プロ7年目で初の2ケタ得点を記録

日本代表に初招集された鈴木武蔵(写真:田村翔/アフロスポーツ)

J1リーグ北海道コンサドーレ札幌の鈴木武蔵が、いよいよ覚醒の時を迎えているようだ。3月22、26日にテストマッチを戦うサッカー日本代表に、初めて招集されたのである。
 

群馬県の桐生第一高校在籍時から、年齢別の日本代表に選ばれてきた。ジャマイカ人の父親から譲り受けた身体能力は、国際舞台でも十分に通用すると期待された。
 

鈴木はフォワード(FW)である。現代サッカーではFWも守備を求められるが、試合に出るだけでは評価されないポジションだ。プロ野球のピッチャーが2ケタ勝利をマークすることで主軸と見なされるように、サッカーのFWはシーズン2ケタ得点を自らに課す。
 

しかし、2012年に当時J1のアルビレックス新潟からスタートしたプロのキャリアで、鈴木はFWのノルマをクリアしたことがなかった。
 

流れが変わったのは18年シーズンである。V・ファーレン長崎の一員となった彼は、プロ入り7年目で初の2ケタ得点をマークした。それまで生かし切れていかなった身体能力を解き放ちつつ、シュートの正確性を高めた結果だった。
 

札幌の一員となった今シーズンも、4試合消化時点で3ゴールをあげている。DFラインの背後を取るスピードだけでなく、184センチの長身を生かした空中戦にも、これまで以上に磨きがかかってきた。
 

日本代表の序列は大迫を除いて横一線

昨年9月にスタートした森保一(もりやす はじめ)監督の体制で、日本代表に招集されたFWは9人いる。鈴木に加えて大迫勇也(ブレーメン/ドイツ)、武藤嘉紀(ニューカッスル/イングランド)、杉本健勇(浦和レッズ)、北川航也(清水エスパルス)、浅野拓磨(ハノーファー/ドイツ)、小林悠(川崎フロンターレ)、川又堅碁(ジュビロ磐田)、鎌田大地(シントトロイデン/ベルギー)だ。鎌田は鈴木と同じように、3月が初めての代表入りだった。
 

序列の最上位は大迫だ。昨夏のロシアW杯、1月のアジア杯で攻撃の最前線に立った28歳は、いまやアジア屈指のストライカーと言っていい。彼の代わりなど簡単には見つけられないが、彼以外のFW陣の発奮を促したいのも事実である。
 

鈴木には期するものがある。

森保監督のもとで存在感を高めている中島翔哉(アル・ドゥハイル/カタール)や南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)は、16年のリオ五輪代表のチームメイトだ(※)。アジア杯で主力となったボランチの遠藤航(シントトロイデン)、3月のテストマッチで日本代表入りしたGK中村航輔(柏レイソル)と右サイドバックの室屋成(FC東京)、それに浅野もリオ五輪代表である(鎌田も同世代だが、五輪のメンバーには選ばなかった)。
 

リオ五輪がグループリーグ敗退に終わった試合後、彼らは誓ったのだ。「この悔しさは、日本代表でしか晴らせない。22年のカタールW杯でリベンジを果たす」と。
 

カタールW杯のアジア予選は、今年9月にもスタートする予定だ。3月は招集を見送られた大迫も、間違いなくメンバー入りしてくる。Jリーグの序盤戦で好調な伊藤翔(鹿島アントラーズ)、32歳のベテラン岡崎慎司(レスター/イングランド)、前回のW杯予選で活躍したリオ五輪世代の久保裕也(ニュルンベルク/ドイツ)らも、今後のアピール次第で森保監督から声がかかるかもしれない。
 

大迫を除けば横一線とも言っていいFWのポジション争いから、鈴木は抜け出すことができるのか。3月の代表入りをきっかけとして、さらなる飛躍が望まれている。
 

※サッカーの五輪競技は、23歳以下の選手に出場資格がある。同時に、24歳以上の選手(オーバーエイジ)を3人まで出場させることができる。