愛がなくても結婚できる40代女性
男性が40代になると「愛情」に固執するのに比べ、女性はむしろ自身の「恋愛感情」や「愛情」を間引きして考えるようになる。「結婚」という目的がもっと鮮明になるからだ。
まだ出産に間に合うかも
40歳となれば、出産へのカウントダウンも残りわずかである可能性が高い。そのために女性は結婚を急ぎ、焦る。
「私も40歳になったとたん、もう時間がないと思うようになりました。結婚相談所に入会、友だちにも紹介を頼みまくりました。条件は『丈夫で性格のいい人』。もはやそれだけでしたね」
そう言うのはカオリさん(41歳)だ。20代のころはかっこいい人でなければダメだと思っていたし、30代では収入や会社名にもこだわった。だが、もはやそんなことは言っていられない。
「私も仕事をしていますから、相手の収入にそれほどこだわる必要もありません。恋愛感情を抱けなくても結婚ってやっていけるような気がするんです」
考えてみれば、激しい恋愛をした人ほど、別れたあとにしこりが残る。今も思い出すと腹が立ってくる彼もいる。ただ、若いときから友だちとしてつきあっている男性とは、ずっと友だちのままだ。
「そうだ、友だちになれる人と結婚すればいいんだと気づいたんです。今は、友だちに紹介してもらった同い年の人とつきあい始めたところ。異性として好きになれるかどうかではなく、一緒に協力して暮らしていけるかどうかを見極めています」
結婚は日常生活そのものだから、カオリさんの言うことには一理ある。
たとえ出産しなくても
「もし出産できなかったとしても、友だち状態で暮らせる人なら気が楽ですよね」
男としてセクシャルな魅力があるかどうかは、もはや眼中にはない。ともに老いていけるかどうかが問題だ。
「私は健康だけが取り柄なんですが、それでも30代後半になってからときどき風邪をひいたり、その風邪が治るのに時間がかかったりということが増えてきた。これからは更年期もあるし、ひとりですべてを背負い込むのに疲れたという側面もあります」
「異性愛より人類愛ですよ」と彼女は力をこめる。
「今の彼は穏やかな人なんです。職場で出世しそうにないし、男としての魅力があるかと言われるとそうでもない。ただ、電車では必ずお年寄りに席を譲るし、白杖を持っている人には必ず自分からひと声かける。昔からそういう人だったようです。そういう、人としての優しさがいちばんかもしれないなと思っています」
ふたりで働けば生活はなんとかなる。やさしい彼となら刺激はなくても安心はあるだろう。
「結婚は安心がいちばん。私もそういう年齢になったということでしょうね」
恋愛感情はもういらない。彼女はきりっとした表情でそう言った。