プレ更年期? 夫が目障りでたまらない
40代になると女性ホルモンは激減、中にはプレ更年期といわれる症状に見舞われる人も。夫はよくわからないので、ひたすら妻の顔色をうかがうことになる。
ある日突然、イライラするように
「40代に入ったことが、なんだかストレスだったんですよね。もう若くないことを実感したというか。月経不順、頭痛などが続いて内科に行っても、きちんと病名がつくわけでもなくて。ただひたすら、些細なことにイライラして」
ミドリさん(44歳)はそう言う。結婚して17年、16歳と15歳の子がいる。彼女のイライラはひたすら夫に向かったという。
「子どもに対しては自制心が効くんですよ。相手は子どもだから。反抗されても生意気な口をきかれても、子どもだから許せるし、理屈で説得もできる。ただ、夫はとにかく目障りだった。夫が私の背後を通っただけで蹴飛ばしたくなるくらいでした」
もともと仲が悪いわけではかった。ただ、心のどこかに自分もずっと働いていたかったという思いがある。年子の子を育てながら仕事をしているうちに無理がたたって身体を壊し、会社を辞めた経緯があるのだ。
「その後、パートで働いていますが、あのとき辞めたのがやはり心残りだったんですよね。大好きな仕事だったから。もちろん子どもたちの成長を見られたのはよかったけれど」
ずっとためてきたストレスが一気に爆発するようになったのかもしれないと自己分析をしていた。
夫は何もわかってくれない
その後、パート先の友人に言われて婦人科を受診。どうやらプレ更年期なのだとわかった。少しホルモン療法をしてみたら落ち着いたが、夫への苛立ちは今も続いている。
「週末、夫が料理をするのがここ数年の習慣なんですが、前は楽しんで見守っていたのに、今はなぜかイライラする。『ふだん何もしないくせに、週末だけこうやってポイント稼ぎをしようとしている』なんて思ってしまうんですよね。だから後片づけができていないと、『だからイヤなのよ』と大げさに騒いだりして。そう言っている自分のこともイヤになってる」
最初のうちは心配していた夫も、今は妻の顔色をうかがうようになっているという。そしてそれがまた、ミドリさんを苛立たせる。
「どうしたらいい、何をしてほしいと夫に聞かれたんです。でも私にもわからない。離婚したいわけではないし、もちろん家族が崩壊していいなんて思ってもいない。ただ、どこかに逃げ出したい気分は続いています」
パートとはいえ仕事への意欲はある。夫が数日間出張のときは、妙に晴れ晴れとした気持ちになる。もしかしたら「結婚生活」自体がもう合わなくなっているのかもしれないと思うそうだ。
「あと数年、とにかく子どもたちが18歳になるまではがんばってみます。その先どうしたいかはそのときに決めようと。夫のことが好きなのか嫌いなのかも今はわからないんですよね」
何かを変えたい。自分の人生をもう一度見つめ直したい。子どもたちが大人になる寸前の女の40代はそんな思いにとらわれるのかもしれない。