先発投手の栄誉・開幕投手を務めた後って?
公式戦第1戦目となる開幕戦はプロ野球選手たちにとっても特別な意味を持つ試合。中でもその試合で先発した投手は「開幕投手」と称されます。開幕戦はどのチームもエース級の投手を先発させるため、開幕投手を務めることは先発投手たちの1つの名誉と言えるでしょう。
そんな大役を担える投手だけに、当然シーズン終了後も素晴らしい成績を残しているに違いない……と思われますが、実際はどうでしょう。過去5シーズン(2014年~2018年の各チームの開幕投手たちを振り返ってみましょう。
「開幕投手」の大役に張り切る意外な選手たち
まずはセ・リーグ6球団の直近5年の先発投手です。
年度 | 広島 | 開幕勝敗 | シーズン成績 | 年度 | DeNA | 開幕勝敗 | シーズン成績 |
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2014 | 前田健太 | ○ | 11勝9敗 防2.60 | 2014 | 三嶋一輝 | × | 1勝2敗 防10.88 |
2015 | 前田健太 | × | 15勝8敗 防2.09 | 2015 | 久保康友 | × | 8勝7敗 防4.12 |
2016 | ジョンソン | × | 15勝7敗 防2.15 | 2016 | 井納翔一 | ○ | 7勝11敗 防3.50 |
2017 | ジョンソン | × | 6勝3敗 防4.01 | 2017 | 石田健大 | × | 6勝6敗 防3.40 |
2018 | 野村祐輔 | ○ | 7勝6敗 防4.22 | 2018 | 石田健大 | × | 3勝7敗 防4.97 |
年度 | ヤクルト | 開幕勝敗 | シーズン成績 | 年度 | 中日 | 開幕勝敗 | シーズン成績 |
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2014 | 小川泰弘 | ○ | 9勝6敗 防3.66 | 2014 | 川上憲伸 | × | 1勝2敗 防4.78 |
2015 | 小川泰弘 | ○ | 11勝8敗 防3.11 | 2015 | 山井大介 | × | 4勝12敗2S5H防3.92 |
2016 | 小川泰弘 | × | 8勝9敗 防4.50 | 2016 | 大野雄大 | ○ | 7勝10敗1H防3.54 |
2017 | 石川雅規 | ○ | 4勝14敗 防5.11 | 2017 | 大野雄大 | × | 7勝8敗 牡4.02 |
2018 | ブキャナン | ○ | 10勝11敗 防4.03 | 2018 | 小笠原慎之介 | × | 5勝6敗 防4.11 |
年度 | 巨人 | 開幕勝敗 | シーズン成績 | 年度 | 阪神 | 開幕勝敗 | シーズン成績 |
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2014 | 菅野智之 | ○ | 12勝5敗 2.33 | 2014 | 能見篤史 | × | 9勝13敗 防3.99 |
2015 | 菅野智之 | ○ | 10勝11敗 防1.91 | 2015 | メッセンジャー | ○ | 9勝12敗 防2.97 |
2016 | 菅野智之 | ○ | 9勝6敗 防2.01 | 2016 | メッセンジャー | × | 12勝11敗 防3.01 |
2017 | マイコラス | ○ | 14勝8敗 防2.25 | 2017 | メッセンジャー | ○ | 11勝5敗 防2.39 |
2018 | 菅野智之 | × | 15勝8敗 防2.14 | 2018 | メッセンジャー | ○ | 11勝7敗 防3.63 |
※セ・リーグ各球団の開幕投手の成績一覧(過去5年)
※太字は自身初の開幕投手
2017年は国際大会のWBCがシーズン前に開催された影響で、各チームとも大会に出場した主戦投手を登板させなかった傾向がありますが、それ以外の年はいずれもチームのエース投手ばかり。
中でも別格の成績を残しているのが菅野智之(巨人)でしょう。5シーズン中、4度開幕投手を務め、いずれの年もタイトルを獲得。初の開幕投手を担った2014年にはプロ2年目にしてMVPに輝いています。
意外にも健闘が目立つのが助っ人外国人選手たち。今季も含め目下5年連続で開幕投手を務めているメッセンジャー(阪神)を含め、6球団中4球団が助っ人外国人が開幕投手を務めています。その年の成績を見ると故障で離脱した2017年のジョンソン以外はいずれも先発投手としてチームを支えています。そのジョンソンも2016年には沢村賞に輝くなど、助っ人外国人の方が大役に燃える傾向がありました。
初挑戦の方が好成績を残しがち!?
続いて、パ・リーグの各チームの成績を見て見ましょう。
年度 | 西武 | 開幕勝敗 | シーズン成績 | 年度 | ロッテ | 開幕勝敗 | シーズン成績 |
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2014 | 岸孝之 | × | 13勝4敗 防2.51 | 2014 | 成瀬善久 | × | 9勝11敗 防4.67 |
2015 | 牧田和久 | ○ | 9勝11敗3S 防3.66 | 2015 | 涌井秀章 | ○ | 15勝9敗 防3.39 |
2016 | 菊池雄星 | ○ | 12勝7敗 防2.58 | 2016 | 涌井秀章 | ○ | 10勝7敗 防3.01 |
2017 | 菊池雄星 | ○ | 16勝6敗 防1.97 | 2017 | 涌井秀章 | × | 5勝11敗 防3.99 |
2018 | 菊池雄星 | ○ | 14勝4敗 防3.08 | 2018 | 涌井秀章 | × | 7勝9敗 防3.70 |
年度 | ソフトバンク | 開幕勝敗 | シーズン成績 | 年度 | オリックス | 開幕勝敗 | シーズン成績 |
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2014 | 摂津正 | ○ | 10勝8敗 防3.90 | 2014 | 金子千尋 | × | 16勝5敗 防1.98 |
2015 | 摂津正 | × | 10勝7敗 防3.22 | 2015 | ディクソン | × | 9勝9敗 防2.48 |
2016 | 摂津正 | × | 2勝2敗 防5.59 | 2016 | 金子千尋 | × | 7勝9敗 防3.83 |
2017 | 和田毅 | ○ | 4勝0敗 防2.49 | 2017 | 金子千尋 | × | 12勝8敗 防3.47 |
2018 | 千賀滉大 | ○ | 13勝7敗 防3.51 | 2018 | 西勇輝 | × | 10勝13敗 防3.60 |
年度 | 日本ハム | 開幕勝敗 | シーズン成績 | 年度 | 楽天 | 開幕勝敗 | シーズン成績 |
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2014 | 吉川光夫 | ○ | 3勝4敗 防4.88 | 2014 | 則本昂大 | ○ | 14勝10敗 防3.02 |
2015 | 大谷翔平 | ○ | 15勝5敗 防2.24 | 2015 | 則本昂大 | × | 10勝11敗 防2.91 |
2016 | 大谷翔平 | × | 10勝4敗1H防1.86 | 2016 | 則本昂大 | ○ | 11勝11敗 防2.91 |
2017 | 有原航平 | × | 10勝13敗 防4.74 | 2017 | 美馬学 | ○ | 11勝8敗 防3.26 |
2018 | ロドリゲス | × | 3勝2敗 防5.26 | 2018 | 則本昂大 | ○ | 10勝1敗 防3.69 |
※パ・リーグ各球団の開幕投手の成績一覧(過去5年)
※太字は自身初の開幕投手
成瀬善久、涌井秀章らという確固たるエースがいたロッテ以外の各チームには、ここ5年間で少なくとも1人は初挑戦した投手がいました。彼らの成績を見ると、自己最高成績を残した投手が多め。あの大谷翔平もプロ入り3年目だった2015年に初の開幕投手を務めると、自己最多となる15勝を挙げて、自身初の最多勝と最優秀防御率の2冠を達成しています。
セ・リーグで顕著だった助っ人外国人投手の活躍ですが、パ・リーグで助っ人外国人投手が開幕戦に登板したのはわずか2例のみ。昨季のロドリゲスは日本の野球にうまく適応できず、本来の力を出し切ったとは言えませんが、2015年に開幕投手をディクソンは自己最多タイの9勝を挙げ、夏には自身初のオールスターゲームに出場するなど一定の成績を残しました。助っ人外国人投手にとって開幕投手は好成績の証と言えるのかもしれません。
今年の開幕投手初挑戦者は7人!
いかがでしたか? その年の成績を左右することになる開幕投手の大役。ちなみに今季、開幕投手に初挑戦した投手は今永昇太(DeNA)や大瀬良大地(広島)を含めて7人、助っ人外国人投手では5年連続となるメッセンジャー(阪神)がいます。彼らが今季、どんな成績を残すか注目してみると面白いかもしれませんよ。