2019年のJリーグを沸かせているのは、アンドレス・イニエスタらの大物外国人選手だけではない。平成から令和へ時代が変わっていくなかで、近未来の日本サッカーを背負うであろう高校生年代の若武者が、力強い息吹を注いでいるのだ。
注目の若手が久保建英以外にも!
高校生年代のJリーガーと言えば、J1・FC東京の久保建英(くぼ たけふさ)が注目を集めている。スペインの名門バルセロナの下部組織で育った彼は、シーズン開幕からポジションをつかみ、4月10日のリーグカップで今シーズンの公式戦で初ゴールを記録した。
ズバ抜けた才能の出現は、同世代の選手たちを刺激する。かつて“黄金世代”と呼ばれた1979年生まれの選手たちが、小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)を中心に切磋琢磨していったように、である。
久保と同じ2001年生まれでは、J1・サガン鳥栖の松岡大起(まつおか だいき)が出場機会を増やしている。攻守にハードワークするMFの彼は、7節終了時点で6試合に出場している。
J2の横浜FCでは、斉藤光毅(さいとう こうき)がはつらつとしたプレーを見せている。J2リーグへのデビューは昨年7月に飾っていたが、今シーズンは4月3日にプロ初ゴールを記録し、同7日には初スタメンでフル出場を果たした。続く試合でもフル出場し、チーム内での足場を固めつつある。
新たな黄金世代の誕生も
斉藤の武器はドリブルだ。170センチと身体は大きくないものの、抜群の加速力と「キュッ」と音がするような方向転換で、相手守備陣に致命的なダメージを与えていく。カズこと三浦知良、17年J2得点王のイバ、ブラジル人MFレアンドロ・ドミンゲスらとともに、攻撃の一角を担っている。
5月下旬に開幕するU-20(20歳以下)W杯の出場も射程圏にある。4月中旬にはU-20日本代表候補のトレーニングキャンプに招集された。このチームの中心は1999年生まれの選手たちで、本来なら2021年のU-20W杯出場を狙う世代の斉藤は、“飛び級”で候補選手に名を連ねているのだ。
もっとも、斉藤自身は冷静に自分を見つめている。J2リーグ戦に2試合連続でフル出場した4月14日の大宮アルディージャ戦後には、「やり続けてきたことが監督に認められて試合で使ってもらっていると思いますが、もっとボールに触るためには自分から要求していくことも大事だし、周りの選手からの信頼も高めていかなければいけない」と話した。注目度の高まりで周囲が騒がしくなっていることについても、「環境が変わっても、結果を残していくことに集中してきます」と、落ち着いた口ぶりで話す。
久保や斉藤と同学年の選手では、02年2月生まれの西川潤も4月13日にJ1リーグデビューを飾った。神奈川県の桐光学園高校に在籍するこのMFは、より高いレベルでプレーできる『特別指定選手』としてセレッソ大阪に登録され、J1リーグのピッチに立ったのだった。
高校生年代の選手たちは、小さなきっかけから一気に成長速度を上げるものだ。彼らが新たな黄金世代として脚光を浴びることになっても、決して不思議ではない。