離婚後、元気になる40代女性
結婚が「したくてするもの」なら、離婚もまた「したくてするもの」だ。今より幸せになりたい、今より気楽に暮らしたい。それが根底にあるのだと思う。特に女性は、離婚後、急に明るくなる人が多い。
夫がいない気楽さ
カオルさん(48歳)は、20年近く一緒に暮らしてきた7歳年上の会社経営者である夫と1年前に離婚した。ずっと「夫を立てて」生活してきたのだが、ひとり娘が中学生になったころから、「おかあさんはヘンだ」と言われるようになった。
「パートとはいえ私も仕事をしていたけど、家事はすべて私。夫は休みの日はゴルフだつきあいだと家にいない。いたとしてもごろごろしているだけ。急に不機嫌になって口をきかなくなったり、私に『おまえはバカだから』と平気で言う。娘はずっとそういう両親を見ていて、どうして母親が一方的にバカにされたり働かされたりするのだろうと考えていたようです」
高校生になると、娘はさらに辛辣になった。ちょうどそのころ、夫の浮気も発覚した。
「夫はまったく謝らないどころか、おまえがオレを大事にしないからだと言い放った。それで私もキレちゃったんですよね。夫に向かってあらゆるものを投げつけ、夫がいつか飲むと大事にとっておいたヴィンテージのワインまで割ってしまった。さすがに夫もビビったようです」
暴れている時間のことを、カオルさんはほとんど覚えていない。ただ、このままだと自分が壊れてしまう。そんな恐怖感があった。
「もう夫とは暮らせない。とりあえず身の回りのものだけ持って娘とふたり、家を出てウィークリーマンションへ。その後、娘と話し合い、さらにいろいろな人に相談して、気持ちはどんどん離婚に傾いていきました」
今は毎日が楽しい
たまたま結婚後、ずっと日記をつけていた。それを読み返しながら、自分がいかに夫に軽く扱われてきたか、文句もいわずに従ってきたかを振り返り、わがことながら涙が止まらなかった。
「夫は不倫相手の女性と結婚したかったんでしょうか、すんなり離婚してくれました。弁護士さんに頼んで、財産分与もきっちりして、かなりの慰謝料ももらえた」
パート先にも話をしてフルタイムで働くようになった。生活は楽ではないが、今は娘とふたり、本当に気楽でストレスのない日々を送っている。
「つい先日、元夫から連絡があったんです。もう一度、やり直せないかって。どうやら不倫相手にフラれたみたいですね。もちろん元夫はそんなことは言いません。私がどんなにいい妻だったか、やっとわかった、心を入れ替えるからと必死で言っていました。もちろん私はそんなつもりはありません。娘が大学を卒業するまできちんと学費のめんどうを見てもらいたいだけです」
稼いでいるのだから、妻も子どももオレの言うことを聞け。そんな夫はいまどき家族に受け入れてもらえない。
「親元からそのまま結婚したので、私はずっと自由がなかった。自由がほしいとも思っていなかった。でも今、心からこの自由がありがたいんです。娘が自立してひとりになっても、元夫と一緒にいたいとは思いません」
心の自由は誰にとっても重要なのである。