愛に迷える40代男、実は「ひとり好き」かも
「愛がほしい」「愛がなければ結婚できない」と心に強く思っている男性は少なくない。中には同居している女性がいるのに「愛」をひたすら求めるタイプもいる。
愛されていないという思い
同居している同い年の女性・ケイコさんがいるのに、「愛ある結婚をしたい」と騒いでいるのは、タクトさん(44歳)だ。彼女とは一緒に住んで3年。ただ、恋愛ではないと言い張る。
「彼女はもともと友だちなんです。夫のDVで離婚して転がり込んできて居着いちゃった。1回だけ関係がありましたが、それ以降はまったく、手さえ握っていません」
何度か出ていくように言ったが、彼女も行くところがない。パートの収入が月に10万円程度だから、彼女もなかなか自立はできない。
「食事も別。彼女からは部屋代と雑費として3万円もらっています。純粋な人助けだと思いますよ」
心優しい彼は彼女を追い出せずにいるのだ。彼女のほうも彼と恋愛関係になりたいと思っているわけでもなさそうで、帰ってくると自室にこもって出てこない。「人がいるのに会話もない。それって寂しいですよね。だからといって彼女とどうこうなりたいわけではないから困るんです」
愛し、愛された人と一緒に住みたい。日々、そう思ってはいるのだが、ケイコさんの様子を見ていると女性と同居するむずかしさを感じるという。たまに会話を交わすこともあるが、ケイコさんの大雑把な考え方に反感を持つこともある。
「女ってわからないことだらけですよね」
愛があればすべてを乗り越えられるのか
ケイコさんが使ったバスルームに長い毛が落ちていると、それだけでタクトさんはイヤになる。何度も注意しているのにどうしてわからないのだろうとイライラすることも。
「愛があれば乗り越えられる問題なのか、誰が相手であってもイライラするのか、そのあたりは見当がつかない。潔癖症というわけではないんですよ。ただ実は僕、母が小さいころに亡くなって、父と兄との3人暮らしだったんです。家の中に女性がいることに、そもそも慣れてない」
もちろん、過去に恋愛をしたことはある。だが恋人の部屋に1泊するのが限界だった。自分の家でも同じ。長く女性と一緒にいられないことを、彼は「愛の強さによるのではないか」と考えている。
男女問わず、他人と長くいられない人はいるのではないかと思う。そういう人が「愛情の強さ」だけで、「ひとり好き」を撤回できるとは限らない。
ひとりでいることが快適なのだといっそ認めてしまえばいいのではないだろうか。タクトさんはそれを聞いて顔をしかめた。
「僕だって結婚したいんですよ。愛にあふれた家庭を作りたい。でもそのためにどうしたらいいかがわからないんです」
結婚したい、愛にあふれた家庭など、彼の言葉は具体性に欠ける。まずはケイコさんに独立してもらって、一から考えてみたほうがいいのかもしれない。