GKの定位置争いは横一線

日本代表のGK争いがホットだ。長くレギュラーを務めてきた川島永嗣の後継争いは、激しさを増している。横一線と言っていい競争から、誰が抜け出すのか。チーム戦術にプレースタイルを照らし合わせると、シュミット・ダニエルが有力な候補として浮上する。

ボリビア戦でスタメン出場したシュミット・ダニエル(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

森保一監督の就任後初の国際大会となった1月から2月のアジアカップで、レギュラーGKを務めたのは権田修一だった。同大会後にJリーグのサガン鳥栖からポルティモネンセ(ポルトガル)へ移籍した彼は、3月のテストマッチに招集されなかった。3月22日のコロンビア戦では東口順昭(ガンバ大阪)が、26日のボリビア戦ではシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)が、スタメンで出場する機会を得た。
 

東口もシュミット・ダニエルも、守備機会はそれほど多くなかった。今回の試合でどちらがアピールに成功したのかは、判断が難しい。ただ、チーム戦術によりマッチするのは、シュミット・ダニエルと言えそうだ。
 

アメリカ人の父と日本人の母を持つシュミット・ダニエルは、1992年2月生まれの27歳だ。生まれはアメリカだが2歳で日本に移り住んだため、日本語のコミュニケーションには何ら問題がない。
 

プレーヤーとして目を引くのは197センチの長身だ。ハイボールの処理能力は高い。恵まれた体躯を生かして、幅広い守備範囲でゴールを守る。
 

GKが戦い方の幅を広げる

足元の技術も高い。所属するベガルタでは、DFからのバックパスをペナルティエリア外で受けることが例外でない。ボリビア戦でもラインを上げるDFに合わせてペナルティエリアより前にポジションを取り、バックパスをスムーズにさばいていた。
 

GKのバックパス処理能力が高いチームは、ゲームの進め方に幅を持てる。相手のプレッシャーを受けたDFが、確率の低いボールを前へ蹴り出すことなくGKへ返すことができる。ボールを失うリスクを減らすことができるのだ。自分たちで主導権を握りたい森保監督のサッカーに、彼のプレースタイルはマッチする。
 

定位置争いからシュミット・ダニエルが抜け出すために

日本代表は6月に国内でテストマッチを戦い、その直後にコパ・アメリカ(南米選手権)に招待参加する。カタールW杯アジア予選が9月にもスタートすることを考えると、6月の活動である程度メンバーを固めたいところだ。海外クラブ所属選手のコパ・アメリカ出場には不確定要素が多く、守備陣では吉田麻也、長友佑都、酒井宏樹らを欠くことになってしまうかもしれない。それでも、GKが誰になるのかをはっきりさせておくことには意味がある。
 

足元の技術については、中村航輔(柏レイソル)も自信を持っている。16年のリオ五輪に出場し、18年のロシアW杯で川島、東口とともにメンバー入りしたこの24歳も、3月の2試合で森保監督から招集を受けていた。
 

東口、権田、中村らとの定位置争いからシュミット・ダニエルが抜け出すためには、J1リーグではっきりとした結果を残していく必要がある。ベガルタは4節終了時点で1分3敗の最下位に沈んでおり、失点もワースト3位タイとなっている。失点のすべてがGKの責任ではないものの、他でもない彼自身が納得できていないだろう。
 

桜前線の北上ともに本格化していくJ1リーグで、シュミット・ダニエルのパフォーマンスが注目を集めていくはずだ。