどうか。ぼつぼつ書いている小説は一次審査も通らない。それでも彼の夢は私の夢だと思っていた時期がありました」
彼女は一生懸命仕事に励み、徐々に収入も上がっていく。5年ほどたつと、彼はだんだん卑屈になり、自暴自棄にもなっていった。それでも彼女は、彼がいつかは小説家になれると信じていたという。
「ただ、ひとつのことにずっと同じテンションで取り組むのも大変なことですよね。だからあまり彼にプレッシャーを与えないようにはしていました。だけど期待すれば卑屈になる、期待しなければ『どうせオレには才能がないと思ってるんだろ』と怒り出すで、手がつけられなくなっていったんです」
7年たったとき、彼はぽつりと言った。「定職について小説家を目指す」と。彼自身、たゆまぬ努力を続けることに耐えられなくなったのかもしれない。
「彼は仕事を見つけて働き出しました。本人は新しい道でがんばるつもりだったんでしょうけど、小説はまったく書かなくなった。それで私の気持ちが切れてしまったんです」
仕事を見つけて半年、彼からプロポーズされた。だが彼女は結婚する意欲をなくしていた。哀しいすれ違いだ。
「夢に向かってがんばる彼が好きだった。でも彼は彼で安定を求めたんでしょう。安定を求める彼は私からすると魅力的ではなくなったんです」
魅力が失せたら一緒にはいられない
サヨさんは、「結婚できればいい」と思っていたわけではなかった。むしろ自分にとって魅力的でなくなった彼と一緒にいることがつらかった。
「だから結婚はできないと言うしかありませんでした。彼は『サヨのために仕事を始めたのに』と言っていたけど、それは私の望む姿ではなかった」
彼の思い込みと勘違いから、ふたりの関係は終わってしまった。お互いにもう少し言葉を尽くして話し合っていたら、きっといろいろな選択肢はあっただろう。
「でもそれができなかったということは、もともとこうなる運命だったのかもしれないと思いました。私は自分が作り出した彼の幻影に恋していたのかもしれません。彼の夢を自分の夢だと思い込んだのも間違っていた」
以来、彼女は仕事に邁進。今は子犬とふたり暮らしだ。
「犬はいいですね。過剰な期待もしないですむし、決して裏切らない。犬がいれば結婚なんてしなくてもいいかもと思い始めている自分がいます(笑)」
自分にとって何が快適か。そこを見極めていくことも重要なのかもしれない。